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出雲と古代朝鮮(八)・殯

2021-02-11 09:05:27 | 古代出雲

<続き>

出雲と古代朝鮮について考古学的裏付けがとれそうな話の2回目である。日本での殯は『魏志倭人伝』に記されている。

”其死 有棺無槨 封土作冢 始死停喪十餘日 當時不食肉 喪主哭泣 他人就歌舞飲酒” とあるので、喪を停むること十余日となる。つまり2-3世紀頃の倭国には殯の習慣が存在したことを物語っている。

殯の習慣は、中国から朝鮮半島経由で倭国に伝播したと云われている(この朝鮮半島伝播説は、個人的にはやや異なる見解をもっている。照葉樹林帯文化の一つでもあり、今日の東南アジア少数民族の約一週間と短期間ながら殯をおこなっている。つまり、古代の呉越の地から伝播したと考える)。ここでは世の学者の大勢が朝鮮半島伝播説であり、ここでは、それに従っておく。

この殯において、副葬品である金属製品に、埋葬者に湧く蛆つまりハエの蛹が付着する。これを考古学者は囲蛹殻(いようかく)と呼ぶようである。その囲蛹殻が出雲で2箇所、石見で1箇所の古墳から出土している。同じように朝鮮半島からも出土している。

(出雲市結11号墳出土鉄剣のハエの囲蛹殻)

(朝鮮半島羅州市丁村古墳 5世紀後半 ハエの囲蛹殻付着の飾履

出典:国立羅州文化財研究所HP)

上のプロットに安来市鷺の湯病院跡横穴墓出土の囲蛹殻が、抜けており申し訳ない。

・・・と云うことで、ハエの囲蛹殻が双方に存在しており、殯の習慣があったことになる。

<続く>


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