『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『死刑台のエレベーター(2010)』を観た]

2010-10-09 23:52:07 | 物語の感想
☆短信でごめん。

 でも、かなりの問題作なので、早めに一言もの申したかったのだ。

 この作品、話の40%がメチャクチャなのである^^

 私は、上映の途中で抜け出したくなった。

 でも、最後まで見ると、何となく許せる気分にさせられたのだった。

   ◇

 いちお「映画好き」を称していた、かつての若き私も、この作品のオリジナル版(ルイ・マル監督 1957)は見ていて、当時、「へーっ、面白いな!」の感想を持ったものだ。

 だが、記憶は、マイルス・デイヴィスのトランペットのBGMと、夫の殺人を愛人に依頼した女が、愛人が戻ってこない中で不安を感じ、幻想のパリをさまようシーンが記憶に残っているのみだ。

 だから、今回のリメイクで、また別のカップルが絡んでいるのが、今回のリメイクのオリジナルなのか、オリジナルのオリジナルなのか分からないし、私、何を書いているのかも分からない^^;

 で、メインの二人、吉瀬美智子と阿部寛だが、やや気になる数ヶ所もあるが、演技・被演出ともに良かった。

 エレベーターに閉じ込められた阿部ちゃんが、悪戦苦闘する様のリアリティたるや、素晴らしかった。

 吉瀬美智子も美しい。

 が、並行して描かれるバカップル(玉山鉄二・北川景子)が、いや、二人の演技はいいよ、イケメンと可愛過ぎる娘でいいよ、でも、その二人が演じる役柄・脚本がメチャクチャじゃあないか!!!

 冒頭で、「警官」である玉山鉄二が、チンピラにボコボコにされている図で、異常な違和感が・・・。

 で、チンピラに銃を奪われても、それが目の前の状況処理で終わってしまうことで、のけぞった。

 しかし、警官が銃を奪われるというのは、全国区の大事件だぞ。

 だが、チンピラに銃を渡された親分は、「これはお宝だ^^」などと持って行ってしまうのだ。

 だが、玉山演じる警官は、外国からの要人警護の防犯体制の中で都内に配置されていたのに、そのまま、阿部ちゃんが一時駐車していたアルファロメオを盗み、それに乗り込んで、個人的に親分の追跡を始めるのだ。

 しかも、広い大都会の片隅で、自分がボコられた現場を、偶然にも彼女に見つけられ、警官の制服のまま、彼女とアベックで追跡を始めるのだ。

 男が親分の車を追うのには、銃の奪還の理由とともに、親分の車の助手席に、かつての恋人の姿を見たということもある。

 何とも、世間は狭いことで^^;

 また、北川景子だが(すっげえ、可愛い!!)、とてつもないバカで、「拳銃を取り戻せたら、警官から刑事になれるのね^^」などと言い、玉山鉄二に付き添うのである。

 北川景子が演じる役の女は、メチャクチャバカなのであるが、場面場面で、そのバカさの種類が異なり、物語的に筋の通ったバカなら、こちらも納得できるのだが、その展開に興醒めするばかりだった。

 玉山鉄二も、最初こそダンマリだったので、こっちも「こいつには何らかの行動における整合性があるのだろう」などと思っていたのだが、途中から、何やら事件に対しコメントしだすと、役柄的にも二十代前半だろうに、とたんに「ハンパねぇ」などと言うような十代中盤の浅はかな馬鹿者レベルの知能だと知れる。

 そのバカっぽいセリフ回しが見事なので困った^^;

 私は、この頃から、もう、見るのをやめたかった。

 何なんだ、このハチャメチャさは!

 物語は、並行して、エレベーターに閉じ込められた阿部ちゃんのリアルな悪戦苦闘と、

 不安の中で、無国籍風の都内をさまよう、イマージュと情念の吉瀬美智子が描かれる。

 ムチャクチャだ。

 メチャクチャだ。

   ◇

 ・・・と、思いつつ我慢して見ていたら、なんか、連続するアンバランスなシーンの数々に、「シュールさ」が見い出せるようになってきた。

 そして、その三極に別れた展開のそれぞれが、「不思議な国のアリス」でも見ているかのような、異世界探訪のように思えてきた。

 全てが、一晩のうちに行なわれているのも、何か不条理劇の現在進行形に感じられてきて、その強制性が心地良くなってきた。

 何よりも、不条理劇にしては、話が通っているのである。

 個々の俳優も、熱い演技をかましてくれている。

 で、見終えて、何か知らないが、凄いもの見せられたなぁ、と感想を抱くのだった・・・。

 皆さんは、この作品、どう見る?

 切り捨てられない魅力はあるでしょう^^

                                           (2010/10/09)
コメント (2)
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