ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

桜川ダム

2019-06-07 11:23:49 | 長崎県
2019年5月25日 桜川ダム
 
桜川ダムは長崎県平戸市生月町南免の桜川水系桜川の河口付近にある平戸市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
生月島は平戸島の北西にある南北約10キロ、東西2キロの細長い島で1975年(昭和50年)に島内最初の上水用ダムとして神の川ダムが完成しました。
1980年代後半に、平戸島と生月島を結ぶ生月大橋架橋が決定し観光客の大幅な増加が見込まれることになりました。
これを受け当時の生月町は新たな上水道水源建設を決め、生月島大橋建設事業に合わせ1995年(平成7年)に竣工したのが桜川ダムです。
ここで取水された水は神の川浄水場を経て各配水場に送られています。
ダム完成当初は生月町が管理運用を行っていましたが、その後の市町村合併により現在は平戸市水道局が引き継いでいます。
またダム便覧には1991年竣工と記されていますがこれは1995年の誤りです。
 
道の駅『生月大橋』から島の西側の海岸沿いを走るサンセットウェイに入り、桜川にかかる高架橋から眼下にダムを見下ろせます。
ダムと海をこんなアングルで見ることができるのは全国でも桜川ダムだけでしょう。
右奥には遥か五島列島も望めます。
 
高架橋の先をすぐに右折すると桜川沿いの車道に出ます。
この道がダム右岸へと続いています。
 
自由越流式クレストゲートが2門、その右手に取水設備があります。
シャフトが4本ほど見えるので選択取水設備でしょうか?
左奥に見えるのは平戸島。
 
上流面
 
天端は立ち入り禁止
上水ダムなので仕方ありません。
 
竣工記念碑
竣工当時の事業主体である生月町の名があります。
奥はサンセットウェイの高架橋。
 
下流面。
 
減勢工とポンプ場
ここから神の川浄水場まで揚水されます。
 
左岸下流側から
ダムの両岸は高さ50メートル程度の断崖が続いており、桜川が作った渓谷を塞いでダムがつくられています。
 
正面から
実はこの玉石はもう海岸線、足が海水に浸かるような位置から撮った写真です。
 
ダム便覧に掲載されていたダム越しに海を見下した写真を見て、ずっとずっと恋焦がれていた桜川ダムにようやく来ることができました。
桜川ダムのみならず生月第1池や山頭溜池など生月島の5基のダムはどれも本当に素晴らしい。
一般的なダムマニアの方とは価値観が異なるけど、個人的にはこの島はダムの聖地です。
 
3218 桜川ダム(1456) 
長崎県平戸市生月町南免
桜川水系桜川
33.9メートル
110メートル
123千㎥/120千㎥
平戸市水道局
1995年

神の川ダム

2019-06-07 10:12:57 | 長崎県
2019年5月25日 神の川ダム
 
神の川(こうのかわ)ダムは長崎県平戸市生月町南免の神の川下流部にある平戸市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
生月島は平戸島の北西にある南北約10キロ、東西2キロの細長い島で、生活用水は長く湧水や井戸水に依存してきました。
しかし高度成長期以降の生活様式の変化により水需要が増加したことから、昭和50年代より生月町は島内水道事業の整備に着手します。
その水源として1975年(昭和50年)に建設が始まり1979年(昭和54年)に竣工したのが神の川ダムです。
ここに貯留された水はダム直下にある神の川浄水場から島内各地の配水場に送られています。
その後1995年(平成3年)には新たに桜川ダムが完成し島内の水道事情は大きく改善しました。
 
今回は北の落木場溜池から南下したので上流側からのアプローチとなりました。
左岸上流から俯瞰
海とダムが同時に見れます。
 
ズームアップ
クレストに自由越流式ゲート2門が見えます。
 
アングルを変えて。
 
 
ダム湖を回り込み右岸に到着します。
 
クレストゲートの左手は取水設備。
湖面に見えるのは水質保全の攪拌装置で隣には噴水があがっています。
 
総貯水容量は23万立米
少雨の影響か水位がずいぶん低くなっています。
 
 
天端は立ち入り禁止。
 
天端にはパイプラインが通っています。
西側約1キロ地点に作られた桜川ダムから神の川浄水場への送水管です。
 
実は神の川ダムはダム下まで行くことができるのたのですが、事前の予習不足でダム下への入り口がわかりませんでした。
ダム便覧にはダムの背後に風力発電が並ぶ美しい写真が掲載されておりこれを見れなかったのは非常に残念。 
 
3602 神の川ダム(1455) 
長崎県平戸市生月町南免
神の川水系神の川
25.2メートル
233メートル
230千㎥/223千㎥
平戸市水道局
1979年

落木場溜池

2019-06-07 00:26:10 | 長崎県
2019年5月25日 落木場溜池
 
落木場(おちこば)溜池は長崎県平戸市生月町南免の神の川水系神の川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
生月島は古くから漁業や捕鯨の拠点となってきましたが、水利に乏しく農業は湧水を水源として僅かに営まれてきただけでした。
しかし明治末期から大正にかけて近代土木技術を導入して多数の溜池が築造されたことで、傾斜地が各所で開墾され多くの棚田が作られました。
神の川流域ではまず1914年(大正3年)に山頭溜池が建設され、次いで1926年(大正15年)に山頭溜池直下に建設されたのが落木場溜池です。
現在は両溜池とも山田土地改良区が管理を行っています。
なおダム便覧では堤高20.6メートル、堤頂長127メートルと記されていますが、2020年(令和2年3月)に作成された長崎県のため池データベースでは堤高14.4メートル、堤頂長127メートルとなっています。
データベースのスペックを採用すると、落木場溜池は河川法上のダムの要件を満たさなくなります。
 
今回は山頭溜池から落木場溜池へと向かいました。
山頭溜池からは棚田の先に落木場溜池が見えており、池を反時計回りに回り込むと落木場溜池右岸に到着します。
下流から遠望
道路が堤体を斜めに横断しています。
 
右岸の洪水吐導流部
路床保護のため石が貼られているようです。
 
下流面。
 
下流面を横切る車道
わかりづらいですが、道路に沿ってイノシシ除けのフェンスが設置されています。
 
右岸の越流式洪水吐。
 
越流堤。
 
導流部
コンクリートの色が白いので洪水吐は近年改修があったようです。
 
洪水吐と上流面
上流面はコンクリートブロックで護岸されています。
 
左岸の斜樋。
 
上流から遠望。
田植えの季節で用水最需要期、さらには少雨ですが貯水池は満水。
水源の森が保護されてる効果てきめん。
 
ダム下に行かなかったので底樋は確認しませんでした。
 
2588 落木場溜池(1454) 
ため池コード422070119
長崎県平戸市生月町南免
神の川水系神の川
20.6メートル(ため池データベース14.4メートル
127メートル
129.3千㎥(ため池データベース165千㎥)/
129.3千㎥(ため池データベース165千㎥)
山田土地改良区
1926年