岸田総理は首相就任以来様々なことが重なり支持率が下がり続けた。しかし粛々と仕事を続けてきたことによって、支持率が少し上がり始めた。私は、岸田首相は安倍元首相や菅元首相のような不遜な態度があまりないので期待している。少なくとも表面上は謙虚に真面目に政治に取り組んでいるように見えるのだ。その意味で好感が持てる。しかし今回のサミットを見て、やはり不安な部分も大きく感じた。
今回のサミットはゼレンスキー大統領効果で大成功したように見える。世界に対して西側諸国の結束と、ウクライナの連携を大きくアピールした。同時にインドとの関係を示すこともでき、ロシアに対して強烈なアピールになった。おそらく岸田総理をはじめとする日本政府の努力も大きかったのだろうと推測される。
しかし、一方では広島で行われたサミットであるのにも関わらず核拡散防止の観点では一歩も進まなかった。進まなかったどころか後退したという意見もあり、その意見ももっともである。岸田首相には広島県選出の政治家としてはもっとがんばってほしかった。
もちろん政権基盤がまだ軟弱な状態であり、党内やアメリカとの関係などから踏み込めなかったという事情があるのだろうとは推測できるが、いつまでもそういう態度なら、政治家としての力量が乏しいのではないかという気もしてくる。
そもそも岸田首相は広島出身ではない、生まれた時から東京人である。親が広島出身であったから広島の政治家だと言ってはいるが、実は東京の政治家なのだ。実は核被害者のことなど自分のこととして考えていないのではないだろうか。地方の事情は地方に住んでいる人間しかわからない。結局は東京の論理でしか政治ができないのだ。
今や地方出身の政治家なんてどんどん少なってしまった。そして地方は地方でさらに地方化してしまい、都会と地方の感覚は二極化している。都市と地方の格差も進んでいる。岸田氏が広島県民の感覚をもっているのか疑問に思う。もしかしたら核攻撃を受けた広島県出身というイメージを利用しているだけなのではないかという疑念もわいてくるのである。
もし岸田氏が核兵器をなくしていこうという政治家としての信念をもっているのならば、これ以上ダラダラしていてはだめだ。総理大臣は目的ではない。政治信条の実現こそが目的なのだ。
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