ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

上湯内ダム

2019-10-30 13:47:52 | 北海道
2019年10月20日 上湯内ダム
 
上湯内ダムは北海道深川市湯内の石狩川水系雨竜川左支流多渡志川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
北海道開発局農水部により1950年(昭和25年)より事業着手された国営多渡志かんがい排水事業の中核施設として1956年(昭和31年)に竣工、さらに1987年(昭和62年)には道営溜池等整備事業により大規模改修が行われました。
管理は多渡地土地改良区が受託し受益農地273.63ヘクタールに灌漑用水を供給しています。
 
上湯内ダムは道道98号線沿いにあります。
堤高15.5メートルと高さはありませんが、綺麗に手入れされた芝の緑が目立ちます。
 
ダムの下流左岸に底樋があり手前が底樋ゲート。
すでに灌漑期が終わり貯水池の水が抜かれており、流入量をそのまま流下させています。
 
洪水吐と下流面。
 
上流から見た洪水吐導流部と減勢工
堤高が低いため傾斜はありませんが、導流壁のうねり具合がエロチック。
多分土木屋さん泣かせだったんでしょうねえ。
 
洪水吐は円形越流式。
 
天端は立ち禁なので右岸から見るのみ
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
取水設備をズームアップ
上流面に沿って斜樋が設置され、先端先に土砂吐があります。
左手は古い斜樋跡。
 
越流堤越しの貯水池。
総貯水容量は87万7000立米
例に洩れず水が抜かれています。
 
道道脇記念碑
これは1987年(昭和62年)の道営溜池等整備事業の竣工記念碑。
 
水利使用標識。
 
国営事業で建設された灌漑用ダムとしては堤高15メートルちょいは小規模ではありますが、綺麗な下流面の芝、洪水吐導流部のうねうねとした導流壁など心惹かれるものが多い上湯内ダムです。
 
(追記)
上湯内ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  
 
0048 上湯内ダム(1530) 
北海道深川市湯内
石狩川水系多渡志川
15.5メートル
109.5メートル
877千㎥/857千㎥
多渡志土地改良区
1956年
◎治水協定が締結されたダム

稲田ダム

2019-10-30 12:19:21 | 北海道
2019年10月20日 稲田ダム
 
稲田ダムは北海道深川市音江町の石狩川水系須麻馬内川右支流稲田川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑には北海道の事業により1928年(昭和3年)に建設され、1935年(昭和10年)には大規模な改修工事が行われたと記されています。
さらに1973年(昭和48年)~1979年(昭和54年)に道営の大規模溜池事業が行われ、ダム便覧ではこの改修の竣工をもって稲田ダムの竣工年度としています。
しかし竣工記念碑では1928年の竣工時に堤高49尺とあり、これは16.17メートルに相当するため、ここでは1928年(昭和3年)を竣工年度と記すことにします。
ダムの管理は空知土地改良区が行い、70.74ヘクタールの農地に灌漑用水の補給を行っています。
 
国道12号で深川市音江町稲田の稲田簡易郵便局先を右に折れ、高速の下をくぐると前方に稲田ダムの堤体が見えてきます。
堤高17.6メートルとさほど高くはありませんが、犬走りを挟んで二段の非常に美しい堤体です。
 
左岸の洪水吐導流部。
 
堤体基部は丸石積みの擁壁。
 
上流面はコンクリートで護岸
もろ逆光となりました・・・。
 
総貯水容量は41万立米。
需要期が終わり水が抜かれています。
 
西日に映えた赤い取水塔がとてもきれいです。
 
水利使用標識。
 
道営大規模溜池事業の概要説明。
 
右岸に竣工記念碑と水神宮が祀られています。
 
昭和10年改修時の竣工記念碑
このように池の由来を細かく残していただけるとブログを書く際にも大変重宝します。
 
(追記)
稲田ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  
 
0026 稲田ダム(1533) 
ため池コード
北海道深川市音江町
石狩川水系稲田川
17.65メートル
220メートル
410千㎥/338千㎥
空知土地改良区
1928年
1979年 大規模老朽溜池事業竣工
◎治水協定が締結されたダム

江部乙1号ダム

2019-10-30 11:19:00 | 北海道
2019年10月20日 江部乙1号ダム
 
江部乙1号ダムは北海道滝川市江部乙の石狩川水系江部乙川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には北海道の事業により1977年(昭和52年)に竣工と記されており、現在は江部乙土地改良区が管理を行い68.79ヘクタールの農地に灌漑用水の補給を行っています。
 
ダムへは下流から江部乙川沿いにアプローチします。
国土地理院地形図には左岸の道道564号線からの道が記されていますが、この道は廃道で使えません。
ダムの右岸にある水利使用標識。
 
上流面は上部がコンクリート、下部が石積みで護岸されています。
 
右岸の多孔式斜樋。
 
天端には轍が残っています。
 
天端からのダム下の風景
やや色づいた木々が西日を浴びて美しい。
 
貯水池は総貯水容量35万4000立米
需要期が終わったため水が抜かれています。
 
斜樋と土砂吐。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
左岸から見た下流面。
 
左岸高台に竣工記念碑があります。
 
当ダムとは全く関係がありませんが、江部乙には全国でも珍しい嗤う狛犬が置かれた江部乙神社があります。
パワースポットとしても有名なので、このダムに来たらぜひお立ち寄りを。
 
 
 
(追記)
江部乙1号ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  

3362 江部乙1号ダム(1531) 
ため池コード
北海道滝川市江部乙町
石狩川水系江部乙川
18.55メートル
206.5メートル
354千㎥/354千㎥
江部乙土地改良区
1977年
◎治水協定が締結されたダム

エルムダム

2019-10-30 10:16:11 | 北海道
2019年10月20日 エルムダム
 
エルムダムは北海道赤平市百戸北町の石狩川水系空知川右支流赤間沢川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
北海道開発局農水部による国営音江山地区土地改良事業の中核施設として1981年(昭和56年)より工事着手、1997年(平成9年)に竣工しました。
運用開始後は受益自治体である赤平市・滝川市・深川市・芦別市が受託管理者となっていますが、実際の管理業務は赤平市に委任されています。
ここで貯留された水は上記4市の受益農地計980ヘクタールに灌漑用水の補給を行っています。
エルムダムはダム名としては珍しいカタカナ表記になっていますが、ダム建設地点周辺には楡(ニレ)の樹林が多く、楡の英語名であるエルムをダム名にしたとのことです。
 
赤平市百戸町からエルム町の標識に従って赤間沢川を北に進むとダム2キロ手前で写真のゲートが現れます。
残念ながらこの先は立ち入り禁止。
 
ゲート前の分岐を左手に取りエルム森林公園方面に登ってゆくと樹間から僅かにエルムダムの堤体が垣間見えます。
 
農業用としてはスケールの大きなロックフィルダムですが、じかに目にするのは難しそう。
 
(追記)
エルムダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  
 
0133 エルムダム 
北海道赤平市百戸町北
石狩川水系赤間沢川
53.7メートル
258メートル
3300千㎥/2950千㎥
赤平市(滝川市・深川市・芦別市より管理を委任)
1997年
◎治水協定が締結されたダム