NTLIVE『ロミオとジュリエット』を見ました。きちんと「ロミオとジュリエット」を見たことがなかったのですが、近代の演劇の原点がここにあるという作品でした。
NTLIVEというのはイギリスの国立劇場ロイヤル・ナショナル・シアターの傑作舞台を厳選して映像化し、映画館のスクリーンで上映する「ナショナル・シアター・ライブ」のことです。この作品はコロナ禍であったために、舞台で上演したものではなく、初めから映像として作ったものです。ですからシーンごとに撮影されていますので、本来ならば生の緊迫感はないのだと思います。しかし逆に役者の表情やしぐさをはっきりとカメラがとらえるので、逆に緊迫感を覚える作品となっていました。
「ロミオとジュリエット」のストーリーには無理があり、リアリティを感じなかったのですが、役者の演技こそがリアリティであり、すべてを受け入れてしまいました。やはりイギリスの演劇の伝統はすばらしい。
演出はサイモン・ゴドウィン。この人が岡田将生、黒木華主演で『ハムレット』を演出したのを見たことがあります。これも見事でした。やはり演出家の力というのはすごいと改めて感じました。