ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

後川内ダム

2019-06-02 16:49:02 | 佐賀県
019年5月24日 後川内ダム
 
後川内(うしろがわち)ダムは佐賀県唐津市後川内の有浦川水系後川内川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
佐賀県北西部の東松浦半島はその大半が上場(うわば)台地と呼ばれる火山性土壌によって形成された台地で、水利に乏しく古くから農地開拓は困難を極めていました。
1973年(昭和48年)より国営の『上場土地改良事業』が着手され2期にわたる事業の結果5基のダム、13箇所の揚水機場、延長77キロの幹線水路の整備が行われました。
同事業により松浦川から揚水された水が5基のダムに合計で1000万立米以上貯留され、新たに5000ヘクタールを超える水田、畑、果樹園への灌漑用水の補給が可能となりました。
後川内ダムは5基のダムの一つとして1992年(平成4年)に竣工し、運用開始後は唐津市が受託管理を行っています。
総貯水容量は375万4000立米と5ダムの中で最大で全体貯水量の4割弱を担っています。
また貯水容量の大半を松浦川からの揚水に依存しており事実上の河道外貯留方式となっています。
 
後川内ダムは県道340号線沿いにあり、ダム湖は車道で周回することができます。
ダムの堤体は地図の赤線部分だけですが、上流面は青線全体がコンクリートで護岸されています。
 
ダム下から見上げると谷間を埋めるよう逆三角のロックフィルダムです
リップラップの草が伸び遠くからはアースダムのように見えます。
 
天端は車道。
 
天端から見たダム下流の眺め
ダム下の白い建屋は揚水機場。
 
右岸から
堤体は手前の洪水吐から奥の屈曲する部分まで。
右奥に松浦川から揚水された水路の吐口があります。
 
吐口をズームアップ
後川内川の集水面積はわずか0.5平方キロで、貯水の大半は松浦川からの揚水に依存している河道外貯留方式のダムです。
 
越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐脇にある金箔仕様の竣工記念碑。
 
上流面全体がコンクリートで護岸され実際の堤体よりも大きく見えます。
総貯水容量は375万4000立米で上場土地改良事業で建設された5基のダムでは最大。
 
洪水吐をズームアップ
 
2544 後川内ダム(1441) 
佐賀県唐津市後川内
有浦川水系後川内川
42メートル
250メートル
3754千㎥/3734千㎥
唐津市
1992年

朝月溜池

2019-06-02 12:08:55 | 佐賀県
2019年5月24日 朝月溜池
 
朝月溜池は佐賀県唐津市湊町の橋本川水系橋本川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
東松浦半島は大半が上場台地と呼ばれる火山性堆積物で形成された台地となっており、水利に乏しく古くから灌漑用水は小河川や天水に依存し多数の溜池が作られてきました。
朝月溜池もそんな溜池の一つで、ダム便覧によれば朝月地区の事業で1929年(昭和4年)の竣工となっています。
ダム便覧では朝月溜池は『位置未確認』となっている一方経緯度が掲載されています。
しかしこの経緯度が示す溜池はダムの要件を満たしていません。
ダム便覧の拾泉舎さまのレポートで唐津市湊町と鎮西町八床に跨る二連の溜池のうち南西側の溜池が朝月溜池とほぼ確定していることから、ここを朝月溜池として訪問、見学しました。
 
地図の赤の部分が朝月溜池の堤体となります。隣接する溜池は十連溜池と言いどちらも朝月水利組合が管理しています。
 
下流面
時節柄草が伸びています。
 
右岸から
天端は車道で貯水池先に風力発電が見えます。
 
貯水池は総貯水容量25万2000立米。
 
上流面は石が積まれています。
ちょうど代掻きから田植えの時期で補給量が多いせいか水位が低くなっています。
 
堤体中央に尺八樋があります。
コンクリートが新しく、拾泉舎さまのレポートによれば2014年(平成26年)に改修が行われたようです。
 
貯水池左岸
この奥が洪水吐になります。
 
ちょっとわかりづらいですがこれが洪水吐。
 
洪水吐から溢流した水はこの隧道を流下します。
 
上流面を遠望
堤体はアーチ状に緩やかに湾曲しています。
 
朝月溜池(左)と十連溜を分ける道路
農作業をしていた方の話では両池は水のやり取りはなく、それぞれ別の受益者へと用水補給するそうです。
 
草が繁茂していたためダム下の底樋は確認すませんでした。
佐賀県ため池データベースでもここが朝月溜池であることは明白でが、いまだ便覧の経緯度および河川は誤った記載をしています。(令和元年6月2日現在)
速やかな修正をお願いしたいものです。
 
2513 朝月溜池(1440) 
ため池コード 412020091
佐賀県唐津市湊町
橋本川水系橋本川
16.1メートル
100メートル
252千㎥/227千㎥
朝月水利組合
1929年

打上ダム

2019-06-02 10:09:21 | 佐賀県
2019年5月24日 打上ダム
 
打上ダムは佐賀県唐津市鎮西町打上の潟川水系潟川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
佐賀県北西部の東松浦半島はその大半が上場(うわば)台地と呼ばれる火山性土壌によって形成された台地で、水利に乏しく古くから農地開拓は困難を極めていました。
1973年(昭和48年)より国営の『上場土地改良事業』が着手され2期にわたる事業の結果5基のダム、13箇所の揚水機場、延長77キロの幹線水路の整備が行われました。
同事業により松浦川から揚水された水が5基のダムに合計で1000万立米以上貯留され、新たに5000ヘクタールを超える水田、畑、果樹園への灌漑用水の補給が可能となりました。
打上ダムは5基のダムの一つとして1992年(平成4年)に竣工し、運用開始後は唐津市と玄海町で組織される一部事務組合である上場地域農業開発事業組合が受託管理を行っています。
打上ダムの総貯水容量は158万立米で全体貯水量の15%を担っており、また貯水容量の大半を松浦川からの揚水に依存しているため事実上の河道外貯留方式となっています。
 
打上ダムは鎮西スポーツセンターが目印となり同センター北側にダムがあります。
ダムの下流側から潟川に沿って廃道寸前の道を進むと堤体直下に出ます。
リップラップは覆土されており見た目はアースダムです。
 
右岸の洪水吐導流部。
 
ダム下の揚水機場
ちょっと廃墟感漂う雰囲気。
 
右岸から下流面
ロックフィルには見えませんねえ。
 
天端は車道になっています。
 
右岸の横越流式洪水吐。
ダム湖側には石が敷かれています。
 
総貯水容量は158万立米ですが 貯水率は目算で10%程度と言ったところですが大丈夫なんでしょうか?
奥は鎮西スポーツセンター。
 
洪水吐斜水路と減勢工。
 
金箔仕様の竣工記念碑
 
上流面。
 
2539 打上ダム(1439) 
佐賀県唐津市鎮西町打上
潟川水系潟川
36.1メートル
181.8メートル
1580千㎥/1430千㎥
上場地域農業開発事業組合(唐津市・玄海町)
1992年