まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

米国での民事訴訟と開示手続(Discovery)①

2011-04-26 22:17:51 | 商事法務

  米国の民事訴訟制度は、連邦裁判所と州裁判所の二重の制度になっていますね。別に州裁判所が連邦裁判所の下に来るわけでもありません。今回は連邦裁判所の民事訴訟について書いてみましょう。といっても州裁判所の民事訴訟規則や民事訴訟法典を知っているわけでもありませんが。でも州では連邦裁判所の民事訴訟規則(Federal Rules of Civil Procedure=FRCP)をかなり採用しているようです。しかし、違う部分も多いようです。例えば、訴状を裁判所に提出しなくても被告への呼出状を裁判所が出してくれるところとか、呼出状は弁護士が作成するという州もありますので要注意ですね。

  原告=plaintiffが訴状=complaint連邦地方裁判所(District Court=全米で91あるようでうね)に提出すると訴訟が始まりますね。そうしたら、裁判所の書記官が呼出状を発行し、それを原告に交付します。

  原告は被告=defendantに、summons=呼出状と訴状=complaintの写しからなる召喚状を速やかに送達(service of process)します。直接被告に手渡しても(personal service)良いのですが、まあ郵便による送達も認められていますので、郵便が多いのではないでしょうか。

  これに対し被告は管轄権の欠如や法廷地(venue)の不適正等を理由として、訴えの却下を申し立てることもあります。例えば米国企業が日本の会社を訴えたときには、法廷地が不適正・対人管轄権が無いということのみで応訴することもありますね。これをspecial appearanceと言いますね。これに対して裁判所の管轄権に異議を留めず応訴することをgeneral appearanceと言いますね。

  原告は、訴状を提出すると、これに対して被告は原則として一定期間内に答弁書(answer)を原告に返しますね(答弁書の前にmotionを起こす場合もありますが)。訴状には、①裁判所の管轄権の根拠、②請求原因の表示、③要求する判決内容が記載されています。

  上記の様な、訴状や答弁書のやりとりを訴答(pleading)といいますね。訴訟において、両当事者が、請求・防御について自らの主張を記載した書面のことで、相手方当事者・裁判所に提出されます。訴答によって、訴訟の対象となっている争点を絞るわけですね。

  宣誓供述書(affidavit)等により事実に関する争いが存在しないことを証明し、当該事実に実体法を適用すれば当然自分が勝訴する主張して、事実審理を経ないで勝訴判決を求める事ができます。これを略式判決の申立(motion for summary judgment)といいますね

l  宣誓供述書=事実に関する任意になされた供述で書面化され、しかも宣誓(oath)又は確約(affirmation)により真実であることが担保されたもの。

  次に来るのが開示手続(discovery)ですね。開示手続きにより、双方とも争点の整理が出来ますし、また不意打ちがなくなるわけですね。これが重要でかつ大変です。当事者が主体となって証拠収集を行ないます。これはPre-trialであり、その後は事実審理前会議(pretrial conference)を弁護士と裁判官との間で行い、争点整理、訴訟の方向付け、事実審理(trial)の方法、和解の可能性を探ります。この会議の結論はpretrial orderと呼ばれ、その後の訴訟の進行を規律します。そしてtrialとなります。米国では事実審理は陪審が行います。

長くなりますので、分割して次回は開示手続きからということにします。

コメント (1)
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