ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

岡溜池

2023-07-13 17:05:23 | 長崎県
2023年5月22日 岡溜池

岡溜池は長崎県雲仙市瑞穂町古部甲の権現川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
島原半島北部に位置する雲仙市瑞穂町は雲仙の火山活動による火山堆積物で厚く覆われ、透水性の高い丘陵と侵食された谷筋が交互に繰り返す地形となっています。
明治末期から各谷筋での新田開発が進められ、岡溜池も権現川流域の開拓に併せて建設されました。
ダム便覧には岡土地改良区の事業で1934年(昭和9年)に竣工と記されており、土地改良区の前身である水利組合の事業、つまり農家の持ち出しで建設されたと思われます。
現在の管理者は岡溜池管理組合です。

岡溜池には上流側から車道が通じています。 
ほぼ満水で見えませんが、上流面はコンクリートブロックで護岸。


左岸に建つ改修記念碑。 


1988年(昭和63年)から1994年(平成6年)にかけての改修事業の記念碑です。 


天端、上下流面ともにきれいに草が刈られいまだ貴重な水源であることが伺えます。 


総貯水容量5万3000立米(ため池データベース)
貯水池周辺は鬱蒼とした自然林に囲まれています。


この日は黄砂の影響でかなり視界不良
わかりにくい写真ですが、天端からはかろうじて諫早湾が視認できます。


天端中央の階段式池栓。
諫早雲仙周辺の溜池ではこのタイプが多い。


右岸の越流式洪水吐。 


洪水吐斜水路。 


堤高15.3メートル
高校球児の坊主頭のように奇麗に刈られた下流面。


池下は木々が茂りやや鬱蒼とした雰囲気。


底樋管。 


池下の祠には『明治二十七年 十月二十日建設』と記されています。
この建設が当池を指すのであれば、池の築造年度は1894年になります。


直前の夏峰溜池がひどい状況だったので、岡溜池の美しい管理状態を見るとほっと一息。余談ですが、雲仙市瑞穂町をはじめとした島原半島では昭和40年代よりそれまで未開拓だった丘陵地帯でジャガイモ栽培が進められ、今では長崎県は北海道に次ぐジャガイモの一大生産地になっています。 

2597 岡溜池(2006)
ため池コード 422130017
長崎県雲仙市瑞穂町古部甲
権現川水系権現川
15.3メートル
81メートル(ため池データベース 90メートル)
50千㎥/40千㎥(ため池データベース 53千㎥/40千㎥)
岡溜池管理組合
1934年