ヒトリシズカのつぶやき特論

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理化学研究所が開催したバイオ系ベンチャー企業の講演会を拝聴しました

2012年06月26日 | イノベーション
 理化学研究所和光研究所(埼玉県和光市)が開催した第2回社会知創成記念講演会「株式会社カイオム・バイオサイエンス バイオベンチャー企業上場への道のり」を拝聴しました。

 カイオム・バイオサイエンス(東京都千代田区)は、理研の研究成果を基に抗体医薬という“薬”の事業化を図っているベンチャー企業です。理研の研究成果を事業化しようとしているために、「理研ベンチャー」という呼称を名のることが認められています。



 カイオム・バイオサイエンスの代表取締役社長の藤原正明さんは、「創業間もないころは、日本社会では名もないベンチャー企業に対して厳しい対応をする企業や組織もあったのですが、“理研ベンチャー”との呼称は社会的な信用を得るのに大いに役に立った」と説明します。

 このバイオ系ベンチャー企業のカイオム・バイオサイエンスは、2011年12月20日に東京証券取引所マザーズ市場に上場しました。同社の取締役でベンチャーキャピタルのファストトラックイニシアティブの取締役・パートナーである芦田耕一さんは、「同社の上場時に、株価を下げずに上場できたために、同社に投資していたベンチャーキャピタルは利益を得ることができ、投資リターンを得ることができた」と、説明します。

 このことが重要な点は、日本では最近のベンチャー企業の上場時に株価が下がるケースもあり、ベンチャーキャピタルなどの投資家が利益を得ることができず、別の未上場のベンチャー企業への投資をする資金を確保できないという事態に陥っているからです。

 カイオム・バイオサイエンスは当時、理研の研究者だった太田邦史さん(現在は東京大学大学院教授)が発見した「ADLibシステム」という独創的な研究成果を技術化したものです。このADLibシステムは抗体作成法ですが、中身がとても難しいので説明は省略します。

 代表取締役社長の藤原正明さんによると、「従来の抗体作製法は、7~16週間かかるのに対して、ADLibシステムは約10日で作製できる」そうです。この独自の技術は、基本特許として出願され、現在は同社と理研が権利を50%ずつ持っているそうです。

 その後、事業化の方向付けでは紆余曲折(うよきょくせつ)がありながら、抗体医薬をつくる事業などを前面に出すことで、中外製薬やオリンパス、富士フイルムなどの大手企業と共同研究契約を結び、前渡し金などを獲得し、事業開発費をまかなっているそうです。

 今後は、インフルエンザのパンデミック感染症対策向けの抗体医薬などを2018年までに事業化する計画です。日本でも、独自技術を持つバイオ系ベンチャー企業が育ち始めているということを、この講演会では学びました。技術の中身はかなり難解なので、勉強する必要性を感じました。

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