まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

のれん=非償却資産の理由は不明

2010-06-06 18:28:06 | 企業投資

○ 国際会計基準や米国会計基準では、のれんは償却資産ではありませんね、ところが、日本の会計基準では、現在のところ最大20年の償却資産ですね。

       米国では、2001年に財務会計基準書(SFAS)第142号「のれんその他の無形資産」で、減損テストは行ないますが、のれんの規則的な償却を認めない旨を公表しました。それまでは40年以内に規則的に償却しなければならないと定めていました。これを受けてのれんの規則的償却を定めていた国際会計基準(IAS)第22号「企業結合会計」に代えて,国際財務報告基準書(IFRS)第3号「企業結合」を2003年に公表して,のれんの規則的償却を認めなくなりました。国際会計基準も米国会計基準でも償却資産だったのですね。

○ なぜ非償却資産としたのでしょうか?その理由がはっきりしません。理由としては、①償却期間に合理性が無く、恣意的に設定できる。②のれんの価値は減らないから。③価値が下がれば減損処理すればよいからということが書いていました。①については、合理的に考えて一定期間、例えば10年とすると社内の連結会計規則で決めて開示すれば良い事ですが、どうもその辺の開示はきちんと行われていないようですね。社内で10年と決めておきながら、大型の買収をしたある会社が、この件だけは20年とか恣意的なことをするからいけないのです。②については、自家創設のれんはのれんとして計上しませんから、例えば他社から買収等したのれんは、ほっとおけば当然価値は減ります。また、上記の考え方は②と③が矛盾します。価値は減らない、でも価値が減ったら減損すれば良いという考え方というのはおかしな考え方ですね。納得性の無い・合理的な根拠のない考え方ですね。

○ 米国では、2000年前後ITバブルでM&Aが盛んでしたから、買収企業は莫大なのれん代を計上しましたね。見かけの利益を増やすには、償却資産が少ないほうがいい訳ですから、業績をよく見せかけよう、株価をアップさせようなどという不純動機が、裏であったのではと勘ぐりたくなりますね。

       どうして、価値が減らないのですか?コカコーラとかマクドナルドというブランドは一流ののれんですね。しかし、その価値の維持のために多額の広告宣伝費・販売促進費を使います。これらの費用によりブランドが維持されているのです。ほっとけばブランドは、急激に廃れて価値が落ちます。コカコーラが、10年も広告宣伝をしなければ、街の自動販売機を見て「まだあるんだ」とか「もう消えたと思ってた!」となりませんか。

○ 即ち、多額の費用を使って価値を維持・増進する。でもその部分は自家創設のれんの部分ですね。取得した部分は、右下がりで価値が減価していきます。もし価値が一定なら、取得部分は減価していき、自家創設部分がその分増えるから、結果として価値が維持されている。しかし、自家創設のれん部分は計上しませんから、取得したのれんは価値が減少します。なのにどうして非償却資産とするのででしょう?⇒私は、非償却資産とする合理的説明をしている資料や論文を見たことがありません。(根拠を詳説した論文などをご存じの人はご教示お願いします)

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