ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

笛吹ダム

2019-06-10 14:45:26 | 長崎県
2019年5月25日 笛吹ダム
 
笛吹ダムは長崎県松浦市志佐町笛吹免の志佐川水系笛吹川にある長崎県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで笛吹川および志佐川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、電源開発松浦火力発電所他向けの工業用水の供給を目的として2006年(平成18年)に竣工しました。
多目的ダムではありますが、電源開発松浦火力発電所の2号機増設向けの利水供給を主目的として建設されました。
 
松浦市志佐町笛吹免地区の県道11号に笛吹ダムへの案内標識があります。これに従って東に向かうと笛吹ダムに到着します。
ダム下は公園として整備され、ダムサイトへとつながる道路が立体交差しています。
 
自由越流式クレストゲート2門、自然調節式オリフィスゲート1門のゲートレスダム。
ダム下に高架橋があるので高い位置から正対できます。
 
ダム右岸の竣工記念碑は長崎ではおなじみ金箔仕様。
 
2006年(平成18年)竣工と比較的新しいせいかまだまだコンクリートはきれいです。
 
小さな減勢工ですが導流壁は背が高くなっています。
灌漑期ということで利水放流は多め。
 
天端から
ダム下で道路がループしています。
ダム下のループと言えばどこもきれいな円形ですが、ここはジェットコースターのようなアクロバティックなループ。
 
ダム湖は総貯水容量201万立米。
 
上流から
手前の遺構は何ぞや?
 
上流面
クレストゲートの間にオリフィスゲートがあり、ゲート左側に取水設備と言う並び。
取水設備そばに曝気装置があります。
 
左岸高台に展望台がありダムを俯瞰できます。右岸の建物は管理事務所。
 
展望台からは松浦市街も遠望できます。
正面の煙突は笛吹ダムから工業用水を送っている電源開発松浦火力発電所。
2基の発電所で計200万キロワットの発電を行っています。
 
用水供給が松浦発電所だけならダムの目的はFNPになったんでしょうが、発電所のほかか一部工場への供給ということで目的は工水(I)となったようです。
 
(追記)
笛吹ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。  
 
3182 笛吹ダム(1460) 
長崎県松浦市志佐町笛吹免
志佐川水系笛吹川
FNI
59.8メートル
296.5メートル
2010千㎥/1910千㎥
長崎県土木部
2006年
◎治水協定が締結されたダム 

久吹ダム

2019-06-10 10:40:06 | 長崎県
2019年5月25日 久吹ダム
 
久吹(くぶき)ダムは長崎県平戸市田平町福崎免の久吹川下流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
農水省の補助を受けた長崎県の事業で1981年(昭和56年)に事業着手され1989年(平成元年)に竣工しました。
運用開始後は田平土地改良区が受託管理を行っています。
 
下流から
堤高33.7メートルと農業のフィルダムとしてはそこそこ高さがあります。
右岸に洪水吐斜水路が、ダム下に揚水機場と放流設備があります。
 
ダムサイトは駐車場が整備されちょっとした公園のよう。
ダムの敷地は車両進入禁止のため歩いてダムを見学します。
天端から下流を見るとすぐ先には海、距離にして1キロ程度でしょうか?
下の田んぼは入り江が埋め立てられたようです。
 
ダム下の揚水機場
田平には観光名所でもある田平天主堂があり、揚水機場もカトリック教会をモチーフにしたデザインになっています。
 
総貯水容量は97万立米。
 
右岸の管理事務所裏手に斜樋と浮桟橋があります。
 
右岸の横越流式洪水吐
越流堤手前までロック材が敷かれています。
 
下流面。
 
天端は広い道路ですが、一般車両は入れません。
 
洪水吐導流部
斜水路手前に副ダムがあり切れ込みが入っています。
 
上流面
上流面から洪水吐までロック材が敷かれており、魚の鱗のよう。
 
ダムサイトに竣工記念碑や水利用標識があったのですが撮影するのを失念してしまいました。
 
2646 久吹ダム(1459) 
長崎県平戸市田平町福崎免
久吹川水系久吹川
33.7メートル
155メートル
970千㎥/870千㎥
田平土地改良区
1989年 

阿奈田ダム

2019-06-10 01:08:05 | 長崎県
2019年5月25日 阿奈田ダム
 
阿奈田(あなた)ダムは長崎県平戸市大川原町の阿那田川水系阿那田川下流部にある平戸市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
昭和40年代に入り平戸市では本格的な水道整備が進められ、島北部の平戸中心部では1969年(昭和44年)に神曽根第2ダムと平戸浄水場が、1980年(昭和55年)に箕坪ダムが完成しました。
しかし平戸島中南部では依然として水源を地下水や小河川表流水に依存したため、渇水による取水制限が絶えませんでした。
平戸島中南部への水道用水供給の水源として2009年(平成21年)に竣工したのが阿奈田ダムと阿奈田浄水場で、両者の運用開始により平戸市中部紐差地区一帯での水道整備が大きく進展しました。
 
平戸市大川原町の県道60号直上に阿奈田ダムがあり、減勢工そばまで立ち入ることができます。
洪水吐はクレストに自由越流式ゲートが4門並んでおり左右非対称の導流壁が目を惹きます。
 
天端には車止めがあり立ち入りは徒歩のみ。
 
ゲートの手前に半六角形の取水設備があります。
 
左岸の竣工記念碑と諸元表
2007年竣工と比較的新しいダムなので金箔の文字もピカピカ。
 
導流部は左右非対称で左岸は直線、右岸はフーチングと波返しの付いた堤趾導流壁。
 
減勢工と副ダム。
 
同じポイントからズームアップ。
ダムのすぐ下流で県道が大きくヘアピンを描きます。海まで1キロもありませんが残念ながら霞んでいます。
左奥の建屋が阿奈田浄水場。
 
取水設備の操作ハンドル。
 
総貯水容量22万9000立米の小さなダム湖。
 
阿奈田で『あなた』と読みます。
『あなた!ダム』
『わたし?無駄・・・』
 
ダム名は『阿奈田ダム』、河川名は『阿那田川』
ちょっとややこしい。
 
3595 阿奈田ダム(1458) 
長崎県平戸市大川原町
阿那田川水系阿那田川
31.5メートル
95.5メートル
229千㎥/160千㎥
平戸市水道局
2009年