
デビュー当時のボブディランを描く映画『名もなき者』を見ました。ボブディランの生き方を再現した名作です。
私がボブディランに出会ったのは1975年のアルバム『欲望』です。当時私は中学生だったはずです。『欲望』はボブディランのアルバムの中で大ヒットした作品です。そのアルバムを繰り返し聞きました。そしてボブディランの文庫本の伝記を読んだ記憶があります。もちろん伝記と言っても初期のディランを紹介しただけだったわけですが、それでもそれがとても印象に残っていました。1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでのエレキギターの演奏の顛末が書かれていたのです。
この映画はその状況が具体的な映像として再現されています。そしてそこにいた人々のそれぞれの心情がよくわかります。フォークとして築き上げた伝統を大切にしたい人たち。時代への反抗というフォークのイデオロギー的な面を大切にしたい人たち。人間としての関わり合いを大切にしてきた人たち、信念を貫きたい人たち、それぞれの心情と信条が絡み合い、膨張していくエネルギーがその舞台にはあったのです。
古き良き時代の物語といえばそれまでですが、そんなぶつかり合いにあこがれる自分を再発見しました。
「時代の空気」を感じ取らせる「映画」という手法
の有効性を改めて実感しました!