masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

売ってやるから払え

2010年06月10日 | ガソリンスタンド


“売ってやるから払え”の態度

【島根】仕切り価格の改定が行われる場合、
これまでは「担当が訪問するか、或いは郵送でも後日説明があった」
仕切り体系見直し後は「FAX一枚。後はフォローもない」


・・・・・

払わせて頂きますとも!

請負人 越後屋 №31

2010年06月10日 | 作り話
今日は朝から明子が張り切って料理を作っている。
正志が幸太を連れてやってくるからだ。

「幸太ももう大学生だものね。ちょっとやそっとの量じゃ足りないわよね」
鼻歌を歌いながら、これでもかというくらいキャベツを線切りにしていく。


「幸太も正志も私のお好み焼きが大好物だから、いっぱい焼いてあげなくちゃ」

それにしても凄い量で石崎は苦笑いだ。


「ただいまー」正志の声がした。
「こんにちはー」後ろから幸太。

「お帰り、幸太もいらっしゃい」
「まり子さんはやっぱり急がしいの?」

「ああ、ごめんよ。宜しく言っておいてくれってさ」

「でもピアノ教室の生徒さんもこの不景気で減ったとか言ってなかった?」

「うん、まあね。だけどママさんコーラスの指導もしているし今度合同で発表会をやるらしいんだ、その準備で抜けられないんだって」

「そう、なら仕方ないわね・・・帰ったら私がまり子さんにも会いたがっていたって伝えておいてね」

「ああ」


「幸太、大学はどうだい?」

「どうって何が? ・・おじいちゃん、そんな抽象的な質問じゃあ、訊かれた方は困るんだよ」

「(コホンと咳払い) すまん。うーん、じゃあ、勉強には付いていけてるかい?」

「大丈夫だよ。ゼミの教授も楽しい人だし」

「お友達は出来たの?」 と明子

「うん、何人かはね。それにバイト先にも仲間が居るし、楽しくやってるよ」

「そう、良かったわ」

「だけど、田舎でさぁ、周りに何も無いんだよ。学校へ行くにもバスも通っていないんだから」

「えー、じゃあ、どうやって通っているの?」

「殆どの子が原チャ、ボクもだけど、バイトのお金が貯まったらセローっていうバイクを買おうと思っている。おかわり」

「あ、はいはい。 じゃあ事故には気をつけなきゃね」

「あ、次は明太子にして。味ポンで食べるから。それの次は海老ね」

「了解」


「母さん、この肉、美味しいね、何の肉?」

「あ、それ?お友達に教えてもらって買ってみたんだけど美味しいでしょ。スペインのイベリコ豚。鶏で言ったら地鶏みたいなものかしら、放し飼いでドングリの実を食べて育つから、オレイン酸をたっぷり含んでいて美容と健康に良いらしいのよ」

「へーっ、そうなんだ。 うん、美味しいね。次のもこれで焼いて」


「私の好きな宮崎牛は買わなかったのかい?」

「あぁ、あなた、ごめんなさいね。今、口蹄疫で大変な騒ぎになっているでしょ・・・『当店では宮崎県産の牛豚は販売していないので安心してお買い物をしてください』なんて張り紙がしてあったのよ」

「それって風評被害だよね。感染した肉を食べても人間にはうつらないのに。」と幸太が鼻白んだ。

「そうよね、私も宮崎県産のものを買うことで宮崎の方たちの応援をしようと思っていたんだけど・・・」

「流石、ぼくのおばあちゃんだね。昨日、ゼミの友達から電話があったんだけど、その子の実家は宮崎の畜産農家なんだ。幸いその地域ではまだ感染は確認されていないんだけど、それでも卸値を買い叩かれているらしいよ。」

「まぁ・・・酷い話ね。そういう時こそ思いやりの気持ちをみんなが持たなきゃいけないのに・・・」

「うん、だいぶ落ち込んでいたよ・・・」

「早く治まれば良いわね」


つづく




※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;

請負人 越後屋 №30

2010年06月10日 | 作り話
ふたりでアイスクリームを食べて、「そろそろ帰ろうか」と歩き出した。

「しかし、最大手の太陽光線グルグル石油とJAMOが合併するようだし、これから石油業界はどうなっていくんだろうね」

「そうですね・・・でももう私には興味がありません」

「はは、それもそうだね」

「だけど石崎さん、石崎さんは業転についてどうお考えなんですか?」

「え?」

「10年前、石崎さんがシガレットケースを渡された販売店、覚えていらっしゃいますか?」

「・・・・・ああ、覚えていますよ」

「実は私がよく利用しているお店なんです」

「え?そうなの?」

「ええ、あの店の奥さんとは気が合って、仲良くさせてもらってるんですよ」

「ああ、感じの良い方だったね」

「だから、販売店潰しの役が回ってきたときは正直悩みました。でも組織の中で働くって自分の意志はどうにもならないでしょ」

「ウム」

「だから、奥さんに言ってあげたんです。業転を取りなさいって。そして店を閉めるときまでしっかりお金を貯めておくようにって。」

「そう」

「最初は躊躇されていたけど、すぐにそうしなければやっていけないって分かったみたい。それでも元売から看板を剥奪されると元売発券カードのお客さんを逃がすことになるからって、手数料が例え5円でも無いよりはマシだって心配するから、ここの店の数量は知れているから、元売にしたら裁判費用の方が惜しいわよ、もし何か言って来てもポーズでしか無いから無視しておけば大丈夫だからって・・」

「その通りだね」

「ふふ、今も元売のマーク掲げているけど月に1車分しか系列ものは取らずに、あとは業転を取って細々とやっているわ」

「しかし、それでは元売がバカをみることになるね」

「そうですね、あの発券店値付けの全国流通元売カードの使用分は元売の請求書から相殺するんですものね、他社(業転)の分を相殺してあげてることになるんですものね」

「そうだよ」

「だけど、それは元売側の身勝手な理屈よね。業転の出所はどこなのよ・・・」

「・・・」

「ごめんなさい。石崎さんを責めているわけじゃないわ」

「分かっていますよ」

「それから、私の初恋の男性なんだけど、その人も三重県にあるガソリンスタンドの2代目でね。あ、でも私の片思いだったから彼には奥さんもお嬢さんもいらっしゃるのだけど・・・その彼にも業転を取るようにアドバイスしてあげようと思って訪ねたら、・・流石私が目を付けた男だけの事はあるって言うか、先見の明があったのね。元売の求めるモデルケースのように店を改造してね、元売の求めるって分かりますよね?カードクターを常駐させている敷地面積の広い新設セルフ。仕切りも価格交渉によってかなり安値を勝ち取っていたわ。経営手腕にも優れていたから、あの厳しい淘汰の波の中でも不正を行わずに信じられない程の経常利益を上げていたわ」

「ほう、それは大したものだね」

「ええ、流石私の初恋の人って感じ。だけど、第二の人生は後進国の子供たちの為に働くんだって、店の権利を譲ることにしたらしいわ。ここでも流石私の初恋の人って感じ」

「素晴らしい男性だね」
誇らしげに語る三沢を微笑ましく見つめた。

「そうよ。・・・それから特約店にも色々あるわよね。」

「うん?」

「元売と同じように自分だけがカワイイ、販売店から搾取することしか頭に無いようなところと、自分が泥を被っても販売店を守る、そのためには元売との契約違反になっても業転玉を販売店に融通させてあげるところとか」

「・・・そうだね。しかし又、特約店によってマージンにかなり差があるようだよ」

「そうみたいですね、大企業ほど自分の身を持たせる為にマージンが必要みたい。特約店に4円ものマージンを取られたら、それで無くても系列の販売店は不利なのにたまったもんじゃないわ。方や1円程のマージンしか取らない特約店もあるのにね」

「会社の規模が大きいほど必要経費も掛かるからね・・・」

「だけど、それにしたってFAXを送るだけで4円は無いんじゃないかしら」

「そうだね」


「それからね、系列で業転を取っていない販売店が偉そうに企業倫理がどうとかって言うでしょう?私に言わせれば、たまたま条件的に業転を取らないでもやっていけたっていう、単に運が良かったっていうか恵まれていただけの事じゃないかしら。・・・生きるか死ぬかってなったとき、そんなきれい事だけじゃ済まないと思うわ。泥を喰らってでも生き延びようとするのが本当なんじゃないかって、・・・」

「うーん・・・どうだろうね、生きるか死ぬかの基準もそれぞれだからね・・・。自己資金の持ち出しが許せなくて業転に走る人間と、自己資金を食い潰してでも業転に手を出さない人間と・・・まあ、確かに自己資金を食い潰しても続けられているって言うことはまだ恵まれているってことなのかな?これから地下タンクの規制が強化されそうだし、そういう所もこれからどこまで持ちこたえられるかだね・・・」


つづく




※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;


請負人 越後屋 №29

2010年06月10日 | 作り話
「そうだ、今日は何か特別な用でもあったのかな?」

ベンチにハンカチを敷いてやりながら腰を降ろす。
頭を下げながら三沢も隣に腰掛けた。

「ええ、・・・驚かないでくださいね。・・・実は石崎さんと私は血の繋がりがあるようなんです」

「?・・・どういうこと?」

「もう随分以前になりますけど、石崎さんのお母様が養女で、お母様の本当の郷は大阪の河内地方で苗字は◎◎だって話して下さったことがあったでしょう?」

そういえば、何故そんな話をしたのか分からないが確かに三沢に話したことがある。

「私、河内のの◎◎って聞いて、もしや?!と思って色々調べてみたんです。・・実は私の実母も養女で同じように河内の◎◎から出されているんです」

「・・・・・」

「随分と昔のことになるので調べるのが大変だったんですけど・・・」

「・・・・・」

「飲み込めませんか?」

「あ、あぁ済まない。ちょっと考えさせてくれないか」


「そうか、母親同士が同族ってことなんだね」

こくん、と頷く三沢
「血縁関係までは分かりませんでしたけど・・・」

母の郷で過ごした幼い頃、銭湯で出会った両性具有者、それを当然のことのように接していた村の人たち。
だから三沢が両性具有者だと分かったとき、特に驚きもしなかった。

「私、始めて石崎さんとお会いしたときに不思議な気分になったんです。何故か分からないけど懐かしいような・・・どう言えばいいのかしら、何となく安心できるっていうか・・・。ごめんなさい、不躾なお願いだと分かっているんですけど・・・」

「何だい?」

「これからもこんな風に会って頂けますか?・・・あ、そんなんじゃないんです。私、身内と呼べる人が誰も居なくて、・・・だから親戚のお兄さんみたいな感じで・・・これから何かの時には相談に乗って頂きたいな・・・なんて、でも今まで嫌なとこいっぱい見せちゃったから・・・ご迷惑ですか?」

「そんなことはないよ。ただあの頃の私は君の目には不甲斐ない男に映っているとばかり思っていたからね・・・そうだ、今度妻にも紹介するよ。一度うちにご飯を食べに来ればいい」

「え?本当に?」

「ああ、近いうちに招待するよ」

「ありがとうございます」

つづく




※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;


請負人 越後屋 №28

2010年06月10日 | 作り話
三沢からの年賀状には、越後屋グループの介護部門へ移動が決まったと書いてあった。

夏も盛りの7月の終わり、その三沢から会いたいと連絡があり指定された千葉県の麻綿原高原まで出掛けた。

高原一帯に咲き乱れた季節外れの紫陽花が、しばし暑さを忘れさせてくれる。
三沢は、サブリナパンツに半そでカットソーと、ボレロ風のノーカラージャケットという出で立ちで現れた。
ショートヘアだった髪を伸ばして今はポニーテールにしている。

「お元気でしたか?」と声を掛けると私の姿を認めてにっこりと微笑んだ。
化粧をしていない顔は実年齢より幼く見える。

「石崎さんもお元気そう」

この10年色々あったがそれも今となっては全てが懐かしいものだ。

「介護の方へ変わられたとありましたが、新しいお仕事にはもう慣れましたか?」

「ええ、収入も減って仲間内では左遷された哀れなやつと思われていますが、介護部門は越後屋の中ではまっとうな仕事ですから、私自身は今の仕事の方が性に合っているようです」

「そうですか、それなら良かった」

この時まだ三沢は気付いていなかった。介護部門への異動は左遷ではなく栄転であったことを。
この後、政府は第3の道として福祉関係へ財源を回すことを予定していたのだ。


「石崎さんはお身体の方は如何ですか?」

「ああ、ありがとう。どうやら私もあの頃の仕事が性に合っていなかったのかな?辞めてからすっかり調子が良くなったよ」

二人は顔を見合わせて笑った。

「それで、今は何かお仕事はされているんですか?」

「いや、近所の小学校で週に1度昔の遊びを教えたりするボランティアをしているくらいかな。あ、あとは山登りを始めたよ」

「山登りですか?」

「はは。まあ、ハイキングに毛の生えた程度のものだがね」

「でもそういう趣味を持つ事は健康の為にも良いことですわ」

「妻も一緒だからね、これで熟年離婚も避けられるだろうと思ってね」

「仲良しのご夫婦が離婚だなんて、何をおっしゃいますことやら」

「ははは」

「ところでお孫さんはもう大学生になられたのですよね?」

「ああ、幸太かい?そうだよ。関西の大学だから下宿生だ。今、夏休みで帰省していて、来週うちに遊びに来る予定だよ。私のことを『じいちゃんはいいなあボクも早く憧れの年金暮らしになりたいや』なんて言ってるよ」

「あらあら、まだ親のすねを齧っている身分で、もうそんなことを?」

「はは、まったく」

「けれども、幸太くんが年金を受け取るころ、年金制度はどうなっているのかしら?・・・・そうだわ、石崎さん、幸太くんには、この先、もし国が戦争へと向かうような事があったら絶対反対しなきゃいけないって伝えておいてくださいね。先の戦争で混乱に紛れて社会保険制度が機能しなくなったのと同じように、もし戦争になったら憧れの年金生活が送れなくなるよって。
・・・これは仲間から聞いた話なんですけど、財源不足でこのままでは年金制度が破綻しそうだから、もしかしたら戦争を起こすように国民が誘導されるかも知れないって・・・いくらなんでも、まさかとは思うのですけど・・・」

「いくらなんでもそれは無いだろう・・・・しかし戦争だけは絶対に許してはならないと私も思うよ」

六即門をくぐって天拝園の頂上に着いたとき一陣の風がふいた。


つづく






※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

尚、加筆修正及びキャラの変更等もあるやも知れませぬことをお断り申しておきまする(^^;

請負人 越後屋 №27

2010年06月10日 | 作り話
10月に鳴り物入りで始まった新仕切方式だが、サブプライムやリーマンショックの波及で三沢の計算通りには行かず、元売にとってもあまり旨みが無かったようだ。
年が明けた頃と4月に元売と特約店との間で軽く見直しが行われた。
この時も3者店と呼ばれる販売店は蚊帳の外であった。

透明、公平になると期待された新仕切方式だが、数ヶ月を経て販売店が感じた事は「何も変わっていない」という落胆だけであった。

いくら元売が仕切の裸価格を公表しても、特約店というフィルターを通す事で相変らず不透明であったし、元売の子会社や販社は公取委から不当廉売で何度も注意を受けている。


つづく



※この物語はmasumiさんの被害妄想に基づくフィクションです(^^;
実在の人物及び団体とは一切関係ございません。

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