柴胡の糸?
令和3年5月15日(土)
かげろふや
柴胡の糸の
薄曇
陽炎が立つ中、翁草の白い
羽毛も少しぼんやりして見える、の意。
元禄三年作。
柴胡(さいこ)は、一般的には、漢方薬に
用いるセリ科の草。
『蕉翁全伝附録』の図により、
ここは、翁草とよばれるキンポウゲ科の
赤熊(しやぐま)柴(さい)胡(こ) と見られる。
花の後に、雌(め)蘂(しべ)が
糸状に伸び、白髪を連想させる。
◎ 早春の暖かくのんびりした様を
詠んでいる。
柴胡とは、翁草のことで、
細い糸のような白い芽を出す草。
新しく糸のような芽を出して、
如何にも春先の野原は陽炎で
うらうらと動いている。
薄曇りの空は、冬であったら
寒々と見えるのに、
春には暖かそうに見える。
白糸のような芽はやがて糸から
一人前の草になり、野を緑で蔽う
だろう。
そして、花が咲き、本当の春景色
になるであろう。