まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

取締役会設置会社の代表権等

2013-07-15 18:49:12 | 商事法務

 

 ①日本の会社法362条(取締役の権限等)は、取締役会の職務として2項で以下を定めています。①業務執行の決定、②取締役の職務の執行の監督及び③代表取締役の選定及び解職、また4項として取締役に委任できない事項として、①号から⑦号までの事項(重要財産の処分・譲受、多額の借財等)に加え「その他の重要な業務執行の決定」としています。即ち、業務執行の決定等が取締役会の職務ですね。また、代表取締役の選定と規定していますので、社長を代表取締役として選定する義務もありません。会長だけを代表取締役とすることも可能ですし、例えば株式会社田舎村なら、代表取締役村長でもいいわけですね。<o:p></o:p>

 

②業務執行権限については、363条1項で、①代表取締役と②代表取締役以外の取締役であって、取締役会決議により業務執行する取締役として選定(選定業務執行取締役)されたものが業務執行を行うとされています。即ち、選定業務執行取締役は、会社業務について対内的な権限だけを持っているだけであり、対外的に会社を代表する権限は無いということですね。但し、354条の表見代表取締役の規定で「代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。」と規定しています。<o:p></o:p>

 

 

 一方、代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する349条)としています。また、商法25には以下の規定があります1)商人の営業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。 2) 前項の使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。 <o:p></o:p>

 

 

 不思議な規定ですね。実務とかけ離れていると思いませんか?即ち、以下等ですね。

1) 代表取締役社長と取締役社長とは違う。即ち、取締役社長でも代表権が無い場合があるということですね。でも、かなりの会社では、取締役社長とだけ書類・契約に記載されて対外的業務執行が行われています。株主総会は、取締役が招集する(296条)ことになっていますが、規定としては、取締役会が招集を決定し、執行機関である代表取締役がこれを執行してする。即ち「招集ご通知を」株主に送付しますが、厳密には取締役社長では無く、代表取締役社長と明記して行うべきものですね。代表権を持っているのに、代表取締役社長と記載せずに、取締役社長とだけ招集通知に記載して株主総会を招集している会社が結構あります。銀行取引などでも取締役社長の名前で行っている場合もあります。なぜ正確に代表取締役社長と記載しないのでしょうか?<o:p></o:p>

 

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2) 例えば、人事担当取締役名で採用通知を出しますね。これって会社を代表した行為ですよね。社内では、採用計画を立てて人事業務を執行します。それに基づき多くの外部の企業と採用パンフレット印刷・ビデオ作成、関連取引を行います。会社の業務というのは、内部だけとか外部とかだけというのでは業務を遂行できないのです。内部業務・外部業務は表裏一体なのです。<o:p></o:p>

 

 

3) 商法25条によれば、例えば「購買部長」ならば、原材料等の購買業務を行う権限を授権されていると考えられますので購買権限があります。取締役購買部長なら、購買部長として権限はありますが、取締役では権限があるかわかりません。単なる「取締役」が購買した場合は、代表取締役から購買権限を授権されているかいちいち調べないとわかりませんし、購買権限が授与されているか委任状を見せてくれといっても無い場合が多いでしょう。普通は社外秘の社内の権限規定に記載されていることが多いのではないでしょうか?<o:p></o:p>

 

会社法の規定は、なんとなくすっきりしませんね。

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コメント
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