おやままさおの部屋

阿蘇の大自然の中でゆっくりのんびりセカンドライフ

「五年の梅」再読

2015年10月23日 07時40分16秒 | 読書


乙川優三郎は好きな作家だ。

同じ世代だが、繊細な感性と美意識。芯のしっかりとした倫理観と道徳性。
そして何より市井の人々が何気なく表出する人情の温かさ。

「五年の梅」を何気なく手にとって読み始めた。

かなり読んだ後、あれっこれ読んだ覚えがどことなくあるぞー

年は取りたくないものだ

体が動かなくなるのは年齢による身体の全体的な劣化現象で
やむを得ないとしても、頭の劣化は防げないものかー

政治家は口が巧い。過去の記憶でもすらすらと流れ落ちる滝水みたいに流暢。

権力者として煽てられ、大きな金を握るようになりでかい家に住み、美味い
ものばかり喰い、何不自由なく暮らしているから頭の劣化も緩やかあのか?

もの忘れがひどくなっていくばかり。本を読んでいても途中で何度も振り返
らざるを得ない。時代小説でも推理が入ってくるとストーリーが複雑さを究
め、こんがらがってくる。

いつも細かいことを捨象して次に進めていくのだが、情けなくもある。

さて「五年の梅」、兄妹がいて、武家の兄の友達がいて姉とは許婚の約束がある。

兄が殿様の料理番。なかなか食の進まない殿に料理の工夫に苦労している。

友達はある日意を決して、殿に諫言する。食の贅沢をほどほどにするべきだ。
食べる料理で家来が死ぬほどの思いで悩んでいるのにー

そして当然ごとくに、蟄居を命じられる。

妹は添い遂げる覚悟を決めていたが突然の相手の蟄居。

妹は強欲な高利貸しに嫁いでしまう。

その妹を取り返すべく友はある計画を思いつき実践する。

・・・

この本は短編集だが、思い出に残る作品に「小田原鰹」というのがある。
どうしようもない男に嫁いだ女がある日意を決して出ていく。

そして、帰らぬ妻を次第にあきらめながら、少しずつ我が身の姿を振り返る。

この家に初鰹が送られてくる。江戸では高価な代物。これを惜しげもなく
長屋の皆の衆に振舞う男。

遠くで一人で生きてきた元妻が送っていた初鰹。

この二人の再開は?


最新の画像もっと見る

コメントを投稿