7月9日の「新・新仕切り」の記事で、chaicoさんとchihiroさんから
仕入れ値が【決まっていなくて】分からないのに、値札付けて売ってるってこと?
そんな嘘みたいな話がほんとにあるの?
仕入れ値がわからないて事は 大損してるかもしれないって事?
とコメントを頂戴しました。
元売さん、よーく聞いてね!!
これが一般消費者の感覚ですよーん!
さて、世にも奇妙な業界のお話を致しましょう(笑)
私がこの業界に足を踏み入れた17年前・・・
一番驚いたことが、「仕入れ値が後から分かる」って事でした。
例えば、7月の20日頃に特約店(中間業者)から6月に仕入れた分の請求書が届きます。
と言うことは、6月に売っていた分は仕入れ値が分かっていないのに値段を付けて売っていたという事です。
先ず、普通の小売業では考えられないことです。
でも、当時はそれがこの業界の常識でした。
業転玉なんていうのは極々一部の販売店しか手を出していないタブーでしたし、セルフも解禁されておらず、殆ど横一列に並んでいた状態でした。
卸価格も今は週決めですが、当時は月決め(一ヶ月間は同値)でした。
仕入れ値がわからないて事は 大損してるかもしれないって事?
というご質問ですが、
・・・儲けが少なくなったことはあったかも知れませんが、大損することはありませんでした。
何故なら・・・
伝家の宝刀 「事後調整」なるものが公然と存在していたからです!
☆解説しよう。
事後調整とは・・・
例えば「隣のガソリンスタンドが○周年記念でリッター5円引きのセールしたから、うちも顧客離れを防ぐ為に5円引きで売ったから」と担当者に言うと「じゃあ、来月分で値引きさせてもらいます」と・・・まぁこんな感じです。
(※しかし、これも大きな販売店や特約店の話で、うちのような極弱小販売店にはそこまでしてもらえた事はないです)
それが、特石法廃止やセルフ解禁を経て石油の完全自由化等で、この業界にもやっと市場原理主義が到来。
元売に事後調整に応えるだけの余裕が無くなりました。
(★「請負人 越後屋」を読んでね)
※それでも、一部には事後調整は残っているし、差別対価もあります。
規制緩和以降、販売店も頭の切り替えが必要だったのに、それが出来ず勘定ではなく、感情と慣習に胡坐をかいて商売を続けていた所は、事後調整をしてもらえない事で、大損した所もあったかも知れませんね。
そして一昨年の10月に登場したのが「新仕切り方式」です。
週決め価格で、前以て仕切り値を公表するというものです。
(※やっと、これで仕入れ値が分かった上で売り値を付けることが出来るようになりました)
しかし、元売にとってこのやり方は宜しくなかった。。。
・・・・・
7月9日「燃料油脂新聞」より
旧新日本石油(ENEOS)が一昨年10月から市場連動・週決めという新しい仕切りを導入したが、元売・精製の利益確保が進まず、今年6月から現行仕切りに移行した。
土曜日から翌週金曜日までに仕入れた商品の価格が当週金曜日に通知される。
仕切りがわからないまま売っていることになる。
公正取引委員会は6月23日「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」を公表、パブリックコメントを募集している。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.june/10062301.pdf
・・・・・
じゃあ、仕入れ値が分からないのに、どうやって売値を決めているのか?!
うーん。
これも複合的な要素がありまして・・・
①これまでの原油価格や商品相場、市況の変動などからある程度は予想が出来ます。
②PB(プライベートブランド)は業転玉を仕入れて売ります。
この業転玉は、ざっくり言うと作りすぎて余った分なので、早く捌きたい(保存容器に入りきらないから)ので安いです。そして価格も系列玉と違い、取引の際に分かります。
ですから、PBは仕入れた価格に利益を足して売価を決めることが可能であり、仕入れも安いので、当然市況におけるプライスリーダー的な役割をすることになります。
(※安く売った損を取り戻すために、系列玉は高くなるとも言われています)
7月9日の記事に書いた
市況を元に?
市況に引きずられて?
これは、そういうコトです。
他にも、
「2重3重看板の怪」
「発券店値付けカードの怪」
「カードの値引きの怪」など・・・
はい。
世にも奇妙な業界でございます。
仕入れ値が【決まっていなくて】分からないのに、値札付けて売ってるってこと?
そんな嘘みたいな話がほんとにあるの?
仕入れ値がわからないて事は 大損してるかもしれないって事?
とコメントを頂戴しました。
元売さん、よーく聞いてね!!
これが一般消費者の感覚ですよーん!
さて、世にも奇妙な業界のお話を致しましょう(笑)
私がこの業界に足を踏み入れた17年前・・・
一番驚いたことが、「仕入れ値が後から分かる」って事でした。
例えば、7月の20日頃に特約店(中間業者)から6月に仕入れた分の請求書が届きます。
と言うことは、6月に売っていた分は仕入れ値が分かっていないのに値段を付けて売っていたという事です。
先ず、普通の小売業では考えられないことです。
でも、当時はそれがこの業界の常識でした。
業転玉なんていうのは極々一部の販売店しか手を出していないタブーでしたし、セルフも解禁されておらず、殆ど横一列に並んでいた状態でした。
卸価格も今は週決めですが、当時は月決め(一ヶ月間は同値)でした。
仕入れ値がわからないて事は 大損してるかもしれないって事?
というご質問ですが、
・・・儲けが少なくなったことはあったかも知れませんが、大損することはありませんでした。
何故なら・・・
伝家の宝刀 「事後調整」なるものが公然と存在していたからです!
☆解説しよう。
事後調整とは・・・
例えば「隣のガソリンスタンドが○周年記念でリッター5円引きのセールしたから、うちも顧客離れを防ぐ為に5円引きで売ったから」と担当者に言うと「じゃあ、来月分で値引きさせてもらいます」と・・・まぁこんな感じです。
(※しかし、これも大きな販売店や特約店の話で、うちのような極弱小販売店にはそこまでしてもらえた事はないです)
それが、特石法廃止やセルフ解禁を経て石油の完全自由化等で、この業界にもやっと市場原理主義が到来。
元売に事後調整に応えるだけの余裕が無くなりました。
(★「請負人 越後屋」を読んでね)
※それでも、一部には事後調整は残っているし、差別対価もあります。
規制緩和以降、販売店も頭の切り替えが必要だったのに、それが出来ず勘定ではなく、感情と慣習に胡坐をかいて商売を続けていた所は、事後調整をしてもらえない事で、大損した所もあったかも知れませんね。
そして一昨年の10月に登場したのが「新仕切り方式」です。
週決め価格で、前以て仕切り値を公表するというものです。
(※やっと、これで仕入れ値が分かった上で売り値を付けることが出来るようになりました)
しかし、元売にとってこのやり方は宜しくなかった。。。
・・・・・
7月9日「燃料油脂新聞」より
旧新日本石油(ENEOS)が一昨年10月から市場連動・週決めという新しい仕切りを導入したが、元売・精製の利益確保が進まず、今年6月から現行仕切りに移行した。
土曜日から翌週金曜日までに仕入れた商品の価格が当週金曜日に通知される。
仕切りがわからないまま売っていることになる。
公正取引委員会は6月23日「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」を公表、パブリックコメントを募集している。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.june/10062301.pdf
・・・・・
じゃあ、仕入れ値が分からないのに、どうやって売値を決めているのか?!
うーん。
これも複合的な要素がありまして・・・
①これまでの原油価格や商品相場、市況の変動などからある程度は予想が出来ます。
②PB(プライベートブランド)は業転玉を仕入れて売ります。
この業転玉は、ざっくり言うと作りすぎて余った分なので、早く捌きたい(保存容器に入りきらないから)ので安いです。そして価格も系列玉と違い、取引の際に分かります。
ですから、PBは仕入れた価格に利益を足して売価を決めることが可能であり、仕入れも安いので、当然市況におけるプライスリーダー的な役割をすることになります。
(※安く売った損を取り戻すために、系列玉は高くなるとも言われています)
7月9日の記事に書いた
市況を元に?
市況に引きずられて?
これは、そういうコトです。
他にも、
「2重3重看板の怪」
「発券店値付けカードの怪」
「カードの値引きの怪」など・・・
はい。
世にも奇妙な業界でございます。