「スグリさん、スグリさん、何飲みますか。」
「あー、スグリでいいですよ。」
「そうそう。」
「何よ、マサル。」
「僕らと一緒でいいみたい。」
「そうなの。」
「お客さんって感じでもないし。」
「マサル、失礼よ。」
「あら、スグリさん、え、スグリでよかったのよね。何、飲みますか。」
「なんでも、だいじょうぶ。」
「マサルに聞いてないわ。」
「とりあえず、ビールかな。」
「マサルに聞いてないってば。」
「どうしますか。」
「あ、ビールで大丈夫です。」
不思議な緊張感だった。
「世田谷を中心とした「グリーンベース」の活動もひとえにスグリさんのご協力が・・・・。」
「ヒデオ、ヒデオ、もういいよ。」
「あ、そうか。じゃあ。乾杯。」
「カンパイ。」
「スグリさんのバンドって、どんな感じなの。」
「かなりエロい。」
「マサルに聞いてない。」
「どんなって。」
「売れ線のロックンロール。」
「マサル。」
「へー、カッコイイ。」
スグリの話題が続いた。
マサルが知ったかぶりをして、べらべらとしゃべった。
そのたびに、たしなめられた。
「マサルに聞いてない。」
それでも、マサルはバンドのことやプロモーションビデオ、マージャンの話をした。
「マサル。」
マサルをたしなめる声がユニゾンになって、だんだん大きくなった。
スグリは面白かった。
「ねえ、スグリさん、あ、スグリはどうしてマサルと一緒に来たの。」
ハルが突然聞いた。
「え。」
考えてみれば、どうしてマサルと来たのだろう、スグリ自身も・・・・
セクスの後の一体感が残った状態で、マサルの困り切った顔を見て一緒に行くことが当然のことのように思えたのか。
それとも、「ベース」、そのものに興味がわいたのか。
得体のしれない生き物の顛末が知りたかったのか。
すべてが当てはまるようで、すべてが違うような気がした。
突然聞かれて、スグリは戸惑った。
「それはあ。」
マサルも話しかけて、言葉が途切れた。
「わかんない。」
「ならいいんだけど。」
「どういうこと。」
「マサルとどうにかなっちゃったんじゃないかって。」
「ハル、気になるの。」
「そういうわけじゃないけど。」
「僕がつれてきちゃったのかな。」
「どういうこと。」
「セッションもしたかったし。」
「まあ来てしまったんだからいいじゃない。」
「そうね。」
マージャンの時のスグリを比べるとずいぶんおとなしかった。
「あの、あの人どうなるの。」
「だいじょうぶ。今はリツコが見てるから。」
「リツコのほうが頭のほうは強いのよ。」
「頭って。」
「肉体的な異常ではないと思うのね。たぶん、精神的なもの。」
「そういういことか。」
「だって、マサルが拾った時は動いてたんでしょ。」
「うん。」
「流動系の食べ物だったら食べれそうだし、落ち着いたら・・・・。」
「そうか。」
「病院は。」
「うん、誰かの保険証で行ってもいいんだけど、正常な状態になった時、彼も困ると思うの。」
「なるほど。」
「ホームレスということで役所に知らせる方法もあるんだけど・・・・。役所はねえ。」
「なんですか。」
「冷たいから。それに本当に危機的状態だったら、仁が動くと思うの。」
「仁。」
「「ベース」の中心だよ。」
「まっ。普段はただの人だけどね。」
そう、スグリ以外の人間は同じ感覚だった。
仁が動かないのなら、そう心配したことはない。
が、スグリはその落ち着きが不思議だった。
このような状態の人を受け入れてしまう雰囲気が不思議だった。
なぜか緊張が取れず、飲んだ。
「あー、スグリでいいですよ。」
「そうそう。」
「何よ、マサル。」
「僕らと一緒でいいみたい。」
「そうなの。」
「お客さんって感じでもないし。」
「マサル、失礼よ。」
「あら、スグリさん、え、スグリでよかったのよね。何、飲みますか。」
「なんでも、だいじょうぶ。」
「マサルに聞いてないわ。」
「とりあえず、ビールかな。」
「マサルに聞いてないってば。」
「どうしますか。」
「あ、ビールで大丈夫です。」
不思議な緊張感だった。
「世田谷を中心とした「グリーンベース」の活動もひとえにスグリさんのご協力が・・・・。」
「ヒデオ、ヒデオ、もういいよ。」
「あ、そうか。じゃあ。乾杯。」
「カンパイ。」
「スグリさんのバンドって、どんな感じなの。」
「かなりエロい。」
「マサルに聞いてない。」
「どんなって。」
「売れ線のロックンロール。」
「マサル。」
「へー、カッコイイ。」
スグリの話題が続いた。
マサルが知ったかぶりをして、べらべらとしゃべった。
そのたびに、たしなめられた。
「マサルに聞いてない。」
それでも、マサルはバンドのことやプロモーションビデオ、マージャンの話をした。
「マサル。」
マサルをたしなめる声がユニゾンになって、だんだん大きくなった。
スグリは面白かった。
「ねえ、スグリさん、あ、スグリはどうしてマサルと一緒に来たの。」
ハルが突然聞いた。
「え。」
考えてみれば、どうしてマサルと来たのだろう、スグリ自身も・・・・
セクスの後の一体感が残った状態で、マサルの困り切った顔を見て一緒に行くことが当然のことのように思えたのか。
それとも、「ベース」、そのものに興味がわいたのか。
得体のしれない生き物の顛末が知りたかったのか。
すべてが当てはまるようで、すべてが違うような気がした。
突然聞かれて、スグリは戸惑った。
「それはあ。」
マサルも話しかけて、言葉が途切れた。
「わかんない。」
「ならいいんだけど。」
「どういうこと。」
「マサルとどうにかなっちゃったんじゃないかって。」
「ハル、気になるの。」
「そういうわけじゃないけど。」
「僕がつれてきちゃったのかな。」
「どういうこと。」
「セッションもしたかったし。」
「まあ来てしまったんだからいいじゃない。」
「そうね。」
マージャンの時のスグリを比べるとずいぶんおとなしかった。
「あの、あの人どうなるの。」
「だいじょうぶ。今はリツコが見てるから。」
「リツコのほうが頭のほうは強いのよ。」
「頭って。」
「肉体的な異常ではないと思うのね。たぶん、精神的なもの。」
「そういういことか。」
「だって、マサルが拾った時は動いてたんでしょ。」
「うん。」
「流動系の食べ物だったら食べれそうだし、落ち着いたら・・・・。」
「そうか。」
「病院は。」
「うん、誰かの保険証で行ってもいいんだけど、正常な状態になった時、彼も困ると思うの。」
「なるほど。」
「ホームレスということで役所に知らせる方法もあるんだけど・・・・。役所はねえ。」
「なんですか。」
「冷たいから。それに本当に危機的状態だったら、仁が動くと思うの。」
「仁。」
「「ベース」の中心だよ。」
「まっ。普段はただの人だけどね。」
そう、スグリ以外の人間は同じ感覚だった。
仁が動かないのなら、そう心配したことはない。
が、スグリはその落ち着きが不思議だった。
このような状態の人を受け入れてしまう雰囲気が不思議だった。
なぜか緊張が取れず、飲んだ。