ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

表現力って何だろう

2006-11-25 21:40:38 | 日記
例によって、スケートのよくわからない語りです。

フィギュアスケートで言うところの「表現力」って、私の思う「表現」と多分違うよね、ということをずっと考えてて、でも考えがまとまりません。
私にとって一番大事なのは、私自身の感性なので。他人がなんて言おうが思おうが、自分が美しいと思うものを好きなように楽しめばいい、というのが私のスタンスです。
(それでもやっぱりこんな所で書き散らしてるのは、ちょっとくらいは他人様にも同意して欲しいと思ってるってことなんでしょうが)
だから実を言うと、「審査員の考えてることなんて私の知ったことか!」というのが私の本音でした。

審査員が評価するのって、結局「形」だと思うのです。仕方のないことではあります。競技としてやる以上、「形」になって現れたものを見るしかないと思います。
でも私は、表現の本質って形じゃないと思う訳です。
センスの有無っていうのは、形にならない本質を感覚的に掴めるかどうかってことになるのかな。センスって平等じゃないです。技術は訓練で補えるけど、センスってものはある人にはあるし、ない人にはない。
センスのない人は形しか見ないので崩せないけど、センスがあれば本質だけ押さえて、形の方はどうにでもできる。お手本を忠実に再現できるのが技術、お手本を応用して、本質を損なわずに自分なりの表現を創れるのがセンスってことじゃないかと思うんですが。

高橋くんの「ノクターン」を見た時、その表現の自由さに衝撃を受けました。「感じるままに滑ります」という言葉がハッタリでもなんでもなく、本当にその時の感覚をそのまま表現しているような演技。
表現の本質みたいなものを押さえてるから、形の方は自由に変えられるんだろうなと思います。
多分このプログラムには決まった完成形はなくて、演じる度にその時、その時の感覚を反映した違うもので、そしてそのどれもが正解なんだと不思議な気分になりました。ひとつの決まった理想形へ向かって完成度を高めて行くのとは根本的に違うというか。
そして多分オペラ座でも、彼はそれをやろうとしている(ような気がする)。キャンベルとスケートカナダで、もう違いますから。キャンベルの時には三人の間で揺れ動いていた意識が、スケートカナダでは終始ファントムに共鳴していた。「オペラ座」の物語自体曖昧な部分が多くて、角度によって色んな見方ができるんですよね。見る度に感想が変わるというか。彼はその、変化して行く感覚を演技に反映させているのかも知れません。ファントムに対する見方も視点によって変化する可能性はあるし(何せファントムは色々面倒な人だから)、次見る時にはまた違ったものになるかも。

そういう訳で、オペラ座原作読了しました。原作ファントムも結構好きです、私。

そういえば、「のだめカンタービレ」は音大が舞台の漫画ですが、あんまり技術的な話はしませんよね。表現の本質を捉える、感覚的な話が主軸になってます。実際の音大ではもっと技術的な勉強をするんだろうけど、それを漫画にしてもきっと素人は楽しめないだろうし、上手いなあと感心したのをふと思い出しました。大ちゃんって、ついラフマニノフつながりで千秋さんに重ねたくなるんですが、本質的には寧ろのだめや峰くんに近い人なのかも知れないと思ったりすることもあります。どうでしょう。

***

J:comマガジンの表紙がいきなりフィギュアスケートでびっくりしました。特集は日本女子中心ですが、男子も紹介してくれてます。「なまめかしい表情」って……。

***

拍手コメントへのお返事
ありがとうございます! こんな所で何ですが、お礼を申し上げたいと思います。
「目には見えないものが見えている」というのは、こういう意味でもあったりします。
ちなみに私が言う所の「妖精」って、結構怖いヤツが多いですよー(笑)。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (みどり)
2006-11-26 00:29:03
はじめまして。いつもそういう見方があったのかーとハッとさせられながら読ませていただいています。文章得意じゃないからコメントを控えていましけれどもノクターンはやっぱりすごいですよねって同意したくて書き込みました。笑
私も大輔君の表現力って凄く天性の才能がある気がしてならないです。あと手足の動きというか位置がちょうど痒い所に手が届くって感じで見ていてとても気持ちがいいんです。ノクターンは1番好きなのでこれからも滑って行って欲しいプログラムだと思っています。
また大輔君のことを読ませてもらいにお邪魔します。長文失礼しました。
返信する
Unknown (ぽん)
2006-11-26 01:31:46
お久しぶりです~。
私が大ちゃんを見てて思うのは…
彼の場合、「フィギュアスケートで点数を取るための表現」というよりは
「表現するための手段としてのフィギュアスケート」なのではないかという気がしてならないのです。
「スケートのいい所は、滑ってる間お客さんを独り占めできること」「スポーツにはあまり興味ない」等などの発言を考えても。

なので、その表現したいという思いと、否応なしに結果を求められる採点競技としてのスケートというものの間にジレンマを感じたこともあったのでは…と推測したりしますが。
今は、それに上手く折り合いをつけて前に進んでいこうという意思が見て取れて嬉しい限りです。

内気で自分を表現する術を持たなかった少年に与えられた唯一の手段がスケートだったのではないかと思うと、確かに運命的なものを感じますね。
さて、私もこれから「ノクターン」見ようかな(笑)
返信する
Unknown (なおみ)
2006-11-26 02:48:16
こんばんわ~。
ふむふむなるほど~。虹川さんの書かれる事は一々頷いてしまいます私。
大ちゃんがパーソナルベストを全く見ていないと知った時、驚きと共にやっぱりねと思ったんです。でも彼はPCSは見てますよね。TESに興味が無いみたい(爆)
そういえばスポーツに興味ない発言もありましたね。アスリートの言葉とは思えませんが、大ちゃんの場合理解できる。(笑)
彼は自分ではアスリートでなくパフォーマーなんでしょうね。だから筋トレも嫌いだからやらないで少し前まで済ませてた。最近自分の才能に自覚が芽生えて、も少し頑張ればメダルも取れるって欲も出てきて、去年やっと競技者になったとお姉さんがおっしゃってましたものね。
大ちゃんの表現力って、ホントに天性のものだと思います。誰にも真似できない。そこに惹かれたのかなぁ?
大ちゃんの自覚の無い所、相変わらずぽよ~んな所大好きだから変わらないで欲しいけど、でももっと上を目指すなら、そうも言ってられないのかな… このままでもいいかなんて思っちゃう私ってファン失格かなぁ…
返信する
Unknown (虹川 章)
2006-11-26 23:11:38
みどりさん
こんにちは、はじめまして。こんな辺鄙な所ですが、覗いて下さってありがとうございます。ノクターン、シンプルだけど深いですよね。私もこれを見て、この人の才能は本物だと直感しました。
>手足の動きというか位置がちょうど痒い所に手が届くって感じで見ていてとても気持ちがいいんです。
もしかするとそれが、表現のツボなのかも知れませんね。角度が何度とか何センチとか言っても絶対分からないものが、何となく感覚で分かるっていう。そこがセンスなんですよね。
貴重なご意見をありがとうございました。また見て下さると嬉しいです。

ぽんさん
こんにちは、お久しぶりですー!
>表現するための手段としてのフィギュアスケート
>内気で自分を表現する術を持たなかった少年に与えられた唯一の手段がスケートだったのではないかと
それ、私もまさにそう思います。魂から直接表現しているから、どんな技術よりも強いメッセージとして伝わって来るのかもしれません。
だから「勝つために」「点を出すために」ってドライに割り切れない部分もあるのかも。でも今は、「試合で勝たないと自分の表現を見て貰えないから、一人でも多くの人に自分の表現を届けるために試合に勝たなければ」……という感覚で戦ってるのかな?と勝手に思ったりしています。

なおみさん
こんにちは。いや相変わらず変なことばっかりですが(汗)。
「スポーツに興味がない」はらしいなと思いつつ流石に驚きました(笑)。彼はフィギュアスケートをスポーツだと思ってないのかも知れません。
>大ちゃんの自覚の無い所、相変わらずぽよ~んな所大好きだから変わらないで欲しいけど、でももっと上を目指すなら、そうも言ってられないのかな…
そういう所ものだめと重なるんですよ。「夢は幼稚園の先生」っていうのだめと、ジュニアワールドで優勝する前の「スケートは趣味だった」っていう大ちゃんが重なって、きっと周囲は千秋さんみたいに「もっと上目指せ!折角才能あるんだから!」ってやきもきしてたのかなと思ったりします。
大ちゃんをテレビでいっぱい見れて、そして世界の皆さんに見て頂くためには、もっとアスリートとして成長して欲しいかも知れません。
でも私も細かい数字を数えるのは嫌いなので、余り強くは言えません……。
返信する

コメントを投稿