僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

水の世界

2012年12月05日 | ケータイ小説「パトスと…」


あの子って私みたい

ん、どれ?


ほら、シッポがちょっと赤いあれ

違う!留美子はこっちのあれだな


え~、どれ?

ほら、こっちに来た来た、こいつ


ナァにこの子落ち着き無~い、チョコチョコ動き過ぎ~

結構元気だよな


ねぇ辰雄、魚って水の中でずっと暮らしてるんだよね

そうだなぁ魚だもんな


水の中っていいのかなぁ

何が?


だって魚って上にも下にも行けるし

俺たちは地面の上だけだってこと?


自由なのは鳥と一緒だけど、羽ばたかなくても落ちないし

留美子って魚になりたい?


辰雄も魚ならいいよ

オレ、人間の方がいい


そうだね。人間の方がいいね、やっぱ人間の方がいいよ、人間でよかったー


自分だと言われた魚を目で追いながら、
留美子は何度もつぶやき、
その度に辰雄の肩にぶつけるショートヘアから
優しいシャンプーの香りがした


辰雄は、自分ならどの魚なのだろうと探しながら
留美子と魚になってもいいかな、と思ったりしている。
















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