まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

合弁契約の関連契約

2015-08-08 08:16:07 | 企業一般
○ 新興国で工場を建設したり、製品販売をしようとするときは、やはり現地の事情を知っている現地パートナーと組んで、合弁会社を設立することがよくあります。そして、そのパートナーと合弁契約を結びます。しかし、それだけでは会社は動き始めません。合弁契約で、会社の本店住所、資本金や株式保有比率、役員構成などを決め、また定款を定め、会社登記局などに登記を済ませば会社はできますが、中には何もありません。従い、合弁契約に、当事者の役割を記載して、会社が成立すれば、それぞれが協力し合って会社を立ち上げます。ということで、今回は、どういった立ち上げに必要な契約があるのか一例をあげましょう。

○ では、会社立ち上げのための各種契約にはどんなものがあるのでしょうか。まず列挙しましょう。①工場建設用地取得契約、②工場建設のエンジニアリング・建物建設契約、③オフィスリース契約、④総務・管理業務委託契約、⑤ローン契約、⑥アパート賃借契約、⑦技術支援契約、⑧経営委任・派遣契約、⑨その他契約ぐらいでしょうか。

工場用地取得契約-国によって外資系企業は用地の取得ができません。中国やインドネシア等は土地賃借権・使用権の取得契約となります。工業団地などでは、その団地の運営会社が協力してくれますが、普通の土地の取得なら手間がかかります。普通は、現地の土地の状況、不動産取得、手続き、注意点を知っている合弁パートナーの協力を得ます。土地の調査―汚染、地耐圧、周辺環境、電気・ガス・水道の利便性、排水処理方法等種々の規制がありますので、やはり合弁相手の協力を得ます。

工場建設のエンジニアリング・建物建設契約-日本の大手建設会社なら大丈夫ですが、現地の普通の建設会社なら、まず日本人のレベルから行ってまともにできないでしょう。中国・インドなどでは、別に決められた設計図・計画などお構いなしで、いろんな手抜きを行うのが常識です。ですから、その上にエンジニアリング会社を置いて、計画通り・設計通り進むように手当てします。といっても計画通り進むことはまれです。遅れます。建設現場の連携は非常に悪いので、上工程ができるまで下工程は着手しませんし、自分の担当分野しかしませんので、単体は完成しても、連結してもうまく進まない、ましてや全体最適などは考えていませんので、そこは欧米委の一流・優秀な、でもお金も高いエンジニアリング会社の起用が必須です。高くても、それが結局得なのです。

オフィスリース契約-合弁会社への出向者が決まっても、本社工場ができるまでオフィスがありません。合弁パートナーのオフィスの間借り契約も必要です。

総務・管理業務委託契約―工場建設・関連の許認可取得などは合弁相手に頼みましょう。現地語で書類作成などできません。言葉が通じません。原材料を海外から手当てするときは輸入ライセンスが必要です。また現地語・現地のGAAPで経理をスタートさせなければなりません。しかし、優秀で信用できる人など簡単に採用できません。合弁パートナーに手伝ってもらうわけですね。

ローン契約-資本金のみでは資金が足りない場合には、株主からのローン供与の契約を結んで資金投入をします。中国では、投資総額・登録資本が批准証書にきさいされますので、その範囲の親子ローンですね。インドでは、株主は運転資金のローンはできません。あくまでも設備投資のローンです。ローン供与でも新興国では規制があります。

アパート賃借契約-出向者は普通、現地で外国人用の高級Condoを社宅契約で結びます。この契約書は、不動産仲介会社がひな形に記入して用意をしてくれますので、それに署名すればいいですね。

技術支援契約-工場立ち上げには、工場のレイアウト、機械設備の選定、据え付け、試運転等の支援が必要です。日本側の合弁パートナーが結ぶケースが多いです。

経営委任・派遣契約-これは派遣経営者、従業員の出向と合弁会社の雇用条件等を記載します。現地での労働ビザ取得に必要な場合も多いですね。

その他-工場が立ち上がれば、技術提供のライセンス契約、原材料輸入契約、現地販売代理店契約、従業員雇用契約など、いろいろな契約を作ります。

まあ、労力がかかるということですね。
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