goo blog サービス終了のお知らせ 

まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

米国の裁判所制度

2013-05-03 15:22:43 | 商事法務

 

 米国には州裁判所と連邦裁判所がありますね。しかし、これらは独立していて一部の例外を除いて、州裁判所の上に連邦裁判所があるわけではありません。州が集まって合衆国ができたわけで、そういった経緯もあると思います。また州裁判所は、州法で独自に組織できることになっています。

 

 連邦の裁判所制度

(1) 通常の連邦裁判所

 District Court(連邦地方裁判所)⇒②Court of Appeals(連邦控訴裁判所)⇒③Supreme Court(連邦最高裁判所)

 連邦が裁判権を持つ全ての民事・刑事事件を取り扱います。各州に少なくとも1つあります。尚、Chapter 11等を取り扱うBankruptcy Court(倒産裁判所)は、District Courtの一部門です。

 控訴裁判所は、全国13Circuit(巡回区)にあります。通常は3人の裁判官で行いますが、重要事件は裁判官全員で行います。

 最高裁判所は、ワシントンにあり、裁判官はChief Justice1名と定員8名のAssociate Justiceから構成します。

 最高裁判所への上訴の方法には、AppealCertiorari(セルシオレイライ)2つがあります。Appealは、控訴裁判所で州法を連邦憲法、条約・法律に違反するとして無効とした場合で、かつ連邦法上の問題のみ争う場合に限り上訴できることになっています。Certiorariは、当事者が任意に上訴できますが、上訴を受理するかは最高裁判所の自由裁量となっています。<o:p></o:p>

 

(2) 特定の事件を取扱う連邦裁判所

1) Claims Court(請求裁判所):不法行為以外の合衆国に対する請求を扱います。但し、次の2)の専属管轄事件を除きます。

2) Court of International Trade(国際通商裁判所):関税法、通商法等に関する事件を扱います。

3) Court of Appeals for the Federal Circuit(巡回区控訴裁判所):上記1)&2)の判決に対する控訴、及び連邦地方裁判所の特許・商標・著作権等に関する判決に対する控訴等を受け付けます。この判決の上訴は、連邦最高裁判所になります。<o:p></o:p>

 

 州の裁判所制度 

州の裁判所をどのように定めるかは、それぞれの州が州の憲法その他の法律で定めることができます。名前も,Circuit CourtとかDistrict Courtとか様々です。

Delaware州等一部の州では、コモン・ロー裁判所 (court of law) と衡平法裁判所 (court of equity) を区別していますが、大半の州では裁判所は統一されています。Delaware州では、会社法専門の衡平法裁判制度が確立しています。裁判は陪審員でなく裁判官が行いますし、企業側に有利な判例が多いようです。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 連邦裁判所と州裁判所間の管轄権

連邦裁判所は、連邦憲法及び法律で特別の定めをしたものに限り訴訟事件として扱うことができますが、州裁判所は原則としてあらゆる事件を取扱うことができます。連邦裁判所で取り扱うことのできる主なものは以下です。

 連邦の問題を含む訴訟:連邦憲法・法律、条約に関する問題を含む民事事件。

 州籍の相違:別々の州や外国の者間との訴訟等

 海事・独禁法・倒産法、特許・著作権等の事件

 州同士、あるいは合衆国が原告・被告となる訴訟、大使館・領事に関する訴訟

 その他

上記の内、③と④は連邦裁判所のみに専属管轄権がありますが、その他の件は州でも連邦でもどちらの裁判所にも提訴できます。しかし、州裁判所に訴えられた被告は、原則として連邦裁判所に移送させることができます。また、連邦裁判所が連邦法のみを適用したり、各州の裁判所がその州だけの法律を適用したりするのではなく、連邦裁判所が州法を適用したり、州裁判所が連邦法・他の州法を適用する場合もあります。<o:p></o:p>

 

 州最高裁判所から連邦最高裁判所への例外的上訴 

連邦裁判所と州裁判所は、それぞれ独立していますが、例外として以下等の場合に限り州最高裁判所から連邦最高裁判所への上訴が認められています。

 州最高裁判所で、連邦の条約・法律を無効としり、効力が問題とされたとき。

 連邦憲法・条約・法律に違反したとして問題とされ、州法を有効にしたとき。

③ 連邦憲法・条約・法律に基づく権限・権利・免除が主張されたとき。

Dsc00099_8