僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

朝のファミレス

2011年07月31日 | ウォッチング
朝のファミレスには年寄りが多い。

モーニングサービスのトーストにジャムを塗りながらスポーツ新聞に目を落とす男。

夫婦で向かい合い無言でコーヒーをすする二人。
苦手だからなのか好物だからなのか相手の皿にトマトをそっと移す女。
当然のようにそれを食べる男。

資料を指し示しながら真剣な表情で説明している女はルイヴィトンの大型バッグから派手なハンカチを取り出し汗を拭いた。

携帯電話を両手で操作しながら、眼鏡をずり上げたり首をひねったりしている男。
ため息を一つつきトイレに立った。

図書館のバーコードが張り付いている本を読んでいた男は、注文した定食が届くと丁寧にしおりを挟み食事に取りかかる。
納豆!5-6回混ぜただけでご飯にかけ、そのまま食べ始めた。
もっと混ぜないのか。
箸の持ち方が妙だ。

やり手ビジネスマン風の女が隣の席に来た。
ビジネスマン風の女って変な言い方だな。女ビジネスマンか?
いや、ビジネスウーマンだろうか?

縦縞黒のパンツスーツ。携帯電話を2個と10個位鍵のついたキーホルダーをジャラっとテーブルに出した。
そして思った通り雑穀雑炊の定食を注文した。
そして思った通り食べ終わった後、楊枝を使った。

反対側の席でベーコンを口に運んでいた男の携帯電話が鳴り出した。
でかい音だ。しかも喝采!?
♪いつものよおーにまくーがあーき♪
客が皆振り向く。

男はちょっと焦り気味で操作する。
offにするのかと思いきや話し始めた。その声がまたでかい。
テーブルのレシート立てには「携帯電話はマナーモードにして通話はご遠慮ください」との表示がある。

じっくりと見つめると視線が合った。
とたんに横を向いてなおも話し続ける。
そのまま見つめ続けると困ったような顔、だが話し続ける。
客たちもちらちらと視線を向ける。

完全に孤立したろ?
だが続ける。

レシート立てを注意書きが見える向きにしてその男の方へ置き直してみた。
男の視線が戻ってくるのを待って手を離した。
しかし話し続ける。

客が殺気立ってくる。店員の姿はない。



つづく












コメント
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