ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

杵臼ダム(再)

2019-10-25 18:23:08 | 北海道
2019年10月18日 杵臼ダム(再)
 
杵臼ダム(再)は北海道夕張郡栗山町字桜山の石狩川水系ポンウェンべツ川支川杵臼川源流部にある灌漑・防災目的のアースフィルダムです。
当地には1926年(大正15年)に建設された桜山池という灌漑用溜池がありましたが、1962年(昭和37年)の大規模改修により杵臼ダムとなりダム便覧ではこの改修を杵臼ダム(元)の竣工年度としています。
現地では今でも桜山池と呼ばれており、国土地理院地形図でも桜山池と記されています。
杵臼川は中小河川ですが河川断面が狭小なため流下能力が不足し、融雪期や豪雨の際にたびたび洪水被害をもたらしてきました。
これを受け北海道は農水省の補助を受けた杵臼ダム再開発事業に着手し2009年(平成21年)に杵臼ダム(再)が竣工しました。
再開発事業では既存の堤体下流面に新たに傾斜遮水ゾーンを持つ堤体を盛り立て堤高を3.25メートル嵩上げし、従来の灌漑用水容量に新たに洪水調節容量が追加されました。
 
道道749号線を北上し、シャトレーゼ栗山工場の手前で道道749号線を東に折れ、そのまま進むと杵臼ダムに到着します。
ダム下および右岸ダムサイトへ向かう道にはそれぞれ害獣防止防止用フェンスがありますが、立ち入り禁止ではありません。
ダム下から
嵩上げ再開発の際に旧堤体上に盛り立てられた部分で、綺麗に草が刈られています。
 
右岸ダム下にある底樋樋門
水路は再開発工事の仮排水路が活用されています。
 
洪水吐減勢工
副ダムには流下用の穴と切れ込みが入っています。
 
ダムサイトに上がります。
貯水池右岸にある多孔式の斜樋。
 
下流面
こちらは再開発で新たに盛り立てられた側になります。
 
洪水吐導流部。
 
横越流式洪水吐
奥の穴は常用洪水吐になります。
 
貯水池は51万4000立米
現地では今でも桜山池と呼ばれています。
 
左岸から下流面
ちょうど堤体の真上を高圧電線が通っています。
 
上流面
段差が付いていますが、実はこの平たん部こそが旧杵臼ダムの堤頂部となります。
 
既存の灌漑用ため池を再開発して防災ダム化した例としては佐賀県の永池ダム(再)があります。
 
0021 杵臼ダム(元) 
北海道夕張郡栗山町桜山
石狩川水系杵臼川
17.4メートル
118メートル
349千㎥/279千㎥
栗山土地改良区
1926年 桜山池竣工
1962年 杵臼ダム(元)竣工
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3304 杵臼ダム(再)(1515)
北海道夕張郡栗山町桜山
石狩川水系杵臼川
FA
27.2メートル
177メートル
514千㎥/451千㎥
栗山土地改良区
2009年 杵臼ダム再開発竣工

旭町第二ダム

2019-10-25 17:57:12 | 北海道
2019年10月18日 旭町第二ダム
 
旭町第二ダムは北海道夕張市旭町の石狩川水系ポンポロカベツ川にある夕張市が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
明治時代から炭鉱で栄えた夕張では炭鉱会社自らが専用水道の整備を行っていましたが、あくまでも炭鉱及び炭鉱従業員向けの水道でした。炭鉱の繁栄に伴い市域の拡大と人口増加が続く中夕張市は1928年(昭和3年)から公営水道の整備に着手、1941年(昭和16年)に水源地として旭町第一ダムが竣工しました。
戦後の復興を受け昭和30年代には人口が10万人を突破、これに対応するために1970年((昭和45年)に旭町第一ダム直上に建設されたのが旭町第二ダムです。
旭町第一ダム及び第二ダムで貯水された水はダム直下にある旭町浄水場を経て日量平均約1100立米の上水道用水の供給を行っています。
 
夕張警察向かいからポンポロカベツ川沿いを西に進むと旭町浄水場に到着します。
浄水場脇からさらに上流へ向かうと第二ダムがあるのですが、車両は進入禁止、職員さん曰く徒歩でも落石の恐れがあるので立ち入りはお薦めできないとのことだったので、今回は自重しました。
写真は旭町浄水場から第二ダムへ向かう林道入口です。
右手に白い看板がありますが、実はこれ車両進入禁止の警告板だそうで・・・
塗装がはがれて字が読めませんが、まあ普通にここから先に入る人などいないのでしょうね?
 
0080 旭町第二ダム 
北海道夕張市旭町
石狩川水系ポンポロカベツ川
19.6メートル
122メートル
334千㎥/300千㎥
夕張市
1970年

旭町第一ダム

2019-10-25 17:04:56 | 北海道
2019年10月18日 旭町第一ダム
 
旭町第一ダムは北海道夕張市旭町の石狩川水系ポンポロカベツ川にある夕張市が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
明治時代から炭鉱で栄えた夕張では炭鉱会社自らが専用水道の整備を行っていましたが、あくまでも炭鉱及び炭鉱従業員向けの水道でした。炭鉱の繁栄に伴い市域の拡大と人口増加が続く中、夕張市は1928年(昭和3年)から公営水道の整備に着手、1941年(昭和16年)に上水道水源として竣工したのが旭町第一ダムです。
戦後の復興を受け昭和30年代には人口が10万人を突破、これに対応するため1970年((昭和45年)には旭町第一ダム直上に旭町第二ダムが建設されました。
旭町第一ダム及び第二ダムで貯水された水はダム直下にある旭町浄水場を経て日量平均約1100立米の上水道用水の供給を行っています。
 
夕張警察向かいからポンポロカベツ川沿いを西に進むと旭町浄水場に到着します。
門扉が開いており立禁等の注意書きもなかったため敷地内に入ったところ、職員さんに立ち入り禁止と注意を受けました。
どうやら開いていた門扉の裏側に注意書きがあったようです。
とりあえず堤体の写真だけと半ばごり押しでお願いして撮ったのがこの3枚の写真。
1941年(昭和16年)竣工の古いダムらしく堤体はかなり傷みが見えます。
 
こちらは右岸の洪水吐導流部
この上にゲートがあるようです。
 
水利使用標識。
 
財政が厳しい夕張市では現在上下水道課はわずか3人の職員さんで仕事を回しているそうで、事前に予約をしてもダムの見学については対応できかねるとのことでした。
さらに上流の旭町第二ダムへ向かう道も落石の恐れがあるので徒歩での立ち入りはご遠慮願いたいとのことでした。
 
0037 旭町第一ダム(1513) 
北海道夕張市旭町
石狩川水系ポンポロカベツ川
21.5メートル
115メートル
325千㎥/270千㎥
夕張市
1941年


清水の沢ダム

2019-10-25 15:37:50 | 北海道
2019年10月18日 清水の沢ダム
 
清水の沢ダムは北海道夕張市清水沢の石狩川水系清水沢川にある夕張市が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
明治時代から炭鉱で栄えた夕張では炭鉱会社自らが専用水道の整備を行っていましたが、あくまでも炭鉱及び炭鉱従業員向けの水道でした。炭鉱の繁栄に伴い市域の拡大と人口増加が続く中、夕張市は1928年(昭和3年)から公営水道の整備に着手し1941年(昭和16年)に旭町第一ダムが建設されました。さらに戦後の復興を受け昭和30年代に入ると人口は10万人を突破、1970年((昭和45年)に新たに旭町第二ダムが完成しました。
しかし高度成長期の終焉やエネルギー転換の影響で石炭需要は減少、鉱山の閉山が相次ぎ以降夕張の人口は減少の一途を辿ります。
そんな中1979年(昭和54年)に就任した中田市長は積極財政を展開、インフラ整備の拡充を進める中で新たな上水道水源として1980年(昭和55年)に建設が開始され1984年(昭和59年)に竣工したのが清水の沢ダムです。
清水の沢ダムで貯水された水はダム直下にある清水沢浄水場を経て日量平均約2000立米の上水道用水の供給を行っています。
なお夕張市内には北海道企業局が管理する『清水沢ダム』が別にあります。こちらは『清水の沢ダム』あちらは『清水沢ダム』、かなり紛らわしい。
 
道道38号線の葬斎苑前バス停を左折し清水沢川沿いを西に進むと清水沢浄水場に到着します。
ダムは浄水場の先にありますが、敷地内は立ち入り禁止のため門扉から遠望するのみ。
 
門扉の脇から林道を進むともう少しダムがよく見えます。
浄水場の建屋は新しく最近建てられたようです。
 
自治体管理の上水用ダムでよく見られる自由越流式1門だけのシンプルな構造です。
 
中田市長の積極財政政策はその後のバブル崩壊で破綻、結局この際の債務が「借金都市夕張」に転落する主因となります。
 
3298 清水の沢ダム(1512) 
北海道夕張市清水沢
石狩川水系清水沢川
25.1メートル
96メートル
860千㎥/710千㎥
夕張市
1984年

夕張シューパロダム(再)

2019-10-25 14:04:23 | 北海道
2019年10月18日 夕張シューパロダム(再)
 
夕張シューパロダム(再)は北海道夕張市南部青葉町の石狩川水系夕張川にある国交省北海道開発局建設部が直轄管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1953年(昭和28年)に農林省(現農水省)は国営大夕張土地改良事業に着手し1961年(昭和36年)に大夕張ダムが竣工、翌年竣工した下流の川端ダムと併せ夕張川沿岸の栗山町・由仁町への灌漑用水の供給が開始されました。
一方1981年(昭和56年)の台風12号により夕張川および下流の石狩川流域で観測史上最悪規模の大水害が発生したことを受け、北海道開発局石狩川建設部は夕張川への治水ダム建設を軸とした『夕張川総合開発事業』を計画します。
これに新規農地開発を目指す農水省と都市用水需要増加から新水源確保を目指していた石狩東部広域水道企業団が事業参加し1991年(平成3年)に夕張川総合開発事業が着手されます。
大夕張ダム下流150メートル地点に新ダムを建設するダム再開発事業として2006年(平成18年)より本体工事が開始され、2014年(平成26年)に夕張シューパロダム(再)が竣工しました。
 
夕張シューパロダムは兼用工作物で、昭和56年台風12号クラスにも耐えうる夕張川及び石狩川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、夕張川流域及び石狩地区6市5町への灌漑用水の供給、石狩東部広域水道企業団への上水道用水の供給、北海道企業局シューパロ発電所での最大出力2万6600キロワットのダム式水力発電を目的としています。
夕張シューパロダムは堤高110.6メートル、堤頂長390メートルと北海道最大の多目的ダムであり、ダム建設によって誕生したシューパロ湖は湛水面積1500ヘクタールで日本第2位、総貯水容量4億2700万立米は日本第4位と日本屈指のダム湖となっています。
 
夕張市清水沢から国道452号線を東進、ダムの標識に従って右折し南部橋を渡るとダム見学用の駐車場に到着します。
現在ダム左岸の管理事務所へ向かう管理道路は落石懸念から立ち入りが禁止されており、ダム直下の『出会い橋』からの見学に限定されています。
 
国道452号線から南部橋を向かう途中で振り返ると夕張シューパロダムが見えます。
 
南部橋を渡り夕張川左岸の管理道路を進むと左岸駐車場に到着します。
ここから徒歩へダム下の『出会い橋』へと向かいます。
途中樹林の切れ間から、まだ汚れのない純白の堤体が青空に映えます。
クレスト自由越流頂は12門、うち越流高の低い中央4門が常用洪水吐、左右4門ずつが非常用洪水吐となります。
 
ダム直下の出会い橋から
右手は北海道企業局シューパロ発電所。
 
どのアングルから見ても白い堤体と青い空のコントラストが美しい。
 
発電所をズームアップ。
 
出会い橋からみた夕張川
釣りをしていますが立ち入り可能なんでしょうか?
 
せっかくの美しいダムも落石のためダム下からの見学に限られています。
また国内最大規模を誇るダム湖も地元夕張市の財政難の影響もあり観光に活用する動きはないようです。
観光資源としては『宝の持ち腐れ』。
 
(追記)
夕張シューパロダム(再)には洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0054 大夕張ダム(元) 
北海道夕張市南部青葉町
石狩川水系夕張川
AP
67.5メートル
251.7メートル
87200千㎥/80500千㎥
国交省北海道開発局農水部
1961年
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3101 夕張シューパロダム(再)(1511)
北海道夕張市南部青葉町
石狩川水系夕張川
FNAWP
110.6メートル
390メートル
427000千㎥/367000千㎥
国交省北海道開発局
2014年夕張シューパロダム竣工
◎治水協定が締結されたダム