夢売るふたり [DVD] | |
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地味に凄みのある役を演じるのが 松たか子さんは上手いなあ。
手のひらの上でコロコロさせていた“オトコ”。
膝の上でヨシヨシしてあげていた“オトコ”。
その“貫ちゃん”が泣いて甘えていいオンナは私(里子)だけなのに!!
というわけで始まった “捻くれたお仕置き”
いいのよ、他のオンナに泣き言を言って甘えても。
でもそれはあくまで私の手のひらの上でのこと。
はい、「結婚詐欺」という罰ゲームの始まり始まり~
しかしそれはやがて里子自身を苦しめることになるのだ。
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里子は、ひとみちゃんに劣等感を抱いたのかな・・・
小賢しいだけの自分と違って、純粋で真っ直ぐで、そしてきちんと努力して生きている。
そんなふうに思ったのかも知れない。そしてそれを羨ましくも思ったのかも。
そんなひとみちゃんに純粋に好意を抱き惹かれていく貫ちゃん。
「今回はパスしようか。だって無理でしょ、私が男でも無理だもん」
その言葉はひとみちゃんの容姿だけが原因じゃあないと思うんだ。
それまでのオンナタチのことは小馬鹿にしてきた。
貫ちゃんにとってはただのカネヅルなんだって余裕でいられた。
罪悪感や嫉妬心なんて感じずに済んだ。
でもひとみちゃんは里子にとって脅威だったんじゃないだろうか。
里子も貫也も(お互いにまだ情があったのに)(このままじゃいけないって思っていたはずなのに)
素直になることが出来ずに、自分たちのやっていることにブレーキを掛けることが出来なかった。
里子には意地があるし
貫也は後ろめたい気持ちとはうらはらに、やっぱり気持ち良かったりもするもんね。
貫也の心身が里子から離れて行く。
里子は寂しくて、
でも自分が仕掛けたことだから自分で自分を慰めるしかない。
惨めだ。
そして
貫也は次のターゲットだと言うけれど・・・
料理包丁まで持って出たまま、その“家族”のところから貫也は帰ってこない。
独りで忙しく働く里子はドブネズミを見つけてドキッとする。
そのドブネズミを、食い入るように見つめる里子はそのとき何を思ったんだろうか。
そしてラストシーン。
傷害事件の罪を被って刑務所に入った貫也。
作業で大きなお鍋に入った食材を一生懸命にかき混ぜている。
ふと手を止め、空を見上げる。
刑務所の部屋の中から見えるはずのない、空を飛ぶ つがいのカモメ。
微笑む貫也
そして場面は港に。
フォークリフトを操縦して働いている里子。
カモメが飛んでいる。
里子の目。
ああ、このヒトはもう貫也の妻ではないんだな。
貫也はまだやり直せると思っているかも知れないけど、
里子は、
このヒトはもう一人立ちしたんだ。
話は戻るけど、
物語の途中での風俗嬢のノリちゃんのセリフ。
別れた暴力的なダンナ (ヒモ?)の治郎が現れて、貫也に向かって「お前、こいつを幸せにしてやれるのか?」
そしたらノリちゃんがこう言った。
「幸せ って、アンタが私を幸せにしてくれた?」、
「私はこんなだけど自分の足で立ってるもん。自分で自分の落とし前つけられたら誰に褒められなくてもいいと思ってる」って。
でもノリちゃんはそれでも情にほだされて男の面倒みちゃうタイプなんだろうね(^^;
それでも結構幸せなんだと思う。
ひとみちゃんも怪我で残念なことになったけど、彼女は後進の指導をしてその子たちから慕われて幸せな老後を送ることでしょう。
そして咲月ちゃんも清々しい笑顔で、巣立ちましたね。
里子は・・・これからどうするのかな?