『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
ここでは、気軽に読めるエントリーを記していきます^^

[『シャーマンキング』が完結した]

2009-04-04 23:59:21 | 物語の感想
☆少年ジャンプで未完に終わっていた『シャーマンキング』が、本日発売の、その「完全版」と謳われたコミックス豪華版第27巻にて、380ページの描き下ろしを加わえて完結した。

 そもそもがコミックス32巻に及ぶ作品なので、380ページを加えても、その世界を閉じることは難しいと思っていたが、うまくエンディングを迎えていた。

 私は、この作品の著者・武井宏之は、少年マンガ家としては、最高ランクに位置する描き手だと思っている。

 特に、幼女・少女・美女と可愛い女の子を描かせたらピカイチだ^^

 私は、ジャンプコミックスも全32巻、全巻初版で持っている。

 ・・・しかし、この作者、ストーリー漫画を進めるにあたっては、連載時、若過ぎたような気がする。

 若い故に、色んな価値観に、短いタームで流されていた。

 <シャーマンキング>を目指し、正義と悪という二元論で進めていけば成り立っていた物語を、その決着後に「あいつにも、悪に染まった相応の理由があった」とするのではなく、その物語の中盤から既に、作者は、悪側への大きな感情移入をはじめてしまっていた。

 それを、「相対化」と言う。

 少なくとも、ジャンプ漫画においては、「相対化」は、カタルシスを喪失させてしまう。

 それは、当時の(と言うか、いまだに続き、これから先も続く)、アメリカとイスラム諸国の戦争という時代背景があったからだと思う。

 論壇で語られた、その双方や第三国、それぞれの正義や価値観が、『シャーマンキング』には、節操なく取り込まれ、物語は明らかに迷走していた。

   ◇

 また、そんなコテコテの硬派な考え方と同時に、

 作者は、物語に、ヨーロッパ映画の登場人物のような粋な味わい深い台詞回しと言うものを求めた。

 ヨーロッパの映画などには、人間の信頼関係から来る洒脱な会話があった。

 若い作者は、そんな登場人物の仲間の信頼関係を描きたかったようだ。

 ・・・しかし、それは全く機能していなかった。

 なんか、スルメ的な味わい深さというよりも、ひたすらに意味のない軽薄な会話が続いていた。

 そして、ジャンプ漫画に肝心の「バトル」も、マンガ的な説得力ある裏付けのない技の名前を連呼するだけのものになっていた。

 時代は『リングにかけろ』ではなく、『ワンピース』や『ナルト』の時代になっているのに・・・。

 当時の「2ちゃんねる」では、どなたかが「『シャーマンキング』のバトルは<場取る>でしかない」、つまり、ページ稼ぎにしかなってない、と言っていて、私は「うまいこと言うなぁ」と感心した^^;

 イラストとしては最高に上手い作家だったが、物語は表層的になっていた。

   ◇

 そして、五年が経ち、完全版にて、完結した。

 良い終わり方だったと思う。

 変なこだわりなく、ともかく、淡々と物語をこなし、かなりの登場人物を、最終決戦にて「カーテンコール」の如くに登場させてくれた。

 「相対化」、それならば、と、敵方の頂点<ハオ>の、主人公・葉と相対化させた物語の帰結を、それに見合ったスケールで描ききってくれたのは満足だった。

 ・・・私は、今回の書き下ろし分で、黒部民子に出会えたのがギガ嬉しス^^;

             

 武井宏之先生、お疲れ様ね^^

                             (2009/05/04)