とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

山形県知事選が変なことになっている。

2024-12-30 15:53:00 | 社会
任期満了に伴い2025年1月に山形県知事選が行われる。この知事選挙5選を目指す現職の吉村美栄子氏が無投票で当選する雲行きだった。吉村氏は無所属であるが、民主党寄りの候補で、県政の野党は自民党である。県議会議員は自民党が多数なので、自民党がきちんと対応しておれば、自民党寄りの候補が当選してもおかしくない。しかしいかんせん適当な候補がいないのである。そこで今回は自民党が初めて吉村氏を支援することになり、オール与党で吉村氏を推薦することになったのである。

正直言ってこれに私は失望した。吉村氏の県政がまったくだめだというわけではないが、気になる所も多くあり、しかも5選はさすがにやりすぎだ。20年間県政のトップにいれば歪みがでてきて当然であり、そのためには新しい血が必要なのは国政と同じである。いや、狭い地方の方が、権力が固定化しやすい。地方の方が多選は望ましくないのだ。

とは言っても、私が立候補しても票が10票も入らないのだからどうしようもないと蔽っていたら、事態が急変した。

福島県白河市の自営業、金山屯氏と言う人が、無投票を避ける狙いで出馬の意向を表明したのである。

無投票をさけるという意味では歓迎したいが、わざわざ福島の人が勝つはずがない選挙をするというのも困惑する事態なのだ。なにしろ選挙を実際にするとなると、4億円が余計にかかるそうなのだ。山形県は貧乏だ。そんな貧乏な県が4億円をかけて結果がわかっている選挙をやらなければいけない。しかもそれが山形県とは関係のない人の思い付きのような立候補によってなのである。

地方で生きて行くというのは、都会とは違う苦労がある。そんな思いをする出来事である。
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映画『私にふさわしいホテル』を見ました。

2024-12-28 10:09:32 | 映画
映画『私にふさわしいホテル』を見ました。ドタバタコメディなのですが、ふざけたなかに温かさが感じられる映画でした。

昭和の文学界を描く作品で、先日休館した神田の「山の上ホテル」も重要な舞台となっています。「山の上ホテル」は昭和の文豪たちが頻繁に利用したホテルです。昭和の文学界は「文壇」という特殊な世界があり、村社会によって文学が形成されていました。その村社会で生きて行く新人作家のお話です。

のんが新人作家を演じるのですが、これが遊び心のあるめちゃくちゃさで楽しめます。自分の欲のために想像を絶することをするのですが、それでも映画の中ではきちんとおさまってしまうのです。これは原作の力なのだと思いますが、のんという役者のすごさでもあり、それを演出した堤幸彦の力なのかもしれません。

滝藤賢一も大御所作家を演じていて、胡散臭さと、人間臭さを見事に表現しています。最後に若村麻由美が出てきて、何気ない役なのですが映画を締めてくれます。

予告編を見た時にただバタバタした映画なのではないかと心配したのですが、きちんと展開があり、ひとりの人間の表と裏がしっかりと描かれています。昭和の文学界へのノスタルジーも感じてきます。

気楽に楽しめる映画でした。
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シス・カンパニー公演『桜の園』を見ました。

2024-12-26 18:00:08 | 演劇
シス・カンパニー公演、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出の『桜の園』を見ました。チェーホフの世界が見事に再現された舞台でした。

ロシアの富豪の家が舞台です。その家は「桜の園」と呼ばれる桜の木がたくさん植えられている大邸宅です。しかしその富豪は没落しています。もはや「桜の園」を売ってしまうしかない。その重大性が女主人ラネーフスカヤはわかっていません。なんとかなるんだろうと他人事のような反応しかしめせません。その家の住民はみんな事の重大性がわかっていないのです。このあたりの描写がケラの演出は見事です。そもそもケラの芝居はそういう作品ばかりです。事態が深刻になっても、登場人物の会話はその重大性とは別次元で進んでいくのです。

重大性を理解しているのは、この家の元農奴の息子で、今は商人となったロパーヒンです。結局、この家を買うことになります。その時、初めてラネースカヤは事の重大性に理解できるのです。とは言え理解できたからと言って変わるわけではありません。やはり、何とかなるという雰囲気なのです。

事態の現実を人間は頭では理解できても、心では理解できないのかもしれません。それは不幸なことでもあり、幸福なことなのかもしれません。

いい芝居でした。
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マクミラン作『モンスター』を見ました。

2024-12-23 08:36:15 | 演劇
ダンカン・マクミラン作『モンスター』を見ました。見ている人間が追いつめられる作品でした。

登場するのは、家庭が安定しなく社会では問題児とのレッテルをはられたADHDの傾向が強くあらわれる少年と、その少年を担当することになった自分自身も深い問題を抱える新人教師、そして少年を育てる祖母と、教師の恋人の4人。教師は少年との関係をなんとかうまくいくように努力するのですが、うまく行かずに、対立の度を高めて行ってしまいます。それはそれぞれの家族に波及し、みんなが生きづらくなってきます。

少年を苦しめているのはなんなのだろうか。そして関係で苦しんでいる周りの人たちは救われないのか。見ていて本当に苦しくなっていきます。

学校はここまで極端ではないとしても、似ている状況と常に接しています。昔は教師側の威圧で対処していたのですが、それによって人権を奪われた子どもたちはたくさんいたののだと想像されます。現在はそれぞれの子どもたちを尊重するために、教師は追い詰められています。かかえきれないものを抱えて仕事をしなければなりません。

この劇は八方ふさがりの教育状況が、描かれています。それでも前を向かなければいかない。踏み出す力はどこから生まれるのか。考えさせられる演劇です。

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放送大学山形学習センターの面接授業「オーケストラの世界を探求する」を受講しました。

2024-12-19 13:36:24 | 音楽
放送大学面接授業「オーケストラの世界を探求する」を受講した。大変興味深く、学びの大きい授業だった。

講師は
西濱 秀樹氏
(公益社団法人山形交響楽協会・専務理事)
阪 哲朗氏
(山形交響楽団常任指揮者)
成田 寛氏
(山形交響楽団契約首席ヴィオラ奏者)

オーケストラはたくさんの人たちが関わっている。もちろん指揮者、そして演奏者は当然である。しかしそれだけではない。演奏会では、客演となる演奏家もいる。オペラの場合は楽団外から歌手を招くことになるし、演出家もいる。さらには会場のスタッフの人たちのもいる。そして楽団の職員の方々もいるし、宣伝のためのポスター、パンフレットを作る人もいる。オーケストラという組織を運営していくことは並大抵のことではない。みんなの言うことをすべて聞いていれば何もできなくなるし、かといって強引に物事を進めて行けば空中分解するだろう。西濱氏、阪氏、成田氏の話を聞いていて、一番感じたのは、それぞれの方々の前向きな思いと、人との関係を大切にしていこうとするその方向性だった。こういう方々だから、オーケストラという組織が運営できるのだと感じられた。

特におもしろかったのは、演奏者が指揮者を見ているのかという話題だった。素人の私は、オーケストラは指揮者に絶対的な権限があるように思い込んでいたのだが、演奏者は演奏者同士の感覚の共鳴みたいなものがあり、それも大切にしながら、指揮者の意図をくんでいくいくような、からみあった関係性の中で演奏は出来上がっていくということに気付かされた。やはりオーケストラは組織であり、その組織が機能しているからこそうまくいくのである。

そしてその組織は地域に広がらなければいけないことも理解できた。演奏会に来てくれる観客はもちろん、支援する行政や、民間企業などの存在が不可欠であり、それが逆に地域の活性化につながる。実際に「やまぎん県民ホール」は何度も訪れているのだが、遠方から訪れる人もかなり多くいるようであり、ロビーでの会話を聞いていても全国区のような印象を受けることも多い。立地もいいし、これからも多くのコンサートや演劇で使われていくであろう。ここしばらくは東北の文化の発信基地となることが期待される。その中核に山響があるということがわかった。

私はもともとオーケストラというよりも、演劇が好きでそこからオペラに興味を持つようになり、時々東京でオペラを見ていた。ニューヨークでメトロポリタンオペラを見たこともある。山響のオペラも「やまぎん県民ホール」ができてからはよく聞きにきている。その中で、オペラの演出家と指揮者との関係に興味を持って、そのことを質問させていただいた。阪氏の回答は、関係性が伝わって来た。相手を尊重しながらも、自分を主張していく表現者の姿勢が、いいものを作り出していくのだと感じた。

「やまぎん県民ホール」は、新型コロナでつまづいたようなスタートになってしまったが、見事に挽回している。今後も山形の文化の発展に期待したいと感じる授業だった。
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