とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

源氏物語を読む㉓「初音」

2025-01-29 07:57:27 | 源氏物語
「源氏物語を読む」シリーズの23回目、「初音」です。自分の備忘録として書き残しておきます。

この章段は、人物の整理をしているように感じます。六条院の現状紹介と、いよいよ中年を迎えた源氏と、かつて愛した女性も少し年を取り始め、容貌や物腰に変化が表れてきていることが描かれます。

光源氏36歳の新春。源氏は正月なので、六条院の各屋敷を巡ります。春の町で紫の上と新年を祝います。その後、花散里の所にあいさつにいきます。そこで玉鬘にも会います。夜は明石の姫君の所に行きます。紫の上は気分を害します。翌日は末摘花や空蝉を訪問します。空蝉は忘れたころの登場で、ちょっとびっくりです。

とりたてて何かが起こる章ではないのですが、さまざまな人物関係が整理されて、これから何かが起こりそうだという気がしてきます。

源氏物語は紫上系と玉鬘系の2系列があるとの学説があり、今日ではそれは認められている状況です。紫上系は本編であり、玉鬘系はそのスピンオフのようなストーリーで、おそらく後から付け加えられたものと考えられます。

以下の巻が玉鬘系に含まれるとされています。
2帚木、3空蝉、4夕顔、6末摘花、15蓬生、16関屋
玉鬘十帖(22玉鬘、23初音、24胡蝶、25蛍、26常夏、27篝火、28野分、29行幸、30藤袴、31真木柱)

玉鬘系は、光源氏との関係が限られたものであり『源氏物語』全体のストーリーと絡みません。また描かれている光源氏の恋愛の対象となる主要な女性が紫上系で描かれている「上の品の女」より身分の低い「中の品の女」です。

このことを理解していると『源氏物語』は整理しやすいようです。

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源氏物語を読む㉒「玉鬘」

2025-01-26 16:22:03 | 源氏物語
「源氏物語を読む」シリーズの22回目、「玉鬘」です。自分の備忘録として書き残しておきます。2年以上間が空いてしまいました。情けない。なんとか頑張って続けて行きたいです。

亡くなった夕顔の娘が見つかります。名前は玉鬘です。母の死後、幼いころに乳母一家に伴われて筑紫へ下国し、20歳になっています。乳母はすでに死んでいます。その美しさのために肥後の豪族大夫監に強引に求婚されます。乳母の長男の豊後介は、玉鬘を船で京に連れて逃げます。そこでかつて夕顔の侍女であり、今は源氏に仕える右近に再会します。源氏が夕顔の娘をさがしていたので、右近は源氏の所に来るように言います。

六条院では玉鬘は親代わりとして花散里に面倒を見させます。花散里は柔和で温かい性格で、玉鬘と初めて出会ったときからお互いに親しみを感じ、すぐに打ち解けます。花散里の優しさと包容力は、玉鬘にとって大きな支えとなり、彼女の新しい生活において欠かせない存在となります。

夕顔と源氏は関係を持ったのですが、実はそれ以前に夕顔は当時の頭中将と関係を持っており、玉鬘は頭中将と夕顔の子です。ですから源氏とはなんの血のつながりもありません。このあたりが波乱の要素になってくるのです。

六条院にたくさんの女性をかこっている源氏にとってはちょっと渋滞気味のような気もします。そこで視点を変えて玉鬘を中心に物語を進めていったのかもしれません。
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山形市は今年も暖冬

2025-01-25 16:58:02 | 社会
ここ数年、山形市は暖冬である。30年くらい前は、1月くらいだと道路に当たり前のように根雪があったのですが、ここ数年はほとんど根雪がなくなりました。朝早く道路の雪をどけるための除雪車が通るのですが、それが今年はほとんどありません。あきらかに暖冬であり、それがしばらく続いていると言っていいでしょう。

真冬日も今年はほとんどありません。かつては寒気が居すわり、数日間ずっと真冬日になることが当たり前のようにあったのですが、今年はそれがありません。もちろん冬だから寒い日もあるし、雪も降るのですが、昔と比較すると本当に生活しやすくなっています。

今日も晴れていて、遠くのほうから女子高生の元気な声が聞こえてきます。見てみると、グラウンドでソフトボールの練習をしているのです。1月にグラウンドを使えるなんて信じられません。例年は、3月になってようやく使える日が出て来るのが普通なのです。

野菜が高い状態が続いています。これも暖冬のせいでしょう。卵の値段が高い。鳥インフルエンザも暖冬と関係があるような気がします。米が高くなっている理由も猛暑が原因だということです。(米が高くなっているのは、ほかの理由が大きいような気がするのですが、ここでは触れないでおきます。)

温暖化は東北に住む人間にとっては良い事ではあるのですが、経済に影響が出て来るまでになるのだとすれば、喜んでばかりもいられません。しかもここまで来ると、将来が不安になってきます。

立ち止まる事、後戻りすることを真剣に考えなければならないのかもしれません。

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スキーマ2

2025-01-23 17:14:11 | 教育
スキーマについて前回書きました。スキーマと言うのは学習上重要な概念であり、スキーマを作り上げるのが教育の目的ではあります。しかし、スキーマはステレオタイプに陥りやすいという欠点もあります。一度出来上がったスキーマはかなり強固なものであり、万一変なスキーマが出来上がってしまったら、取り返しのつかないことになってしまいます。具体的には差別などです。

これは教育ばかりの責任ではありません。社会全体での思いこみも間違ったスキーマを作り上げることになります。世界の対立はそういう所から生まれているわけなのでこれも注意しなければいけません。

また、間違ったスキーマは逆に教育効果を大幅に下げてしまう危険性があります。だから教育者は有益なスキーマを作る必要があります。

スキーマについての、別次元の大きな問題として、スキーマを身に付ける方法は簡単ではないと言うことです。小さい子供ならば遊びの中で身に付けて行きます。しかしある程度の年齢になると遊びだけではうまくいきません。そもそも遊んでいる時間もそんなにとれないのです。訓練が必要になります。とは言え、それが強制的なもので、本人がやる気がないのにやらされている場合はうまくいきません。宿題をたくさん与えてもなかなか見に付くものではないのです。かと言って、自主性にまかせてばかりいてはまったく無意味です。かつて「ゆとりの時間」の失敗はそこにあるのです。

教育は試行錯誤の最中です。一番危険なのは試行錯誤のくせにこれをやれば効果が上がると偉そうに言う研究者です。東大の教育系研究者なんて、はじめっからできた人間だから、スキーマを作る苦労なんかわかりっこないのです。
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スキーマ

2025-01-20 17:30:42 | 教育
心理学に「スキーマ」という言葉があります。言語学を学んでいるときによく耳にする用語です。学習理論としてもよく耳にします。スキーマって何なのでしょう。

スキーマ(schema)というのは、自分の頭にある知識・知識の枠組みのことです。

例えば「学校」というと何を思い浮かべるでしょうか。ある建物の中に、教師と生徒があつまって、勉強しているイメージがあるのではないでしょうか。生徒たちは遊んだり、競争したり、しながら朝から夕方まで過ごしています。そんな漠然とした頭の中にある概念がスキーマです。

頭の中にはこのようなスキーマがたくさんあると言われています。「中国人」「日本人」「アメリカ人」などに対して持つステレオタイプもスキーマの一種です。

勉強している時、スキーマがあればわりと吸収が早く、効率的に知識が身に付きます。逆にスキーマがないと、知識が上滑りでまったく身に付きません。

学校の学習で、ただ知識を丸暗記したのでは、スキーマがないところに詰め込むのでほぼ無意味です。枠組みがない状態でただ年号だけ覚えるような歴史の勉強をしてもなんの意味もないのです。だから教育の本質はスキーマをどう作っていくかであり、すでに出来上がったスキーマに欠陥がある場合、それを見つけて修正していくことになります。

私も今、スキーマについて学んでいます。うまく説明できるようにこの場で考えていきたいと思います。
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