☆短信映評3連発です!
◇
『バイオハザードIV -アフターライフ-』

・・・シリーズ中、この作品が1番面白かった^^
3Dは、これみよがしに飛び出しますし、
いちお、ちゃんと、ロメロ的な「ゾンビ」映画の文法に沿った<立て篭もり>も、シリーズ初めて見れましたし^^
今回、『3』の終わりに広げた大風呂敷は、渋谷シークエンスで処理されましたが(容赦なく切り捨てられてた・・・)、
今回の『4』のラストの大風呂敷は、『5』でどうやってまとめるのでしょうか?
みんな、皆殺しされちゃうのかな・・・。
いやはや、「追跡者」が、大きい斧をズルズル引きずりながら、アリスの臭いをどこからか嗅ぎつけ、ゆっくりと着実に追跡していく様は、砂漠で棺桶をズルズル引きずりながら行くジャンゴを思い出させてくれました。
◇
『大奥』

メチャクチャ面白かった!!!
江戸時代、疫病が流行り、男の数が激減し、男女の関係が逆転した中での、女将軍に仕える大奥の男達の姿を描く。
状況がトンデモなのだが、細部の描写や情動を丹念に描き、冒頭の些細なシーンからして、なんか妙に感動させてくれた。
大奥の中での序列は、分かりやすく画面に図で示され、その中で、主人公の水野が、幾つものエピソードを通して昇進していく様は、
女人禁制の大奥、「衆道」の跋扈する中では逆の例えのように聞えるかもしれないが、スタローン映画的な勝負の構成と、勝利のカタルシスが得られる。
私は、何度も、興奮と言うか感動で、鳥肌を立てさせられた。
演技陣がことごとく良い!
特に、将軍吉宗役の柴崎コウは凛々しくていいなぁ^^
◇
『七瀬ふたたび』

私の「青春の小説」であった『七瀬』の何度目かの映像化で、今回、初めての映画化である。
ちなみに、「青春の終わり」を告げた小説作品は、東野圭吾の『秘密』である(これも、かつて映画化し、今度はテレビ化ですね^^;)。
筒井康隆の、この小説作品が、世間に忘れられず映像化され続けていること自体は嬉しく、それだけで私は充分に満足だが、作品自体としては、非常にバランスが悪かった。
原作では独立していた、能力者仲間との邂逅を、現在進行形の「組織」との戦いの中で回想形式にしていたのは上手い脚本だと思った。
ただ、あまりにも物語上の整合性を、登場人物のセリフ一つ・画面上の描写一つに任せ過ぎのきらいがあった。
これは、アニメだと許されるのだが、実写作品においては、説明不足、また、観ている者を物語に感情移入させるにおいては描写不足のそしりは避けられないだろう。
これじゃあ、小説『七瀬』を知らない観客は、解せなさがつのるだろう。
また、クライマックスの、七瀬たちの「血みどろの死闘(新潮文庫の作品紹介より)」を、大胆に改変していたので、
そもそも、リアリティに則し、物語的にはスケールの小さい七瀬たちの戦いが、
作り手によって、妙にハリウッド的なエンターテイメントを指向させられたばかりに、作品構成上においてのスケールまでもがダウンしてしまっていた。
何て言うのかな?
七瀬たちの超能力は、『X-MEN』のように派手なものではないのだ。
『ダイハード』と、『レオン』の、物語の立ち位置におけるアクションの見せ方が違うように、『X-MEN』と『七瀬』の超能力の規模も異なるのである。
その違いは、本来は、それぞれの作品の味だったのに、作り手は、悪い意味で『七瀬』を派手な展開に持ち込み、そのチャチな描写で『七瀬』世界の超能力の持ち味を殺してしまっていた。
そう、この作品では、美しきテレパス・七瀬は、「森を走」らないのである!
その代わり、古式ゆかしい「合成」で、湖上を飛んでいました・・・^^;
クライマックスの、タイムトラベラー藤子の最後の時間遡行は、原作では、それが全く運命を変えることが出来ない範囲でしかなかったので、物語に強力な起伏を残し、後の、死に行く七瀬の絶望と諦観と希望と祈りに繋がって行くはずなのだが・・・。
変な、サバイバルゲームに興じる様な集団を敵に設えるセンスには辟易した。
脚本のオリジナル要素として、藤子の能力に、アンハッピーエンドの物語状況に希望を見い出させようとしたい気持ちは分かるが、
それ故に、失った作品の魅力は多い。
特に、クライマックスの「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」現象(クリック!)にあたっては、藤子の能力の条件(場所とメンバーを同じくする)の法則を全く無視していた。
これは、原作だけにあった条件ではない。
作品中(水族館での時間遡行)でも、一度、ちゃんと描かれていたのである・・・。
ただ、藤子役の佐藤江梨子が、主観時間を客観年齢よりも長く生きているが故に、可愛いけど老けてもいるという計算した配役なのか、ただの結果論なのか分からない絶妙の外見をしていた。
悪のリーダー役の吉田栄作の演技は不気味で良かったけど、原作では人間でしかなかった者を、無理矢理に超能力者に仕立て上げていたので、
「超能力者を排斥する旧人類」と言う図式が、この超能力者のリーダーの出現によって、「不幸な境遇で超能力者を追い詰めることになった一超能力者」と言う、
『七瀬』のテーマを根本から破壊する、結局は彼も被害者であったという相対化としての役柄に改悪されてしまっていたのは、この映画作品の最悪の要素と言えよう。
ヘンリー役のダンテ・カーヴァーは、なかなか頑張っていたが、ノリオ役の喋り方・声が気持ち悪かったぁ~^^;
・・・とは言え、私は、それでも、七瀬に逢えて嬉しいのだ^^
(2011/10/08)
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『バイオハザードIV -アフターライフ-』

・・・シリーズ中、この作品が1番面白かった^^
3Dは、これみよがしに飛び出しますし、
いちお、ちゃんと、ロメロ的な「ゾンビ」映画の文法に沿った<立て篭もり>も、シリーズ初めて見れましたし^^
今回、『3』の終わりに広げた大風呂敷は、渋谷シークエンスで処理されましたが(容赦なく切り捨てられてた・・・)、
今回の『4』のラストの大風呂敷は、『5』でどうやってまとめるのでしょうか?
みんな、皆殺しされちゃうのかな・・・。
いやはや、「追跡者」が、大きい斧をズルズル引きずりながら、アリスの臭いをどこからか嗅ぎつけ、ゆっくりと着実に追跡していく様は、砂漠で棺桶をズルズル引きずりながら行くジャンゴを思い出させてくれました。
◇
『大奥』

メチャクチャ面白かった!!!
江戸時代、疫病が流行り、男の数が激減し、男女の関係が逆転した中での、女将軍に仕える大奥の男達の姿を描く。
状況がトンデモなのだが、細部の描写や情動を丹念に描き、冒頭の些細なシーンからして、なんか妙に感動させてくれた。
大奥の中での序列は、分かりやすく画面に図で示され、その中で、主人公の水野が、幾つものエピソードを通して昇進していく様は、
女人禁制の大奥、「衆道」の跋扈する中では逆の例えのように聞えるかもしれないが、スタローン映画的な勝負の構成と、勝利のカタルシスが得られる。
私は、何度も、興奮と言うか感動で、鳥肌を立てさせられた。
演技陣がことごとく良い!
特に、将軍吉宗役の柴崎コウは凛々しくていいなぁ^^
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『七瀬ふたたび』

私の「青春の小説」であった『七瀬』の何度目かの映像化で、今回、初めての映画化である。
ちなみに、「青春の終わり」を告げた小説作品は、東野圭吾の『秘密』である(これも、かつて映画化し、今度はテレビ化ですね^^;)。
筒井康隆の、この小説作品が、世間に忘れられず映像化され続けていること自体は嬉しく、それだけで私は充分に満足だが、作品自体としては、非常にバランスが悪かった。
原作では独立していた、能力者仲間との邂逅を、現在進行形の「組織」との戦いの中で回想形式にしていたのは上手い脚本だと思った。
ただ、あまりにも物語上の整合性を、登場人物のセリフ一つ・画面上の描写一つに任せ過ぎのきらいがあった。
これは、アニメだと許されるのだが、実写作品においては、説明不足、また、観ている者を物語に感情移入させるにおいては描写不足のそしりは避けられないだろう。
これじゃあ、小説『七瀬』を知らない観客は、解せなさがつのるだろう。
また、クライマックスの、七瀬たちの「血みどろの死闘(新潮文庫の作品紹介より)」を、大胆に改変していたので、
そもそも、リアリティに則し、物語的にはスケールの小さい七瀬たちの戦いが、
作り手によって、妙にハリウッド的なエンターテイメントを指向させられたばかりに、作品構成上においてのスケールまでもがダウンしてしまっていた。
何て言うのかな?
七瀬たちの超能力は、『X-MEN』のように派手なものではないのだ。
『ダイハード』と、『レオン』の、物語の立ち位置におけるアクションの見せ方が違うように、『X-MEN』と『七瀬』の超能力の規模も異なるのである。
その違いは、本来は、それぞれの作品の味だったのに、作り手は、悪い意味で『七瀬』を派手な展開に持ち込み、そのチャチな描写で『七瀬』世界の超能力の持ち味を殺してしまっていた。
そう、この作品では、美しきテレパス・七瀬は、「森を走」らないのである!
その代わり、古式ゆかしい「合成」で、湖上を飛んでいました・・・^^;
クライマックスの、タイムトラベラー藤子の最後の時間遡行は、原作では、それが全く運命を変えることが出来ない範囲でしかなかったので、物語に強力な起伏を残し、後の、死に行く七瀬の絶望と諦観と希望と祈りに繋がって行くはずなのだが・・・。
変な、サバイバルゲームに興じる様な集団を敵に設えるセンスには辟易した。
脚本のオリジナル要素として、藤子の能力に、アンハッピーエンドの物語状況に希望を見い出させようとしたい気持ちは分かるが、
それ故に、失った作品の魅力は多い。
特に、クライマックスの「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」現象(クリック!)にあたっては、藤子の能力の条件(場所とメンバーを同じくする)の法則を全く無視していた。
これは、原作だけにあった条件ではない。
作品中(水族館での時間遡行)でも、一度、ちゃんと描かれていたのである・・・。
ただ、藤子役の佐藤江梨子が、主観時間を客観年齢よりも長く生きているが故に、可愛いけど老けてもいるという計算した配役なのか、ただの結果論なのか分からない絶妙の外見をしていた。
悪のリーダー役の吉田栄作の演技は不気味で良かったけど、原作では人間でしかなかった者を、無理矢理に超能力者に仕立て上げていたので、
「超能力者を排斥する旧人類」と言う図式が、この超能力者のリーダーの出現によって、「不幸な境遇で超能力者を追い詰めることになった一超能力者」と言う、
『七瀬』のテーマを根本から破壊する、結局は彼も被害者であったという相対化としての役柄に改悪されてしまっていたのは、この映画作品の最悪の要素と言えよう。
ヘンリー役のダンテ・カーヴァーは、なかなか頑張っていたが、ノリオ役の喋り方・声が気持ち悪かったぁ~^^;
・・・とは言え、私は、それでも、七瀬に逢えて嬉しいのだ^^
(2011/10/08)