一転の禍福
令和3年7月17日(土)
宿かりて
名を名乗らする
しぐれ哉
前書き「元禄三年の冬、粟津の草庵より
武江におもむきて、島田の駅、塚本が
家にいたりて」
時雨のために宿を借りて、
名乗りする次第となったことだ、
の意。
元禄四年(1691)の作。
塚本は、静岡県島田の如舟。
◎ 時雨が降って来たので、
知らぬ人の家に逃げ込み、
さて、お互いに名乗って挨拶をする。
雨はますます勢いを増して
土砂降りになった。
家の主人は、それを見て、
自分の人助けを誇りに思う。
こちらは、感謝の念を伝える。
ちょっとした拍子に生まれた
この温かい人間関係の様を、
この句は語り、
人を苦しめるかに見える自然の仕業を、
一転した恵みに変える不思議な
人間の技を讃えている。