※この物語はmasumiさんがある男の子から聞いた愚痴を元にしたフィクションです。
又、幸太の祖父は「請負人 越後屋」の登場人物「石崎」です。
(登場人物は全て架空の人物です)(じゃ無かった(汗)約1名友情出演してもらってます(笑))
・・・ある年の5月下旬の日曜日・・・・
行楽客で賑わう駐車場に2台の単車が停まった。
「幸太、どうかしたんか?何か走り方が変やったで・・・」
エンジンを切って愛車セローから降りたとき、ゆうきさんが声を掛けてきた。
「え。そうですか?・・・何でも無いですよ」
「そうか?ほんならええねんけど、何か後ろから見とったら、所々、心許無い走りかた しとったで~」
言いながら肩をポンと叩いて今日の昼休憩場所の但熊へと歩き出す。
ここの卵かけご飯が今日の昼飯だ。
正面に大きなツキノワグマが見える。
といってもそれは女性専用のトイレなのだが。
その熊のトイレを見ながらゆうきさんがニヤリと笑った。
そう、ボクが熊に襲われそうになったところを、たまたま通りかかったゆうきさんが助けてくれたんだ。
あれは去年の秋の終わり・・・
夏休みに頑張ってアルバイトしたお金で念願のセローを手に入れたボクは兵庫県の鉢伏高原周辺にひとりで出掛けた。
授業の無い日には大学の周辺で慣らし運転をしてはいたけど、遠乗りはその日が始めてで、楽しくてついつい夢中でセローを走らせた。
林道は涼しくて景色も綺麗で調子に乗って山道を登っていくと突然エンジンが止まっちゃって・・・
ガス欠。
マジ?ヤベェと思ってバイクから降りると林の方でゴソゴソと何かが動いた。
「誰か人が居たんだ!ラッキー!」と思ったのも束の間、木陰から顔を出したのが熊だと分かった時、恐怖で固まっちゃった。
暫く睨み合いが続いて・・・って言っても一方的に睨まれていただけなんだけど・・・
もうダメかもと思ったとき、後方からカンカンカンカンって金属を叩くような音がして、その音に驚いた熊は林の奥へ逃げて行った。
「あんなチビすけの熊にビビッてんだからなぁ」
ゆうきさんがケラケラ笑う。
「何言ってんですか!こおーんな大きな熊でしたよ」
腕を広げてみせる。
あの時の話でいつもからかわれてしまうんだ。
でもあのあと、ゆうきさんの愛車もセローだったこともあり意気投合して、ツーリングの心得とか色々教えてもらって、こうしてたまにだけど一緒に走るようになった。
前回のゆうきさんとのツーリングの時、
「長時間のツーリングはお尻が痛くなるから、それを防ぐ為にコレ作ったんや。幸太の分も作って来たったで~」と言って、エアーキャップをお尻の形にカットしたヤツを持って来てくれたんだけど・・・
役に立ったかどうか?・・・想像にお任せします。
「セローの弁当箱持ってきたか?」
「はい」
ゆうきさんに教えられてガソリン携行缶も用意してある。
あの時、ゆうきさんが携行缶をカンカン鳴らしてクマを追い払ってくれたんだ。
「よーし、食うぞー」
大盛りご飯に卵を2コ割り入れ醤油を垂らしてかき混ぜる。
たまごと醤油の良い匂いがしてきてお腹がグーって鳴った。
「ハハハ、そんなにお腹空いとったんか?ここは僕が奢ってやるから遠慮せんと腹一杯食べたらええよ」
暫く二人とも無言で卵掛けご飯を掻き込んだ。
ゆうきさんに勧められておかわりしたらゲップが出て、又ゆうきさんに笑われちゃった。
でも、ゆうきさんと居ると何だかほっとする。
「ゆうきさん、ゆうきさんの家ってお墓とかあるんですか?」
「何や、イキナリ。そらあるで。何たって7代続いた由緒ある家系や」
「へーっ・・・凄いんですね」
「凄いんかどうか知らんけど。・・・それがどないしてん?」
「・・・・ゆうきさんがそのお墓参りとかしてるんでしょ?」
「そうやで」
「お寺の付き合いっていうか、お墓の管理とかも?」
「一応な」
「ゆうきさんって子供さん居ましたっけ?」
「おるで、幸太よりちょっと年下の女の子や」
「ふーん、じゃあ、その子が結婚するときは養子さん取るんですか?」
「そやなぁ・・・そら、そうしてほしいけど、こればっかりは相手のあることやしなぁ・・・。てか、何でそんなこと聞くねん?」
「え。・・・何でも無いです。ちょっと聞いてみただけ・・・」
「変なやっちゃな」
※画像はゆうきさんのブログ「セローとぶらり」より拝借しました。
ゆうきさん、ありがとう(^^)/
つづく
又、幸太の祖父は「請負人 越後屋」の登場人物「石崎」です。
(登場人物は全て架空の人物です)(じゃ無かった(汗)約1名友情出演してもらってます(笑))
・・・ある年の5月下旬の日曜日・・・・
行楽客で賑わう駐車場に2台の単車が停まった。
「幸太、どうかしたんか?何か走り方が変やったで・・・」
エンジンを切って愛車セローから降りたとき、ゆうきさんが声を掛けてきた。
「え。そうですか?・・・何でも無いですよ」
「そうか?ほんならええねんけど、何か後ろから見とったら、所々、心許無い走りかた しとったで~」
言いながら肩をポンと叩いて今日の昼休憩場所の但熊へと歩き出す。
ここの卵かけご飯が今日の昼飯だ。
正面に大きなツキノワグマが見える。
といってもそれは女性専用のトイレなのだが。
その熊のトイレを見ながらゆうきさんがニヤリと笑った。
そう、ボクが熊に襲われそうになったところを、たまたま通りかかったゆうきさんが助けてくれたんだ。
あれは去年の秋の終わり・・・
夏休みに頑張ってアルバイトしたお金で念願のセローを手に入れたボクは兵庫県の鉢伏高原周辺にひとりで出掛けた。
授業の無い日には大学の周辺で慣らし運転をしてはいたけど、遠乗りはその日が始めてで、楽しくてついつい夢中でセローを走らせた。
林道は涼しくて景色も綺麗で調子に乗って山道を登っていくと突然エンジンが止まっちゃって・・・
ガス欠。
マジ?ヤベェと思ってバイクから降りると林の方でゴソゴソと何かが動いた。
「誰か人が居たんだ!ラッキー!」と思ったのも束の間、木陰から顔を出したのが熊だと分かった時、恐怖で固まっちゃった。
暫く睨み合いが続いて・・・って言っても一方的に睨まれていただけなんだけど・・・
もうダメかもと思ったとき、後方からカンカンカンカンって金属を叩くような音がして、その音に驚いた熊は林の奥へ逃げて行った。
「あんなチビすけの熊にビビッてんだからなぁ」
ゆうきさんがケラケラ笑う。
「何言ってんですか!こおーんな大きな熊でしたよ」
腕を広げてみせる。
あの時の話でいつもからかわれてしまうんだ。
でもあのあと、ゆうきさんの愛車もセローだったこともあり意気投合して、ツーリングの心得とか色々教えてもらって、こうしてたまにだけど一緒に走るようになった。
前回のゆうきさんとのツーリングの時、
「長時間のツーリングはお尻が痛くなるから、それを防ぐ為にコレ作ったんや。幸太の分も作って来たったで~」と言って、エアーキャップをお尻の形にカットしたヤツを持って来てくれたんだけど・・・
役に立ったかどうか?・・・想像にお任せします。
「セローの弁当箱持ってきたか?」
「はい」
ゆうきさんに教えられてガソリン携行缶も用意してある。
あの時、ゆうきさんが携行缶をカンカン鳴らしてクマを追い払ってくれたんだ。
「よーし、食うぞー」
大盛りご飯に卵を2コ割り入れ醤油を垂らしてかき混ぜる。
たまごと醤油の良い匂いがしてきてお腹がグーって鳴った。
「ハハハ、そんなにお腹空いとったんか?ここは僕が奢ってやるから遠慮せんと腹一杯食べたらええよ」
暫く二人とも無言で卵掛けご飯を掻き込んだ。
ゆうきさんに勧められておかわりしたらゲップが出て、又ゆうきさんに笑われちゃった。
でも、ゆうきさんと居ると何だかほっとする。
「ゆうきさん、ゆうきさんの家ってお墓とかあるんですか?」
「何や、イキナリ。そらあるで。何たって7代続いた由緒ある家系や」
「へーっ・・・凄いんですね」
「凄いんかどうか知らんけど。・・・それがどないしてん?」
「・・・・ゆうきさんがそのお墓参りとかしてるんでしょ?」
「そうやで」
「お寺の付き合いっていうか、お墓の管理とかも?」
「一応な」
「ゆうきさんって子供さん居ましたっけ?」
「おるで、幸太よりちょっと年下の女の子や」
「ふーん、じゃあ、その子が結婚するときは養子さん取るんですか?」
「そやなぁ・・・そら、そうしてほしいけど、こればっかりは相手のあることやしなぁ・・・。てか、何でそんなこと聞くねん?」
「え。・・・何でも無いです。ちょっと聞いてみただけ・・・」
「変なやっちゃな」
※画像はゆうきさんのブログ「セローとぶらり」より拝借しました。
ゆうきさん、ありがとう(^^)/
つづく