ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

蓬莱ダム(飯野ダム)

2016-12-05 19:44:08 | 福島県
2016年12月3日 蓬莱ダム(飯野ダム)
 
蓬莱ダムは二本松市と福島市の境界の阿武隈川本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムで、1938年(昭和13年)に蓬莱発電所の取水ダムとして東北振興発電によって建設されました。
東北振興電力は1941年(昭和16年)に日本発送電に併合され、戦後の電力分割民営化により東北電力が事業継承しています。
ここで取水された水は導水路で入川補助調整池を経由して蓬莱発電所に送られ最大3万8500キロワットの発電を行っています。
また2014年(平成26年)には河川維持放流を利用して最大230キロワットの発電を行う飯野発電所が増設されました。
蓬莱ダムは日本最大級のストニーゲートを装備(現在は改修によりローラーゲートに変更)するなどその歴史的及び技術的価値から近代土木遺産に選定されています。
 
県道39号から阿武隈川右岸を南下すると蓬莱ダムに到着します。
ダム周辺は飯野堰堤公園として整備され周辺では有名な花見スポットとなっています。
駐車場から河原に下りてみます。
ダムを直下から見ることができますがもろ逆光・・・・
ダム便覧には日本最大級のストニーゲートと書かれていますが、改修によりローラーゲートに変更されています。
 
右岸の魚道越しに。
この魚道機能してるんでしょうか?
 
ゲート支柱だけが立ち並ぶ独特の形状
 
戦前のダムらしいレトロな雰囲気が漂います。
 
沈砂池。
 
取水口の建屋も戦前のダムらしい佇まい。
 
取水口と沈砂池。
 
上流から
桜の季節には華やかな景色が広がるんでしょうね?
 
旧管理事務所。
 
直下の河原からダムを見上げることができるうれしいダムですが、残念なことにもろ逆光。
写真撮影には苦労しました。
とはいえ、ゲートや取水口の建屋など昭和レトロがぷんぷん匂うビンテージダムです。
桜が満開のころにぜひ再訪してみたい~。
 
0473 蓬莱ダム(0727)
近代土木遺産
福島県二本松市下川崎
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
阿武隈川水系阿武隈川
21.6メートル
133.3メートル
千㎥/千㎥
東北電力(株)
1938年
◎治水協定が締結されたダム

入川補助調整池

2016-12-05 16:49:14 | 福島県
2016年12月3日 入川補助調整池
 
入川補助調整池は福島市の阿武隈川支流入川にある東北電力の発電用堰堤です。
堤高が11.6メートルのため河川法上のダムではありませんが、ダム便覧に参考掲載されています。
蓬莱発電所の補助調整池となっており、阿武隈川本流の蓬莱ダムと支流の女神川で取水された水がここに導水されたのち、蓬莱発電所のサージタンクへと送られます。
蓬莱ダム、蓬莱発電所ともども1938年(昭和13年)に東北振興発電によって建設され、1941年(昭和16年)に日本発送電に出資されたのち、戦後の電力分割民営化により東北電力が事業継承しました。
 
福島市街から国道114号を南下し県道306号に入るとすぐに入川調整池への道が分岐します。
クレストは3門のラジアルゲート。
 
ゲートを正面から
現役のラジアルゲートとしては福島県の旭ダム、岐阜県の西村ダムに次いで古いゲートといわれています。
 
 
堤体右岸は湾曲しています。
 
天端は立ち入り禁止
奥に蓬莱発電所への取水口があります。
 
上流面
写真では見えませんが手前に蓬莱ダム及び女神川からの導水路吐口があります。
 
上流からラジアルゲート。
 
取水口をズームアップ
ここから蓬莱発電所へと送水されます。
 
S011 入川補助調整池(0726)
福島県福島市立子山
阿武隈川水系入川
11.6メートル
128.3メートル
東北電力
1938年

信夫ダム

2016-12-05 16:01:02 | 福島県
2016年12月3日 信夫ダム
 
信夫ダムは福島市の阿武隈川本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムで、1939年(昭和14年)に東北振興電力によって建設されました。
1941年(昭和16年)に日本発送電に出資され、戦後の電力分割民営化により東北電力が事業継承しました。
上流にある蓬莱発電所の逆調整池の機能を持つほか130メートル下流の信夫発電所で最大5950キロワットの発電を行っています。
また1944年(昭和19年)に東根堰用水路が完成し、阿武隈川東岸地域の灌漑用水の取水口にもなっています。
 
国道4号弁天橋から阿武隈川右岸を南下、前河原で二俣を右手に採り下岩谷集落を抜けると信夫発電所と信夫ダムが見えてきます。
この道は発電所手前で立入禁止となるためダムはここから遠望するしかありません。
 
ズームアップ
ゲートは4門とのことですが2門しか見えません。
向かって左手のゲートは改修工事中のようです。
竣工当初はストニーゲートだったようですが現在はローラーゲートとなっています。
 
訪問時は逆光でしたが黒つぶれしないでホッとしました。
 
0477 信夫ダム(0725)
福島県福島市田沢
阿武隈川水系阿武隈川
21.5メートル
89.5メートル
東北電力
1939年

摺上川ダム

2016-12-05 11:57:09 | 福島県
2016年12月3日 摺上川ダム 
 
阿武隈川水系では中流部の福島県中通地域と下流部の宮城県白石市・角田市でたびたび洪水被害が発生し、宮城・福島両県から抜本的な洪水対策を求める声が高まっていました。
一方東北自動車道や東北新幹線の開通を見越して福島県北部への企業進出、人口増加が続き新たな水源の確保も課題となっていました。
そこで建設省は宮城県の白石川の七ヶ宿ダムに続いて、福島県の摺上川に多目的ダムの建設を計画、1982年(昭和57年)に着工、2005年(平成17年)に完成したのが摺上川ダムです。
摺上川ダムは東北地方屈指の規模を誇るロックフィルダムで、大滝根川の三春ダム、白石川の七ヶ宿ダムと連携して阿武隈川水系の洪水調節を行うほか、慣行水利権分の用水補給と安定した河川流量の維持、6地区4200ヘクタールへの灌漑用水、3市3町への上水道、工業用水の供給を目的とするほか、東北電力摺上川発電所で最大3000キロワットの発電を行っています。
 
飯坂温泉から国道399号線を北上すると、正面に摺上川ダムが見えてきます。
約2キロ下流の黒沢橋から遠望。
 
左岸の洪水吐導流部
減勢工が特徴的です。
右手のトンネルは取水設備からの放流口。
 
摺上川ダム最大の特徴は平面湾曲型側水路方式の洪水吐。
 
左右で高さの異なる常用洪水吐
洪水吐はゲートレスとなっています。
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
減勢工をズームアップ
奥は東北電力摺上川発電所。
 
ダム湖(茂庭っ湖)。
 
堤体直下は公園やキャンプ場になっています。
 
天端と下流面
天端は車両通行禁止。
 
上流面。
 
選択取水設備とインクライン。
 
胆沢ダム、森吉山ダムと並ぶ東北地方有数のロックフィルダムです。
紅葉も終わりダム周辺は寒々として景色が広がっていました。
できれば新緑と残雪期に再訪してみたいものです。 
 
0536 摺上川ダム(0724)
福島県福島市飯坂町茂庭
阿武隈川水系摺上川
FNAWIP
105メートル
718.6メートル
国交省 東北地方整備局
2005年

大笹生ダム

2016-12-05 11:47:39 | 福島県
2016年12月3日 大笹生ダム
 
大笹生で『おおざそう』と読みます。
大笹生ダムは福島市の北西部、阿武隈川水系八反田川源流部にある防災専用アースダムで1962年(昭和37年)に福島県の農地防災事業により建設されました。
かつてはダムは開放されバス釣りの穴場スポットだったそうですが、死体遺棄事件や自殺事件などが起こったことから、現在はダムへ通じる道路の入口は施錠され関係者以外立ち入り禁止となっています。
 
大笹生集落から福島西部広域農道を北上すると大笹生ダムへの管理道路が分かれます。
残念ながら関係者以外立ち入り禁止。
 
農道にある大笹生ダムの標識。
 
 
0502 大笹生ダム(0723)
福島県福島市大笹生
阿武隈川水系八反田川
 
27.2メートル
150.2メートル
福島市
1962年

藤倉ダム

2016-12-05 10:46:46 | 福島県
2016年12月3日 藤倉ダム
 
藤倉ダムは福島県伊達郡桑折町の阿武隈川水系産ヶ沢側にある灌漑用重力式コンクリートダムで、1969年(昭和44年)に福島県のかんがい排水事業により建設され伊達西根堰土地改良区が受託管理を行っています。
藤倉ダムで貯留された水は下流の芝堤頭取工で取水され上堰用水路に供給されるほか、上水道としても利用されています。
 
桑折市街から産ヶ沢側に沿って遡上する道路は落石により廃道になっており、ダムに行くには北西の半田沼から産ヶ沢林道を利用する必要があります。
半田山自然公園の駐車場からダムまで往復17キロの徒歩を覚悟しましたが、ダートの林道の路面状況は良好で我が家のBMWでも無事ダムまで到達することができました。
 
藤倉ダムの特徴は家屋のような取水設備機械室。
クレストは2門のローラーゲートです。
 
少しアングルを変えて。
 
天端は立入禁止。
ゲート部分だけクランクになっています。
 
下流から
こっちから見ると普通の家の玄関のよう。
 
コンジットから放流されています。
 
下流から。
 
ゲートをズームアップ。
 
ダム湖。
 
往復5時間程度の徒歩を覚悟していましたが車で到着できてやや拍子抜け。
時間が余った分、次の摺上川ダムをじっくり見学することができました。
 
0507 藤倉ダム(0723)
福島県伊達郡桑折町藤倉
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
阿武隈川水系産ヶ沢川
 
36.5メートル
76.6メートル
千㎥/千㎥
伊達西根堰土地改良区
1969年