2023年5月21日 本明川ダム
本明川(ほんみょうがわ)ダムは左岸が長崎県諫早市富川町、右岸が同市上渡瀬野町の一級河川本明川本流に国交省九州地方整備局が建設予定の治水目的の台形CSGダムです。
本明川は長崎県唯一の一級河川ですが、流域面積が小さい上に上中流部が急流河川のため洪水・高潮常襲地帯である諫早の洪水の主因となってきました。
1990年(平成2年)に当地への建設省(現国交省)直轄事業による多目的ロックフィルダム建設が採択されますが、バブル崩壊以降の経済状況の変化や公共工事見直し機運が強まる中、2010年(平成22年)に検証対象ダムとなります。
2013年(平成25年)に事業継続が決定しますが、利水需要の低減を受けダムの目的はFNWの多目的ダムからFNの治水ダムへ、型式もロックフィルダムからコスト削減が可能な台形CSGに変更されました。
完成の暁には本明川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給を目的として運用される予定です。
今回は工事が休工の日曜日に合わせて建設予定地を訪問しましたが、現在はまだ道路の付け替え工事中だけで本体は未着工、国交省長崎河川国道事務所のホームページでも竣工予定年度は明示されていません。
本明川下流からダム建設予定地を遠望。
左右両岸に付け替え道路が建設中です。
上流に行くにつれ川の傾斜が急になる様がよくわかります。
道路付け替え工事の工事看板。
本明川の断面図と容量配分
完成すれば沖縄を除く西日本初の台形CSGダムとなります。
(国交省長崎河川国道事務所HPより)
ダム軸
対岸の法面と撮影場所を結ぶラインがダム軸となります。
ダム上流側
眼下の谷筋は貯水池に沈む予定ですでに土地の収用は完了しています。
ダム湖側からダム建設予定を望む。
古来より諫早は本明川の洪水と諫早湾の高潮による水害常襲地帯でした。
高潮については諫早湾干拓事業の潮受け堤防完成によりほぼ抑止できており、本明川ダムが完成すれば諫早の治水安全度は一段と向上する見通しです。
また、沖縄県を除けば西日本では初の台形CSG型式のダム事業となることから、本体工事の着手が待ち遠しいところです。
左岸 長崎県諫早市富川
右岸 同市大渡瀬野
本明川水系本明川
FN
CSG
60メートル
340メートル
6200千㎥/5800千㎥
国交省九州地方整備局
1990年 事業着手