まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

Malaysiaの新会社法

2017-06-03 22:13:50 | 商事法務
○ Malaysiaの新会社法(Companies Act 2016)が2017年1月31日から施行されました。従来は、Companies Act 1965で、1965年の法律であり改正では無理があり、全面的に改正されました。定款作成義務や株主総会開催義務等を廃止しており、結構大胆な会社法ですね。ということで、今回は、その改正内容等について書きましょう。

定款作成義務の廃止:従来、Malaysiaに限らず、イギリス法系の会社法を採用している国では、法律の別表(Schedule)に、一番簡単な定款の例を記載して、これを利用することが一般的でした。Malaysiaでは、基本定款=Memorandum of Association (MoA:会社名、本店所在地=Malaysiaとだけ記載してもOK、目的、有限責任である旨、授権資本、設立時株式引受人等を記載)と付随定款(Articles of Association = AoA)の作成義務があり、AoAについては、1965年法のForth Scheduleをそのまま採用する例が多かったです(MoA + AoA = Memorandum & Articles of Association)。
ところが、2016年法では、定款=Constitution作成義務を廃止しました。勿論、きちんとした定款作成を望む場合には、作成できます。既存会社は、定款を持っていますので、既存定款をConstitutionと見做して定款作成会社とします。しかし、既存定款を配する決議をすれば廃止もできます。
定款のない会社の経営は、株主総会と取締役会決議、及び会社法の規定に従って組織運営されるんですね。
MoAには、会社名等の会社の基本的事項が記載されていましたが、これが廃止されたらかわりに、Super Form (electronic template)が導入されました。このFormは、MyCoID 2016 Portalにアクセスして入手しますね。

定時株主総会開催不要:2016年法290条では、A resolution of the members – of a private company shall be passed either (a) by a written resolution; or (b) at a meeting of the members.と規定されています。
従い、株主総会を開催しなくても書面決議だけでできるわけですね。株主が1人の会社では便利ですね。中国の外商独資企業の場合には、株主会の開催義務が無く、株主決定書だけでできるのと同じような制度ですね。

額面株式の廃止:Malaysiaの会社の株式は、額面RM1.00/shareでしたね。しかし、新法74条では、All shares issued before or upon the commencement of this Act shall have no par or nominal Value.として無額面株としました。

発起人・取締役1人がOK:従来Malaysiaでは、会社設立に際しては発起人が2人で取締役も2人必要でした。Malaysiaでは、形式的に会社を設立するときは、発起人2人が、RM1.00/Shareを2株Subscribeして会社を設立していましたね。所謂RM2会社ですね。この要件が新法では廃止されました。従い、1人の発起人(会社)が、100%子会社を設立の時から作れるようになりました。

○ その他、今回の改正では、従来、裁判所の決定(Court Order)が必要だった減資も、Solvency testを行うことにより可能となりましたね。一方、会社法違反の取締役への制裁は強化され、最高は5年の懲役and/or RM5 millionになっていますね。