綾瀬はるか主演の不思議な感覚の映画『ルート29』を見ました。人間の本質を描こうとする映画でした。
主人公は発達障害系の女性のり子。清掃員として働いているが、ある施設で女性から、姫路にいる自分の息子のハルを連れてきてほしいと依頼される。のり子は会社の車を盗み、姫路に向い、ハルを連れ出す。二人は鳥取までの国道29号線をたどる。
この道中さまざまなことが起きる。まさに大人のおとぎ話である。これがおもしろいのだが、ちょっとやりすぎであざといかなとも感じてしまった。
のり子は姉の働いている小学校に行く。姉は小学校の先生だった。そこで姉に会い、一晩泊めてもらう。夜、姉はのり子に語りかける。小学校の教員という職についての愚痴だと思っていたら、のり子に対する冷酷な言葉に変化していく。この場面がすごい。人と人とのつながりは、実はそこに必ず残酷さがはらんでいるのだという真実を伝えようとしているように感じられてしまうのだ。
優しい人間関係に覆われている現代の日本で見えなくなっている、人間の本質がえぐり出されるような感覚になる映画だった。