TBA

(仮)

秩序と自由

2018-07-08 | 本と雑誌

さっきも地震があったけれど、

人の力ではどうしようもないことってあるんだな。


ときどきこうやって気づかせてもらえるから、

日本人は日本人なのだろう。





「辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦」

この本おもしろかった。

高野秀行さんと清水さんという大学の先生の方が、

課題とする本を提案しあって読んで、

それについて語り合うっていう本なんだけど、

選ぶ本も興味深いし、語る内容もおもしろい。


読んでみたくなった本もあれば、

まあ、無理だろうなっていう本も。


林先生の「世界の名著」みたいな感じだけど、

もっとテーマがかちっとしてる感じ。


林先生のも本になればいいのに。




中央の支配や秩序から逃れたい人々が、

辺境に逃れて自分から文明を捨てたっていう考え方がおもしろかった。


近代になってヨーロッパから「植民地」に行って、

一旗揚げようとした人もそうだったんだろうし。

「ゴールデンカムイ」も似た感じ。


アメリカの西部開拓時代もまんまそんなもんで、

だから銃の問題もそのまま残っているのかも。

アメリカって地域によって相当考え方ちがうっぽいし。


ただ、平穏と安定のために秩序を求めるタイプの人もいるわけで。

どっちかに偏らないことが大事なのかも。


本の内容とはずれるけど、

生まれた集団から離れて冒険の旅にでるのが、

たしかライオンとかだとオスで、類人猿だとメスだっけっていうのも、

なんかありそうでおもしろい。


あとおもしろかったのは「ピダハン」

衣食住に困らないから、先のことを考える必要がない。

だから、数も左右もなく、自分が体験したことしか信じない。


要するに「楽園」に住んでいるってことなんだろうか。

遠い未来、完全に自給自足でなにもかもあたえられる、

スペースコロニーかなにかで何世代もすごすと、

こんなふうになるのかも。


クラークやハインラインのあとあたりの、

SF小説に書かれてそうな感じ。


逆に考えると、集団的無意識なんていうものは、

同じような環境で暮らしている人たちの間でしか共通ではないものなのかも。

ワールドカップを見てても、

その国のサッカーっていうのはその国の文化そのものな感じがするし。




あと、高野さんはあいかわらずむやみに、

自分をつらいほうに追い込んでる方なんだな、と。


そうそう「自分用の覚え書き」っていうのは目からうろこ。

こうやって感想を書こうとしても、

どこになにが書いてあったかを調べるのがたいへん。


付せんも見にくいからいいかも。

まあ、本に書きこむのは好きではないし、

図書館の本にするのは、絶対にダメだけど。




「100分de名著」やっと見た。


河合隼雄さん大好きで、

「子どもの本を読む」「ファンタジーを読む」あたりから、

講談社+α文庫のやつをかたっぱしから読んだ。


こどものころにこどもの本をあんまり読んでこなかったから、

だいぶ助けられたような気がするし、

心理学を本気でやろうとしてもみたり。

そっち系に合格してたらどうなってたんだろう。



「自分の物語」を見出す手助けをする。

Whyに答えるのが「物語」

個別性が大事。理論や方法を当てはめれば結果が出るわけではない。


ヨーロッパの精神分析が日本人にも当てはまるか。

たぶん、文化にあった「物語」があるのだろう。

頭ごなしに当てはめても…


個別性からいかに普遍的に言えるか。

「あたりまえ」でもないけど、

「ひとりじゃない」って腑に落ちられるか、ってことなのか。




投影っていうのもおもしろいな。

自分のコンプレックスを他人に押しつけて自分の安全を図る。


たまに見かける「つ鏡」ってこういうことなんだろうかな。


運転すると人が変わる人とか、TVではにこにこしているのに、

ツイッターとかで暴言を吐きまくる人もそうなのかな。


こうあるべきなのにこうじゃない。

ポリティカルコレクトネスってまさにそんな感じ。


自分を守るためならいいのかもしれないけど、

それで他人を攻撃するのはどうなんだろう。

自分ができないことを他人にだけ求めるべきではない。


『死をもって死に報いるのではなく、どんな場合でも人を殺してはいけない』

りっぱな言葉だけど、殺人を犯した人が言うべきことではない。


どんなにつらくても自分のコンプレックスと真剣に向きあわなければ、

生きている価値なんかない。
コメント
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