ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小網ダム

2016-12-12 22:40:00 | 栃木県
2015年10月03日 小網ダム
2016年12月10日 
 
小網ダムは栃木県日光市藤原の利根川水系鬼怒川上流部にある栃木県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1950年(昭和25年)に建設省(現国交省)により五十里ダム建設事業が着手され、栃木県企業局は発電事業者としてこれに事業参加、五十里ダムと同じく1956年(昭和31年)に川治第一発電所が完成します。
五十里ダム建設に合わせて同ダム下流2キロ地点に栃木県企業局が建設を進めたのが小網ダムで、五十里ダムに遅れること2年、1958年(昭和34年)に竣工しました。
小網ダムは川治第一発電所の放流水を調整するための逆調整池としての機能を持つほか、ここで取水された水はさらに川治第二発電所に送られ最大2600キロワットのダム水路式発電が行われています。
2007年(平成19年)には河川維持放流を利用した小水力発電所である小網発電所が完成、ここでは最大130キロワットの発電を行っています。
 
鬼怒川温泉から国道121号を北上、三ツ岩トンネルを抜け県道21号を分けると左手に小網ダムが見えてきます。
左岸に3門のローラーゲート
右岸は自由越流頂になっています(2016年12月10日)。
 
左岸から(2016年12月10日)。
 
灯台の初点プレートのような銘板(2016年12月10日)。
 
戦前や昭和20年~30年代のダムでよくみられる円形のバルコニー(2016年12月10日)。
 
ダムの下流の鬼怒川(2016年12月10日)。
 
竜王峡遊歩道となっているため天端は通行可能。(2016年12月10日)。
 
初回訪問時は、平成27年9月豪雨の影響でかなり水が濁っていました。
 
下流面(2016年12月10日)。
 
小網ダムは記念すべき我が家のダム巡りのスタートとなったダムです。
初回訪問時はどこをどう見たらいいのかもわからず、手探り状態の見学でした。
2度目の訪問を機に写真の大半を差し替えました。
 
追記
小網ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに19万2000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0560 小網ダム(0001)
栃木県日光市藤原
利根川水系鬼怒川
23.5メートル
128メートル
627㎥/260㎥
栃木県企業局
1958年
◎治水協定が締結されたダム

土呂部ダム

2016-12-12 18:32:05 | 栃木県
2016年12月10日 土呂部ダム
 
土呂部ダムは栃木県日光市の鬼怒川左支流土呂部川にある東京電力の発電用重力式コンクリートダムで、1963年(昭和38年)に栗山発電所の調整池として建設されました。
上流の川俣ダムで取水された水は土呂部ダムを経由して栗山発電所に送られ最大4万2000キロワットの発電を行っています。なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により土呂部ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
黒部から土呂部の標識に従って県道を右折し、ヘアピンカーブを登り切ると左手に土呂部ダムが現れます。
ダムは立入禁止で県道からダム湖を挟んで遠望するのみです。
ダムの堤体とゲートが見えます。
 
ダムの全景。
 
円形の構造物は川俣ダムからの導水路吐口のようですが詳細は分かりません。。
 
県道側のこの部分はどうやら副堤のようです。
 
 
栗山発電所の水圧鉄管。
土呂部ダムから送られた水がこの水圧鉄管を下ります。
 
栗山発電所の水圧鉄管分岐。
2台の立軸フランシス水車を回転させ最大4万2000キロワットの発電を行います。
 
ちょうど土呂部ダムを訪問した時は激しい雪が舞い散り、写真の画質が粗くなってしまいました。
ダム周辺は照葉樹林が続き紅葉時には美しい景色が広がるようです。
再訪するならやはり紅葉の頃でしょうね。
 
0558 土呂部ダム(0731)
栃木県日光市土呂部
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系土呂部川
21.6メートル
56メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1963年

黒部ダム

2016-12-12 15:59:55 | 栃木県
2016年12月10日 黒部ダム
2018年  5月  6日
 
黒部ダムは栃木県日光市の鬼怒川にある東京電力の発電用重力式コンクリートダムで、1912年(大正元年)に鬼怒川水力発電によって下瀧発電所の取水ダムとして建設されました。
黒部ダムで取水された水は調整池である逆川ダムを経由して下瀧発電所に送られ当時国内最大規模の最大出力4万3000キロワットの発電を行っていました。
黒部ダムを含む下瀧発電所関連施設は日本発送電を経て戦後は東京電力が事業を継承、下瀧発電所は1963年(昭和38年)に再開発され鬼怒川発電所となり、発電能力は最大12万7000キロワットに増強されました。
黒部ダムは日本で最古の発電専用重力式コンクリートダムとされ、その歴史的、技術的価値から近代土木遺産に選定されています。
1989年(平成元年)にゲートを含む大規模な改修が行われましたが、現在も堤体導流面は竣工当時の布積み石張りが残っています。
2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により黒部ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
 
川治ダムから県道23号を西進、車庫前バス停で右手の旧道に入ると黒部ダムに到着します。
右岸から
ゲート部分は改修されましたが導流面は建設当時の姿を残しています。(2018年5月6日)
 
ゲートをズームアップ。
 
(2018年5月6日)
 
竣工当時の姿を残す布積み石張りの導流面。(2018年5月6日)
 
ダム直下を左岸の取水口から鬼怒川発電所に続く送水管が通っています。(2018年5月6日)
 
左岸から(2018年5月6日)
 
(2018年5月6日)
 
天端は県道23号旧道が通っています。
ゲートは改修されましたが支柱は石張り風の装飾で建設当時の姿に配慮したデザインとなっています。
(2018年5月6日)
 
左岸の取水口。(2018年5月6日)
 
上流から
一見アーチダムのようですが、型式は曲線重力式コンクリートダムとなっています。
 
県道23号青柳大橋から。
左右両岸に取水口がありそれぞれ別のラインで逆川ダムに送水されています。
 
右岸の改修記念碑
改修以前のゲートはラックオピニオンギアで上下されていました。
記念碑には当時のギアが展示されています。(2018年5月6日)
栃木県日光市黒部
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系鬼怒川
28.7メートル
150メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアルパワー(株)
1912年
◎治水協定が締結されたダム

栗山ダム

2016-12-12 14:57:13 | 栃木県
2016年12月10日 栗山ダム
 
栗山ダムは栃木県日光市の鬼怒川右支流砥川源流部にある東京電力の発電用ロックフィルダムで、栗山ダムを上部池、月山を挟んで南に位置する今市ダムを下部池として今市発電所で最大出力105万キロワットの揚水式発電を行っています。
1973年(昭和48年)のオイルショックにより原油価格が高騰、水力発電が再評価されます。とくに火力発電や原発と連携が図れ余剰電力を有効に活用できる揚水発電に注目が集まり、電力各社は揚水発電の建設計画を推進しました。
東京電力は鬼怒川支流の砥川源流部に着目、1979年(昭和54年)に着工、1998年(平成元年)に竣工したのが栗山ダムと今市ダムです。
2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により栗山ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
 
川治ダムから県道23号を西進、日陰温泉で日陰牧場の標識に従って林道を左折、牧場を抜け夫婦山を巻くと栗山ダムが見えてきます。
林道から遠望。
 
堤体直下は芝生の公園になっており駐車場やトイレが設置されています。
 
堤体を見上げる。
 
駐車場から先は関係車両以外通行禁止のため、林道を約1キロ歩いてダムへと上がります。
天端は立ち入り禁止、対岸の山は夫婦山です。
 
上流面の色が変わり揚水発電による水位の変化量がわかります。
 
左岸の洪水吐。
奥の建物は今市発電所の発電用取水ゲート操作室です。
 
洪水吐導流部はトンネルで下流の砥川へと続きます。
 
ダム湖(栗山調整池)。
 
ダム湖上流から。
 
0578 栗山ダム(0729)
栃木県日光市小百
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系ネベ沢川
97.5メートル
370メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1988年

逆川ダム

2016-12-12 12:13:52 | 栃木県
2016年12月10日 逆川ダム
 
逆川ダムは栃木県日光市の利根川水系鬼怒川右支流逆川源流部にある東京電力の発電用アースダムで、1912年(大正元年)に鬼怒川水力発電によって下瀧発電所の調整池として建設されました。
鬼怒川の黒部ダムで取水された水が逆川ダムを経由して下瀧発電所に送られ当時国内最大規模の最大出力4万3000キロワットの発電を行っていました。
下瀧発電所関連施設は日本発送電を経て戦後は東京電力が事業を継承、下瀧発電所は1963年(昭和38年)に再開発され鬼怒川発電所となり、現在は最大出力12万7000キロワットを誇っています。
逆川ダムは山梨県の大野ダムに次いで日本で2番目に古い発電用アースダムです。またアースダムでは非常に珍しくコンクリートの心壁材を使用したコンクリートコア型アースダムとなっており、その歴史的、技術的価値から近代土木遺産に選定されています。
2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により逆川ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。
 
 
県道23号で鬼怒川に架かる小網大橋を渡るとすぐに左折し林道に入ります。
トンネルを抜けるとゲートが現れここに車を止めます。
 
ゲートから林道を5キロ、約1時間歩くと逆川ダムに到着します。
下流面には多数の漏水計が設置されています。
 
天端は立ち入り禁止。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
 
 
右岸の鬼怒川発電所への取水口。
 
左岸には黒部ダムからの2本の導水路吐口が2カ所あります。
こちらはその一つ。
 
早朝の訪問で、発電所がまだ稼働していなかったせいか導水路の吐口、取水口ともに水の流れは見られませんでした。
 
0555 逆川ダム(0728)
近代土木遺産
栃木県日光市鬼怒川温泉滝
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
利根川水系逆川
18.2メートル
121.2メートル
㎥/㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1912年