2012年 4月 9日
東京都労働委員会
会 長 荒木 尚志 殿
明治乳業争議支援共闘会議
議 長 松 本 悟
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
団 長 小 関 守
要 請 書
[ 平成6年不55号事件・その他 明治乳業賃金昇格差別事件 ]
記
私たちは、命令交付が間近であることを念頭に置きながら、「なんとしても救済命令を」の決意で、貴委員会への要請行動を継続しています。
前回(3月8日)の要請では、本件が求める救済内容は市川工場事件と異なり、「事業所採用者経路」内での格差是正であることを改めて明確にしました。
そして、救済年度(平成5年度)の平均年収で約100万円(最大220万円)、月額賃金で4~5ヵ月分に及び、職分昇格では2~3ランクもの格差があるなど、この格差自体が不当労働行為の成立を強く推認させることを述べました。
今回の要請では、申立人らがそれぞれ定年退職に至るまで、継続している追加申立によっても明らかなように、その後も格差がさらに拡大していることを明らかにし、改めて、差別開始時点まで遡及しての精査・判断と、申立以後も続いた格差(差別)拡大を含む一括しての救済措置を強く求めるものです。
1、会社の資料開示拒否は格差の存在がより鮮明になることを避けての抵抗
申立人らは、格差の実態を明確にして救済への迅速・正確な審査を求める立場から、書面提出も含め会社が保管する資料の開示を繰り返し求めました。
その結果、中島公益委員は「主張・立証の範囲に限らず、出せるものはなるべく出してほしい」(平成20年2月12日、第10回調査調書)と会社に求め、また、和田公益委員も申立人らの主張に基づき、「すくなくとも、市川工場事件で同人が提出(注:東京高裁での求釈明決定)した、人事考課成績分布及び同期・同学歴における職分分布に関する資料に相当する資料を提出するよう」に促したのです(平成23年3月25日、第22回調査調書)。
しかし、会社は「会社の訴訟リスクの問題でありますので、会社の判断で出します」といい、さらに「申立人らの資料開示に対する会社意見」(23年4月20日)においては、「申立人ら以外の労働者の職分分布に関わる人事資料は廃棄した」等として、一切の資料開示を拒否したままで結審となっているのです。
2、申立人ら立証の格差認定を前提に不当労働行為意思の遡及判断を求めます
申立人らは、市川工場事件で会社が開示した資料や、労働組合発行の賃金・職分資料を参考に、申立人らの実態を比較・分析し格差を明確に立証しました。
(甲16号証及び17号証)は、「事業所採用者経路」内の申立人32名と、その他の者414名の職分割合の推移を明らかにした書証であり、平成5年度までの集団間格差の推移が明確であると同時に、さらに平成8年度に向けて格差が拡大していることが分かります。もし、会社が審査指揮に従い資料開示を行っていたならば、格差の実態とその後の拡大傾向がより鮮明になったのです。
東京高裁は、市川工場事件での求釈明(甲第354号証)を求める理由(P1~2)の中で、「参加人は職分間の昇格は専ら各従業員の成績によるものであり、それは下位職分への昇格時期ないし下位職分での在籍期間に関わるものではない旨主張する。しかしながら、参加人自身、従業員が上位職分に昇格する資格を得るためには、下位職分に一定期間在籍することを要するとしていることからも、下位職分への昇格時期が更に上位職分への昇格に全く影響しないとすることはできないから、参加人の上記主張は採用し難い。」として、求釈明を強く求めたのです。
また、貴委員会への要請(11年6月27日)で引用した、「松陰学園事件」への貴委員会命令は、資料開示を拒否した学園の主張・立証を退け、申立人らの立証に基づいて是正すべき給与・一時金を算定し、救済命令を交付したのです。その他、多くの命令例・判例でも明らかなように、審査に必要な資料開示を拒否した場合のリスクは、提出を拒否した会社が負うべきことは明白です。
本件においても、申立人らの立証に基づく格差の認定を前提とした、必要年数の遡及による不当労働行為意思の認定・判断を強く求めるものです。
3、半世紀近くに及ぶ申立人らの闘い、このままでは人生終えられないのです
改めて言うまでもなく、本件は典型的な不当労働行為・差別事件です。1960年代後半から、劣悪な労働条件の改善を求めて全国の工場で高揚する労働組合活動に危機感を強めた会社は、本社の指揮で意に沿う労働組合への変質を狙い、「インフォーマル組織」を一気に結成したのです。
「甲10号証」は2004年の作成ですが、6~7頁は「組合乗っ取り」と差別攻撃の主な秘密資料であり、8~9頁は1960年代からほぼ切れ目なく闘われた労働争議の実態です。まさに、私たちの半世紀近くに及ぶ人生は、① 明治乳業の労働争議の絶えない体質、② 不祥事・不正行為の絶えない体質という二つの「異常性」との闘いであり、「働く者の暮らし・権利をまもってこそ労働組合」の信念と、「安全・安心を提供するのが食品企業に働く者の誇り」の立場で組合活動を行う私たちには、絶対に譲ることのできないものでした。
労働委員会の存立の原点に照らし、憲法や労組法を踏みにじる(株)明治の横暴を厳しく断罪する救済命令の交付を、重ねて強く求めて要請といたします。
以上
東京都労働委員会
会 長 荒木 尚志 殿
明治乳業争議支援共闘会議
議 長 松 本 悟
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
団 長 小 関 守
要 請 書
[ 平成6年不55号事件・その他 明治乳業賃金昇格差別事件 ]
記
私たちは、命令交付が間近であることを念頭に置きながら、「なんとしても救済命令を」の決意で、貴委員会への要請行動を継続しています。
前回(3月8日)の要請では、本件が求める救済内容は市川工場事件と異なり、「事業所採用者経路」内での格差是正であることを改めて明確にしました。
そして、救済年度(平成5年度)の平均年収で約100万円(最大220万円)、月額賃金で4~5ヵ月分に及び、職分昇格では2~3ランクもの格差があるなど、この格差自体が不当労働行為の成立を強く推認させることを述べました。
今回の要請では、申立人らがそれぞれ定年退職に至るまで、継続している追加申立によっても明らかなように、その後も格差がさらに拡大していることを明らかにし、改めて、差別開始時点まで遡及しての精査・判断と、申立以後も続いた格差(差別)拡大を含む一括しての救済措置を強く求めるものです。
1、会社の資料開示拒否は格差の存在がより鮮明になることを避けての抵抗
申立人らは、格差の実態を明確にして救済への迅速・正確な審査を求める立場から、書面提出も含め会社が保管する資料の開示を繰り返し求めました。
その結果、中島公益委員は「主張・立証の範囲に限らず、出せるものはなるべく出してほしい」(平成20年2月12日、第10回調査調書)と会社に求め、また、和田公益委員も申立人らの主張に基づき、「すくなくとも、市川工場事件で同人が提出(注:東京高裁での求釈明決定)した、人事考課成績分布及び同期・同学歴における職分分布に関する資料に相当する資料を提出するよう」に促したのです(平成23年3月25日、第22回調査調書)。
しかし、会社は「会社の訴訟リスクの問題でありますので、会社の判断で出します」といい、さらに「申立人らの資料開示に対する会社意見」(23年4月20日)においては、「申立人ら以外の労働者の職分分布に関わる人事資料は廃棄した」等として、一切の資料開示を拒否したままで結審となっているのです。
2、申立人ら立証の格差認定を前提に不当労働行為意思の遡及判断を求めます
申立人らは、市川工場事件で会社が開示した資料や、労働組合発行の賃金・職分資料を参考に、申立人らの実態を比較・分析し格差を明確に立証しました。
(甲16号証及び17号証)は、「事業所採用者経路」内の申立人32名と、その他の者414名の職分割合の推移を明らかにした書証であり、平成5年度までの集団間格差の推移が明確であると同時に、さらに平成8年度に向けて格差が拡大していることが分かります。もし、会社が審査指揮に従い資料開示を行っていたならば、格差の実態とその後の拡大傾向がより鮮明になったのです。
東京高裁は、市川工場事件での求釈明(甲第354号証)を求める理由(P1~2)の中で、「参加人は職分間の昇格は専ら各従業員の成績によるものであり、それは下位職分への昇格時期ないし下位職分での在籍期間に関わるものではない旨主張する。しかしながら、参加人自身、従業員が上位職分に昇格する資格を得るためには、下位職分に一定期間在籍することを要するとしていることからも、下位職分への昇格時期が更に上位職分への昇格に全く影響しないとすることはできないから、参加人の上記主張は採用し難い。」として、求釈明を強く求めたのです。
また、貴委員会への要請(11年6月27日)で引用した、「松陰学園事件」への貴委員会命令は、資料開示を拒否した学園の主張・立証を退け、申立人らの立証に基づいて是正すべき給与・一時金を算定し、救済命令を交付したのです。その他、多くの命令例・判例でも明らかなように、審査に必要な資料開示を拒否した場合のリスクは、提出を拒否した会社が負うべきことは明白です。
本件においても、申立人らの立証に基づく格差の認定を前提とした、必要年数の遡及による不当労働行為意思の認定・判断を強く求めるものです。
3、半世紀近くに及ぶ申立人らの闘い、このままでは人生終えられないのです
改めて言うまでもなく、本件は典型的な不当労働行為・差別事件です。1960年代後半から、劣悪な労働条件の改善を求めて全国の工場で高揚する労働組合活動に危機感を強めた会社は、本社の指揮で意に沿う労働組合への変質を狙い、「インフォーマル組織」を一気に結成したのです。
「甲10号証」は2004年の作成ですが、6~7頁は「組合乗っ取り」と差別攻撃の主な秘密資料であり、8~9頁は1960年代からほぼ切れ目なく闘われた労働争議の実態です。まさに、私たちの半世紀近くに及ぶ人生は、① 明治乳業の労働争議の絶えない体質、② 不祥事・不正行為の絶えない体質という二つの「異常性」との闘いであり、「働く者の暮らし・権利をまもってこそ労働組合」の信念と、「安全・安心を提供するのが食品企業に働く者の誇り」の立場で組合活動を行う私たちには、絶対に譲ることのできないものでした。
労働委員会の存立の原点に照らし、憲法や労組法を踏みにじる(株)明治の横暴を厳しく断罪する救済命令の交付を、重ねて強く求めて要請といたします。
以上
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます