小説家の坂本司さんの「肉小説」を読み終えました。合計6編の短編で構成されており、最初の2つはすぐに読んだのですが、そこでそのままになり、残りを年末休暇に読み終えました。
この小説「肉小説」は2014年10月30日にKADOKAWA(編集は角川書店)から発行されました。
小説「肉小説」というタイトルは、ブタの肉の部位にからんだ内容の短編が並んでいるからです。一回、新聞紙の短い書評に載っていたので、買い求めました。
以下は、短編のネタばらしです。ご了解のうえ、お読み下さい。
一番最初の「武闘派の爪先」は、自分は生き様が武闘派だ思い込んだ若者がヤクザの見習いになって破滅して行く話です。ヤクザの見習いとして、組長から不向きとみなされ、貯めた貯金をだまし取られて、沖縄県に身を隠します。
ところが、沖縄県でたまたま入った飲食店で、おでん風の一品の中に豚足が入っていて何となく食べるのをちゅうちょすると、飲食店の店主の若者がいろいろと聞いてくるので、何となく身の上話をすると・・。
実はこの店主の若者は飲食店の経営が厳しく、サイドビジネスとしてヤクザの手先を務めています。この時には身元不明の者を探していて(身元不明の死体を求めていて)、この客がそのターゲットに・・。この短編は2011年2月に雑誌に掲載されています。その時のタイトルは「豚足」でした。この短編は、不幸はどこにあるか分からないというオチですが、読後感はあまりよくなかったです。
二番目の「アメリカ人の王様」は、婚約者の父親と親しくなろうと、トンカツ屋で初めて二人だけで飲む話です。この婚約者の父親とのぎこちない、互いに相手を探る会話がリアルです。特に食べ物の好みは、育った各家庭の“味つけ”などに左右されます。それを決めているのは父親の好みのケースがあります。
食事の終わるころに合流した婚約者である娘との会話の中から、この父親はふだんは“オレが法律じゃ”とふんぞり返った態度なので、妻である母親に「王様」と陰で呼ばれています。古い夫婦と、これから夫婦になる二人との会話が面白いです。
この短編は2011年11月に雑誌に掲載されています。その時のタイトルは「ロース」でした。なんとなく各カップルの家庭の雰囲気が分かる“人情話”です。短編としてよくできています。
四番目の短編「肩の荷(プラス9)」は自分が尊敬する上司がリタイアし、自分がその後釜の課長に就きますが、部下との関係がいくらかぎくしゃくします。ミスした部下をストレートに怒ったりと人の使い方に悩みます。会社組織のマネジメントに向いていないと悩みます。そして肩こりなどの“四十肩”に悩むようになります。自分の家庭で、ブタの肩肉入りのカレーライスを食べて、結果として肩肘張らずに自然に行きていこうと悟ります。厳しい社会に生きるサラリーマンに多いエピソードです。ただし、タイトルの(プラス9)の謎は解けていません。
この短編集は、実はあるお目当ての単行本を買いに行った時に、偶然見かけて購入したものです。坂本司さんの作品の「和菓子のアン」が面白かったので、買い求めました。今回の短編小説集「肉小説」はまあまあです。たぶん、再読はしないと思います。短編集は寝付けない日などに、好きな短編集を再読するのですが・・。
裏表紙の返しに、坂本司さんの略歴が載っています。デビュー作品は2002年で、その後コンスタントに小説を出している中堅小説家です。ペンネームの“坂本司”は、デビュー作の「ひきこもり探偵シリーズ」の案内役(ワトソン役)からとったそうです。性別・年齢は非公開だそいです。
約10年間での小説の出版数からみれば、中堅作家といえる方です。でも、筆一本で生計を立てるのは大変だろうなと感じました。
この小説「肉小説」は2014年10月30日にKADOKAWA(編集は角川書店)から発行されました。
小説「肉小説」というタイトルは、ブタの肉の部位にからんだ内容の短編が並んでいるからです。一回、新聞紙の短い書評に載っていたので、買い求めました。
以下は、短編のネタばらしです。ご了解のうえ、お読み下さい。
一番最初の「武闘派の爪先」は、自分は生き様が武闘派だ思い込んだ若者がヤクザの見習いになって破滅して行く話です。ヤクザの見習いとして、組長から不向きとみなされ、貯めた貯金をだまし取られて、沖縄県に身を隠します。
ところが、沖縄県でたまたま入った飲食店で、おでん風の一品の中に豚足が入っていて何となく食べるのをちゅうちょすると、飲食店の店主の若者がいろいろと聞いてくるので、何となく身の上話をすると・・。
実はこの店主の若者は飲食店の経営が厳しく、サイドビジネスとしてヤクザの手先を務めています。この時には身元不明の者を探していて(身元不明の死体を求めていて)、この客がそのターゲットに・・。この短編は2011年2月に雑誌に掲載されています。その時のタイトルは「豚足」でした。この短編は、不幸はどこにあるか分からないというオチですが、読後感はあまりよくなかったです。
二番目の「アメリカ人の王様」は、婚約者の父親と親しくなろうと、トンカツ屋で初めて二人だけで飲む話です。この婚約者の父親とのぎこちない、互いに相手を探る会話がリアルです。特に食べ物の好みは、育った各家庭の“味つけ”などに左右されます。それを決めているのは父親の好みのケースがあります。
食事の終わるころに合流した婚約者である娘との会話の中から、この父親はふだんは“オレが法律じゃ”とふんぞり返った態度なので、妻である母親に「王様」と陰で呼ばれています。古い夫婦と、これから夫婦になる二人との会話が面白いです。
この短編は2011年11月に雑誌に掲載されています。その時のタイトルは「ロース」でした。なんとなく各カップルの家庭の雰囲気が分かる“人情話”です。短編としてよくできています。
四番目の短編「肩の荷(プラス9)」は自分が尊敬する上司がリタイアし、自分がその後釜の課長に就きますが、部下との関係がいくらかぎくしゃくします。ミスした部下をストレートに怒ったりと人の使い方に悩みます。会社組織のマネジメントに向いていないと悩みます。そして肩こりなどの“四十肩”に悩むようになります。自分の家庭で、ブタの肩肉入りのカレーライスを食べて、結果として肩肘張らずに自然に行きていこうと悟ります。厳しい社会に生きるサラリーマンに多いエピソードです。ただし、タイトルの(プラス9)の謎は解けていません。
この短編集は、実はあるお目当ての単行本を買いに行った時に、偶然見かけて購入したものです。坂本司さんの作品の「和菓子のアン」が面白かったので、買い求めました。今回の短編小説集「肉小説」はまあまあです。たぶん、再読はしないと思います。短編集は寝付けない日などに、好きな短編集を再読するのですが・・。
裏表紙の返しに、坂本司さんの略歴が載っています。デビュー作品は2002年で、その後コンスタントに小説を出している中堅小説家です。ペンネームの“坂本司”は、デビュー作の「ひきこもり探偵シリーズ」の案内役(ワトソン役)からとったそうです。性別・年齢は非公開だそいです。
約10年間での小説の出版数からみれば、中堅作家といえる方です。でも、筆一本で生計を立てるのは大変だろうなと感じました。
個人的には「ワーキングホリデー」という”ホリデー”シリーズが好きです。
元ヤンキーで、ホストをしていた主人公の男の元に、突然、小学5年生の息子が訪ねて来て、一緒に暮らし始めます。ホストを首になり、宅配便ドライバーとして生計を立てます。
この実の息子がしっかり者です。人情味あふれる小説です。
「和菓子のアン」も好きな作品です。
同書のヒロインは、デパート地下の和菓子ショップでパートとして働きはじめ、和菓子の奥深い世界に引き込まれていきます。店長などに怒られながら、お客様の気持ちを大切にして一生懸命に働きます。
今風の若い女性が和菓子の魅力を追究する、でも雰囲気がある青春もの、少しミステリーです。
坂本さんの暖かい視線を感じます。この点が好きです。
しかも、既に多くの本が文庫本になっています。
次の出張の際に車中で読んでみます。