演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

一本目は「楽屋」

2010年06月26日 08時41分00秒 | 観劇の感想

演劇ユニット『 ひ・ま・た・く 』

脚本:清水邦夫 作
『楽屋』
2010.06.18 午後19時の回を観劇。

演出のくぼしょうこからのメールが来たのが水曜日。
初めてあったのが1982年なんで知り合って28年ということになる。
今回で静岡を去って、関東に拠点を移すとのこと。

芝居のほうは、後半に若干息切れがしていたが(たぶん前半と後半とで練習量に差があるのだろう)
全体としてはうまくまとまっていて楽しめた。

最初と最後に画像を使っていたが、これは好みが分かれるところだ。
自分としては文字の意味だけが印象に残るのと
音楽と文字だけの時間が続くのは好みではない。

もうひとつは脚本の選定だが、今この脚本は観客にとって面白いのだろうか。
最近はチェーホフの脚本をほぼノーカットで上演されたものを観たことがない人がたくさんいるのではないだろうか。
実は、1970年代はチェーホフとシェイクスピアが異常にたくさん上演されていた。
民芸の「三人姉妹」と東京演劇アンサンブルの「かもめ」がヒットしたのが1973年だっただろうか。文庫でチェーホフがたくさん出てきたのもこの頃だった。
同じ頃シェイクスピアも小田島新訳が出始めて、俳優座の斬新な「ハムレット」を皮切りに多くの劇団がシェイクスピアを上演し始めた。
映画でも「マクベス」が製作されたのはこの頃だった。
つまり初演された1977年にはチェーホフの作品もシェイクスピアの作品もノーカット版での上演を見ている人がたくさんいたわけで(本もよく売れていた)こういう引用劇も二重に楽しめたわけだ。

初演のリストがWebにあったので引用してみる。

1977(昭52)年7月13日~16日
木冬社第2回公演
会場:渋谷ジァンジァン
演出:秋浜悟史
美術:大野泰
照明:日高勝彦
効果:深川定次
舞台監督:織田忠正
出演:松本典子(女優C)/安部玉絵(女優A)/中野礼子(女優B)/新野加代子(女優D)

ここで注目したいのは美術の大野泰さん。「ぼくらが非情の大河をくだる時―新宿薔薇戦争」「泣かないのか?泣かないのか一九七三年のために?―にぶき光の残酷ショー―」で高く評価された舞台美術家だ。
いずれの作品も雑誌に掲載された舞台写真でしか観ていないが、演出を助ける美術をいつも考えているらしい。今回の舞台を見ていて、鏡の位置が違うのかなって、当時の舞台写真を思い返しながら思った。自分が大野泰さんの美術とかかわっていた時期は、芝居の話は出なかったので、聞きそびれたのだ。

まとまりのない感想になってしまったが、細かいことをグダグダ書いても仕方がない、というか技術的な問題はほとんどなかったし、あとは好みの問題だから、書いても意味がないことだけだ。
美術については個人的な防備録。