ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大椴ダム

2019-10-31 15:31:11 | 北海道
2019年10月21日 大椴ダム
 
大椴(おおとど)ダムは北海道留萌郡小平町大椴の大椴子川源流部にある防災・灌漑目的のアースフィルダムです。
留萌振興局管内には道営の防災ダム事業で建設された防災ダムが5基ありますが、大椴ダムはそのうちの一つです。
大椴子川は河川改修が手つかずの原始河川で洪水期・融雪期にはたびたび流域農地に洪水被害をもたらす一方、夏場には水不足による干ばつ被害も多く、抜本的な治水対策が求められていました。
1983年(昭和58年)に北海道は農水省の補助を受けた道営防災ダム事業・かんがい排水事業大椴地区に着手し2003年(平成15年)に竣工したのが大椴ダムです。
大椴ダムは大椴子川の洪水調節と、受益農地106.3ヘクタールへの灌漑用水の供給を目的としており、運用開始後は小平町が受託管理を行っています。
 
小平町大椴の国道239号線から大椴子川沿いに東に進むと正面に大椴ダムが見えてきます。
美しいアースフィルの堤体とまるで重力式コンクリートダムのような洪水吐が絶妙のコラボを見せています。
 
ちょうど見ごろとなった紅葉が良いアクセントになっています。
 
洪水吐だけを切り取れば、まるで一つの重力式コンクリートダムのようです。
自由越流式クレストゲートと自然調節式オリフィスゲートがあり、オリフィスから越流しています。
 
通常フィルダムの洪水吐導流部はフィル斜面に合わせた緩やかな傾斜になっていることが多いのですが、大椴ダムの洪水吐は越流面から急角度で切れ落ちています。
 
洪水吐越流部は越流した水を減勢させる目的でしょうか?S字の段差がついた珍しい形状。
 
減勢工は二つに仕切られ、オリフィス放流の水は右手に流下します。
またバッフルピアが一列に並び減勢効果を向上させています。
減勢工は左手に折れ副ダムを経て大椴子川へ流下してゆきます。
 
ダム湖の総貯水容量は172万9000立米あり、見た目より大きくなっています。
ダム湖は上流側に長く伸びているのでしょう。
 
左岸から下流面
綺麗に刈り払われ行き届いた管理を伺わせます。
 
天端
対岸に管理事務所が見えます。
周囲の山々の紅葉もちょうど見ごろです。
 
上流面はロック材が敷かれています。
 
水利使用標識。
 
アースの堤体、コンクリートダムのような洪水吐、ロックフィルで護岸された上流面と一つのダムで三つの要素が楽しめる大椴ダム。
事前から期待していたダムでしたが、天気にも恵まれ周辺の紅葉もちょうどいい按配。
最高のコンディションでダムを見学することができました。
今回の北海道遠征で一つダムを挙げるとすれば迷うことなくこのダムでしょう。
 
0179 大椴ダム(1537) 
北海道留萌郡小平町大椴
大椴子川水系大椴子川
FA
34メートル
124メートル
1729千㎥/1329千㎥
小平町
2003年

三渓ダム

2019-10-31 12:25:38 | 北海道
2019年10月21日 三渓ダム
 
三渓ダムは北海道苫前郡苫前町三渓の古丹別川水系三毛別川右支流マルシメ沢川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムで、ダム便覧には北海道の事業により1960年(昭和35年)に竣工と記されています。
一方現地竣工記念碑では1959年(昭和34年)竣工となっており、ここでは現地記念碑を採用することにします。
完成以来苫前土地改良が管理を行い長く三毛別川流域の貴重な灌漑用水源となってきましたが、1999年(平成12年)に三毛別川上流に新たに苫前ダムが竣工し、流域の水事情は一段と改善しました。
 
苫前町古丹別の国道239号線から道道1049号線、通称ベアロードを南に進み三渓神社の先を左に折れると三渓ダムに到着します。
北海道の農業用ダムとしては非常に珍しいゲート装備の重力式コンクリートダムです。
 
洪水吐はクレストのローラーゲートだけ。
左岸(向かって右手)に利水放流ゲートがあります。
 
ゲートをズームアップ。
 
右岸の竣工記念碑。
ダム便覧よりも1年早い1959年(昭和34年)竣工となっています。
 
上流面と天端
赤い手すりが印象的。
 
天端
特に立ち入りは制限されていません。
 
導流部と減勢工。
 
一見小さめの貯水池ですが、総貯水容量は68万8000立米。
上流に向けて長く続いてるんでしょう。
需要期が終了し、例に洩れず水が抜かれています。
 
ゲート操作機。
 
ピアから見下ろす天端。
 
三毛別と言えば思い出すのが三毛別羆事件。
竣工記念の碑文にも『熊狐咆哮する中』という表現でこの地を開拓した先人たちの苦労を讃えています。
今は上流に苫前ダムが竣工し、流域の水利は大きく向上しています。
 
0052 三渓ダム(1536) 
北海道苫前郡苫前町三渓
古丹別川水系マルシメ沢川
17メートル
77メートル
688千㎥/606千㎥
苫前土地改良区
1959年

上小川ダム

2019-10-31 11:37:06 | 北海道
2019年10月21日 上小川ダム
 
上小川(かみこがわ)ダムは北海道苫前郡苫前小川の古丹別川水系チエボツナイ川源流にある防災目的のロックフィルダムです。
留萌振興局管内には道営防災ダム事業で建設された5基の防災ダムがありますが上小川ダムはそのうちの一つです。
チエボツナイ川は流路延長31キロメートルの二級河川ですが、蛇行の多い原始河川のため融雪期や豪雨の際には洪水が多発していました。
1974年(昭和49年)に北海道は農水省の補助を受けチエボツナイ川源流部への防災ダム建設事業に着手、2003年(平成15年)に竣工したのが上小川ダムです。
上小川ダムはチエボツナイ川の洪水調節を目的とするいわゆる農地防災ダムで、運用開始後は北海道留萌振興局が管理を行い受益農地371ヘクタールの防災を担っています。
なおダム便覧ではダムの型式がアースフィルになっていますが、留萌振興局のデータではロックフィルなっておりここではロックフィルとしておきます。
 
苫前町古丹別の国道239号線から道道1063号線を東に向かい、最後の集落を過ぎるとダム手前1キロ地点に関係者以外立ち入り禁止のゲートが現れます。
 
ゲートそばのチエボツナイ川にかある警告板。
 
ゲート手前左手に林道が分かれており、ダメモトで進むと釣師のものと思われる踏跡が川沿いに続いています。やがて蛇行した川を渡ると正面に上小川ダムの堤体が見えてきます。
堤高33.2メートル、堤頂長187.3メートルの立派な堤体です。
ロックフィルですが下流面には芝が張られぱっと見アースフィルのようです。
 
ここから先は立ち入り禁止エリアとなるため残念ながらここで引き返すことにします。
 
0127 上小川ダム(1535) 
北海道苫前郡苫前町小川
古丹別川水系チエボツナイ川
33.2メートル
187.3メートル
3677千㎥/3141千㎥
北海道留萌振興局
2003年

羽幌二股ダム

2019-10-31 11:07:03 | 北海道
2019年10月21日 羽幌二股ダム
 
羽幌二股ダムは北海道苫前郡羽幌町上羽幌の羽幌川水系デト二股川上流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
北海道開発局農水部による国営羽幌二股かんがい排水事業の中核施設として1967年(昭和42年)より事業着手、1978年(昭和53年)に竣工しました。
運用開始後は受益自治体である羽幌町が受託管理を行っています。
 
羽幌中心部から羽幌川に沿って道道747号線から741号線をひたすら東に進みます。
ところがダムのかなり手前でゲートアウト。
実は車両は通行止めですが、徒歩はOKみたい。でもクマが出るかもしれない車道を10数キロも歩くのはちょっと・・・。
 
ゲートからチャリでダムに入ってる方もいるようですが、遠征組はこのゲートであきらめることにします。
 
0096 羽幌二股ダム 
北海道苫前郡羽幌町上羽幌
羽幌川水系デト二股川
33.6メートル
125メートル
4300千㎥/3760千㎥
羽幌町
1978年 

有明ダム

2019-10-31 01:45:04 | 北海道
2019年10月21日 有明ダム
 
有明ダムは北海道苫前郡初山別村有明の茂築別川本流上流部にある北海道建設部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、有明ダムは茂築別川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1971年(昭和46年)に竣工しました。
しかし有明ダム運用開始以降も河川改修の進捗の遅れから洪水被害は絶えず、2017年(平成29年)に北海道は新たに茂築別川水系河川整備計画を策定、ダムと河川改修一体となった治水対策に取りかかっています。
 
初山別村内の国道232号線から道道708号線通称桜ロードを東に向かうと有明ダムに到着します。
クレストにローラーゲート1門のシンプルな構造です。
現在堤体改修工事に取り掛かっており、ダム下への立ち入りはできません。
 
堤高21.7メートルに対して堤頂長250メートル、北海道ではおなじみの横長ダム。
堤頂部のいわゆる『襟』がなく独特のバケットカーブとなっています。
 
天端は徒歩のみ立ち入り可能。
 
右岸からダム下の監査廊入り口に通じるスノーシェルター付きの管理通路。
透明のプラスチックカバーで覆われ、ちょっと近未来的な雰囲気。
 
アングルを変えて
夏は暑そう。
 
洪水吐導流部と減勢工
現在新たな導流壁が作られており、もしかしたらゲートレス化されるのかも?
 
これも導流壁??
 
ダム湖は『東山湖』で総貯水容量は244万立米。
ちょうど紅葉は見ごろで雲の切れ間から朝日が差し込み非常に美しい景色が広がりました。
 
ピアとゲート操作室
雪国らしくピア上の巻き上げ機は被覆されています。
 
左岸から見た下流面、工事の様子。
改修工事が終われば一体どんな姿になるんでしょうか?
 
 
0083 有明ダム(1534) 
北海道苫前郡初山別村有明
茂築別川水系茂築別川
FN
21.7メートル
250メートル
2440千㎥/1840千㎥
北海道建設部
1971年