初めて読む方もおられるかも知れないので・・・
元売から出荷されるルートには2つのルートがあります。
1つはENEOSや出光等の元売マークを掲げているガソリンスタンドへ卸される正規のルートで、これを系列ルートと言い、そのルートで流れる油を「系列玉」と言います。
もう一つは商社や燃料油卸商などへ卸されるルートで、これは業者間転売ルートといい、その油を「業転玉」と言います。
このルートの違いは、一言で言うと「保証」が付いているかいないか、です。
その「違い」として、「ブランド料」が課せられています。
※ブランド料・・・(品質保証料・安定供給保証料・POSシステムや元売カードの取り扱いに関するコスト)
◆系列ルート
元売 → 特約店(2者店) → 系列販売店(3者店)
元売 → 子会社販社の直営店
◆業者間転売ルート
元売 → 商社や燃料油卸業者 → PB・無印販売店
※これは数年前に行われた政府のヒアリングに対しての元売の説明ですが・・・
系列玉はルートが固定されているので品質を保証するが、業転玉は“転売”という名の通り、ルートが固定されておらず流通過程で何が起きるか分からないので品質等を保証しないのだそうです。
国内で供給不足が起きた場合、先ず業者間転売ルートへ流れる玉が止まります。
3者店とは、
簡単に言えば販売店になりますが、無印やPBの販売店は3者店とは言いません。
系列3者店(元売マークを掲げている販売店)へのガソリン等の流通は、
元売→特約店(中間卸業者=2者)→ガソリンスタンド(販売店=3者店)となります。
特約店も直営のガソリンスタンド(販売店)を有しており、それは3者店ではなく2者店になります。
元売の子会社が運営するガソリンスタンドも同じく3者店とは言いません。
3者店とは主に個人経営の昔ながらのガソリンスタンドの事を言います。
特約店も色々で、一つの元売とだけ契約している地場の特約店(近隣の市に数店の直営の販売店と、他社である3者店を有しているもの)のような中小特約店から、数社の元売と契約しているような商社系などの大きな特約店まであります。
そして販売店だけでなく、特約店も業転を取っているし、取り扱っています。
商社系の特約店は業転玉によるPB(プライベートブランド)SSを全国展開したりもしています。
特約店も吸収合併などの再編や、又元売に買収されたりという動きもあり、業界の構成を説明するのは結構大変なのです。
元売から出荷される油(玉)のうち、系列玉には「ブランド料」と称して4-5円が上乗せされています。
※「仕切り格差」です。
単純にその差額だけならまだしも、元売と系列3者店との間には特約店が入りますので、更に特約店の中間マージン(1-6円)が加わります。
※「系列内格差」です。
ですから最終的にPBや無印のお店よりも、リッター当たり5-10円前後、仕入れ値が高くなります。
そして問題はここからです。
仕入れ値がそれだけ違うのですから普通に考えれば、系列販売店(元売のマークを掲げているガソリンスタンド)の販売価格は高く、PBや無印のガソリンスタンドの販売価格は安い、となるはずです。
しかし元売子会社の販売価格はPBや無印店の安値と同等です。
その理由はインセンティブだそうです。
(そのインセンティブとやらで大手特約店等にも安値で卸しています)
※差別対価です。
同じマークでありながら、PBや無印と同じ値段で売られたのでは、地場の中小特約店や販売店はかないません。
お客さんにも説明が付きません。
競争にも参加できません。
なので系列販売店でありながら「業転玉」を仕入れます。
そして安値競争に参加するか、高値をキープしてマージンを確保するか。
業転玉を仕入れる等して安値競争に参加された場合・・・
同一商圏内の系列100%仕入れで高値で売るしかない同一マークの販売店は、消費者から誤解され、「ぼったくり」のレッテルを貼られるのであります。