仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

その手の中に2

2012年06月05日 16時49分01秒 | Weblog
「スグリ、飲みすぎですよ。」
ペースの速さに気付いたマサルが指摘した。
はっとした。

ドウシテココニキダンダロウ

違和感。
そこにいる人間たちは、皆、マサルと同じような空気を持っていた。

ナゼ、オチツイテイラレルノダロウ

スグリは得体の知れない生き物のような人をみるのが初めてだった。
幸運というべきか、死者にあったことがなかった。
生きてる人でも全身不随の人間などに会うはずもなかった。

モシ、シンジャッタラ、ドウスルンダロウ

スグリは気配を感じた。
振り向くと新しい仁が立っていた。
屈託のない笑顔。まるで幼児のような笑顔がそこにあった。
新しい仁の手がスグリの乳房に伸びた。
掌をいっぱいに開いて、乳房を包んだ。
するとその手が皮膚を通過して、スグリの心臓に届くような感覚にスグリはとらわれた。
おびえて震える心臓を新しい仁の手が包んだ。
性的な興奮に伴う快感とは違った。
暖かく、柔らかく、心臓が解けていくようだった。
スグリは目を閉じた。
身体の心から全身にその暖かさが拡がった。
不安も、疑いも、違和感さえも、その暖かさに取り込まれ、解けていくようだった。
「やわらかいね。」
スグリは目を開けた。
「そう。」
小学生に触られているのだ。性的に芽生えていなくてもそれは不自然なはずだった。
「うん、キヨミのも柔らかいよ。」
「ふふ、エッチね。」
スグリは新しい仁を抱きしめた。
電気が全身を駆け巡るような感覚。
が、マサルとのセクスとは、いままでのセクスとは全く違う何かをスグリは感じた。
「マー。」
マサルの声がした。