masumiノート

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事業継承しない決断

2017年06月27日 | ガソリンスタンド3

6月23日 ぜんせきより 


公取委・16年度 不当廉売“注意”732件
石油製品が前年比2倍強と突出

石油業界ではガソリンなどの需要減が顕在化する中、採算を度外視した乱売競争が各地で拡大。
ガソリンの廉売行為に対し、10年1月に施行された改正独占禁止法への期待から不当廉売の申告件数は急増し、
(中略)
だが、一方、経営状況が急速に悪化している地場業者からは、
「不当廉売で申告しても“注意”だけで、過当競争に対してなんの抑止力にもなっていない」との声が多く、申告件数の減少とともに“注意”も減少傾向をたどっていた。

こうした中で16年度は愛知県常滑市にコストコがSSを15年11月にオープンして以降、隣接のユニーオイル(PB-SS)との間で安売り合戦を繰り広げ、同年12月には2社に対し、公取委が警告処分を下した。
しかし、過当競争はその後も続いており、愛知石商(宇佐美三郎理事長)が中心となって、この2社による異常な廉売行為に対し不当廉売申告を継続的に実施。これに追随する形で他府県でも不当廉売申告が活発化した。

過当競争の拡大に対し「地場中小SSの減少により、石油製品の安定供給体制に支障をきたしつつある」との危機感は一層強まっている。



【論説】
「注意」が映す業界の品格 

石油製品小売業では、全農エネルギー、コストコという大資本、さらには地域限定PBから広域PBに急成長したアサヒや日商有田などは、16年度に限っても1社で数十に達する「注意」を受けている構図である。
家電に続いて酒類でも死語になろうとしている不当廉売「注意」は、もはや石油製品小売業にのみ冠される残念な時代が到来している。

小売価格の原点を構成する卸価格に公平公正が求められる」ゆえんであり、過疎地のサブ店SS(3者店)の視点で見て、不当廉売でしかあり得ないような、
業転価格を含めた 卸価格体系 であるのなら、
廉価販売を誘発しかねない制度設計 であるのなら、
精製元売も真摯に改善に踏み出すことこそが正しい道である。
業界の品格が試されているものと位置付けるべきである。



6月24日燃料油脂新聞より


青森県地場業者 事業継続しない決断
「自分でやれるところまで」

数年前に息子から「跡を継ぐ」と言われたが、将来的なことを考えて話し合い、事業継承しないと決めた。
親として子供の気持ちは非常に嬉しかったが、これで良かったと思っている。


地元のモータリゼーションの進展に合わせる形でSSを開業。

「この辺りでは当店が一番早くSS業を始めた。自分が後を継ぎ、地域密着運営を貫いてきたが、大手資本のセルフ店が進出して以降は現金客を中心に顧客数が減った。
現在は昔なじみの常連客を相手に商売を続けている状態だ」

セルフによる安値掲出はいぜんとして続くが、ギリギリの価格差を維持している。

「せめてもう少し燃料油収益を確保できる環境なら、息子に跡を継がせられたかと思うこともないわけではないが、
(中略)
やはり決断は正しかったのだと自分に言い聞かせている」







小売市場の安定化へ (青森)
仕切り価格体系 “透明”“公正”求める


店頭価格差拡大を警戒 (山形)
米沢とは最大18円差に





経営環境厳しさ増す (九州)
需要激減、上下価格差拡大

現存する販売業者は事業の多角化や資金力が強く、経営体質はしっかりしたところが多い。
しかし現在は黒字経営を続ける事ができていても、5年後の経営には疑問が残る。
さらに設備投資にも資金が必要になることで不安が噴出している。

特約店サイドも積極的には経営継続を進めていないところが増えてきた。

「ともに歩んできた販売店だが、引き際も重要だ」と、あえて事業の撤退を促す特約店が増えている。






会社存続へ体質強化 (千葉)
自己責任経営で生き抜く

「元売が減ろうが増えようが、元売の都合に過ぎない。
系列マークを掲げていても元売の政策に沿った経営を行っていては商売を続けられない。
“自己経営責任”のもとで、燃料油販売に頼らないSS運営や、SS以外の業態化を推し進め、経営体質を強化することが会社を存続させるには必要なことだ」。

「地場業者の多くは“系列仕切りが高い”などと言っているが、それなら安くなるように交渉しているのか。安くなるように努力しているのだろうか。
いつまでもガソリンを販売していれば儲かっていた時代の感覚で商売をしていたら、いつかは破たんする。
元売頼りの商売から脱却し、燃料油のマージンは低くても会社経営を続けられるように経営改善に取り組むべきだ。
それでなくてもこれだけSSが減っても経営を続けてきたのだから経営力はあるはずだ」と

仕切り格差が経営をひっ迫させているととらえるのではなく、
「経営者自身が将来のビジョンを明確にして会社経営に取り組むべき」



***以下masumi


>地場業者の多くは“系列仕切りが高い”などと言っているが

それは言わば消費者の声です。

「売り値が高い」=仕入れ値が高い。



消費者は、「高い」と文句を言ってその店が安くならなければ、他の安い店から買うことができますが、系列店は系列玉を買うためには系列ルートで決められた“卸”から買うしかないのです。

だから、「お客さんを騙すような真似はできない」「安定供給」「化管法証明書」といった理由で業転に手を出さない(出せない)系列店は、
「系列仕切りが高い(=格差是正を)」と声を上げるしかない。

>それなら安くなるように交渉しているのか。安くなるように努力しているのだろうか。

交渉(努力)して安くなるのなら、
業転玉に手を出したり、PBになったり、組合がエネ庁長官に「現卸格差は中小SS生存不能」と訴えたりする必要はなかったハズです。





>燃料油販売に頼らないSS運営や、SS以外の業態化を推し進め、経営体質を強化することが会社を存続させるには必要


億近い建設費を要する、「燃料油を売るための、ガソリンスタンド」という施設。
それを維持していくのも半端な金額ではない経費が掛かる。

それでも燃料油のマージンは低マージンで、だから燃料油の利益は当てにせず、経営の多角化で(他の事業の利益で)ガソリンスタンド経営を続けて行くべきだーと。

・・・

この業界の経営者は凄いです。