風評被害懸念相次ぐ
「道新」19日朝刊によると東電福島第一原発から出る放射性物質トリチュウムを含む処理水を海洋放出する方針について政府はいわき市で説明会を開いた。
福島県漁連の野崎哲会長は「土着して漁業をする立場として関係者の理解が得られない」と反対を表明したほか、風評被害への対策や賠償などに懸念の声が相次いだという。
福島県水産市場連合会の幹部は「原発事故による風評被害が残る中、処理水放出で追い打ちをかけられる」と不安視。万全の風評被害対策を求めた。
福島県農協中央会の菅野孝志会長は、周辺諸国で県農産物の規制がいまだ解除されてないのに「安全性について他の国に説明できるのか」と政府の情報発信を疑問視している。
地元自治体からは安全対策で不祥事が続く東京電力の信頼性を疑う意見のほか、「国民の理解が進まなければ、漁業者が風評被害の犠牲者になるのは明らかだ」と清水敏夫いわき市長はいう。
福島県の沿岸漁業は原発事故で操業自粛に追い込まれ、この春ようやく本格操業への移行期間に入ったばかりという。今回の放出決定に伴う落胆は大きい。
菅義偉政権はことあるごとに「国民の命と生活を守る」といっているが、地元住民や漁業者らの理解をどう得ることができるのかその対応を見届けたい。