『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『ナイト&デイ』『半次郎』を観た]

2010-10-15 19:34:40 | 物語の感想
☆短信複数作品まとめ感想です^^

 前回は、『バイオ4』『大奥』『七瀬ふたたび』と、「女だけのヒート祭り^^」で括れましたが、今回の2作品は全く異なるタイプの作品だ^^;

 おっと、ちょいとひとこと言いたいことがある。

 実写版『ヤマト』だが、デスラー役のキャストが発表されないと気にしていたのだが、どうやら、ガミラス星人は、最近流行の「結晶異性体」らしいぞ!

 なんか、最近のSF作品は、敵方の描写を簡略化し、「結晶体」にしたがりますな^^;

 ・・・いや、もちろん、期待して観に行きます!!!

   ◇

     『ナイト&デイ』

     

 この作品、10月9日公開作品だそうだが、10月6日(とお月む日)っちゅうことで、トム・クルーズの「トムの日」を記念して(やる必要のない無理矢理な記念日)、先行公開だそうで、「それは見逃せん!」と観に行った・・・^^;

 軽快で粋な良作だった。

 アクションの切れ味も良く、斬新であった。

 が、作品はあくまでもトム・クルーズとキャメロン・ディアスと言う二大スターのラブ&コメディをメインに据えているので、おそらく、男性客が求めるアクションの痛快さとは隔たりがあるだろう。

 「うはっ、こんな豪快なアクションを、何でもっと熱く、こちらの気持ちを燃え上がらせるようなねちっこさで描けないんだ!」と言う不満が起こってくるのだ。

 トム・クルーズは、ちょっと歳を重ね、それが魅力になっていた。

 でも、真っ白な歯をニカッ!とさせると、やっぱりホモっぽい。

 キャメロン・ディアスは、いつも思うんだけど、どうも私にはきつい。

 『チャーリーズ・エンジェル』のチロリアン姿の頃から、かえって、その少女性の欠如があらわになり、ギスギスした雰囲気が感じられるのだ。

 ・・・この作品、見ているうちに、次第に、「隠し味」があることに気づかされる。

 そう、「ヒッチコック風」である。

 何度も繰り返されるヒロイン・ジェーンが薬で眠らされるシーンや、

 冒頭でジェーンが疑問なく乗り込んだフライトの乗客の全てが敵方だったところ、

 自分をアクシデントの渦中に引き込むトム演じるスパイ・ロイが信用できるのか出来ないのか、好きになっていいのか危険なのか、のサスペンス、

 目覚めると、連れて行かれているヨーロッパの都市の、その暖色で描かれるクリアーな町並みの情景の撮影画質、

 事件の中でありながら、それが白昼夢ででもあったかのように訪れる、ジェーンの妹の結婚式に代表される日常、

 ロイの正体・・・、

 ・・・あまり作品では強調されていないが、見ている我々は、ずーっと物語に爽快感を与えられず、不安定を感じさせられ続ける。

 それが、この作品の「ヒッチコック風」のスパイスだ。

 なお、物語の途中で、スペインヤクザとの仲介役(情婦?)みたいな黒髪の女が出てくるのだが、これが美しい^^

 また、結婚式シーンで、招待客の中に可愛い少女と幼女が出てくるのでチェケラ!!

   ◇

 で、上記の作品と下記の作品だが、書いていると共通点が見つかった。

 それは、「思想」の欠如だ。

 それは「情念」と言い換えてもいい。

 「熱血」としてもいい。

   ◇

     『半次郎』

     

 西郷隆盛の腹心・中村半次郎の生涯を描いた作品だ。

 先ず、薩摩藩士特有の、振りかぶる剣術の型、そして、「チョァアアアア!!」の掛け声などの奇矯さで、物語は牽引される。

 榎木孝明が惚れ込んで、自ら演じた中村半次郎は、素朴なれど豪快で爽やかな男で、私は、久し振りに好感の持てる人物造型を見せられた気になった。

 物語前半の、その「義」に生きる青春の姿は、実に素晴らしかった。

 激動の時代の登場人物も、極力、最小限人数に抑えつつ、「世界」を表現してくれていた。

 それ程の予算があった作品とも思われないが、舞台美術の粗は全く感じられず、時代考証もリアルだった。

 私は、撮影技術については全く分からないのだが、『プライベート・ライアン』的なデジタル処理が為された画面作りで、殺陣や合戦シーンの血飛沫や水溜りから跳ねる泥などもクリアーに見せてくれて、臨場感があった。

 前半の、後半に至る期待度たるや、私を夢中にさせた。

 しかし、後半の西南戦争は、西郷側にとっては負け戦であり、あたかも、『チェ』二部作の後編『チェ 39歳 別れの手紙』的な、死の運命を背負った展開となり、かなり寂しい(当然、物語の前半は、『チェ 28歳の革命』的な上り調子の盛り上がりだ)。

 いや、例え、負け戦であろうとも、テーマ的な盛り上げは、いかようにも出来たはずなのである。

 だが、この作品は、膨大な歴史のうねりを、限られた上映時間の中でうまく抽出していたが、そこに、「義」に拘った中村半次郎の思想と言うか「哲学」がうまく描ききれていなかった。

 分かりやすく言うと、「臭い展開」に欠けていたのだ(放屁のシーンは多かった^^)。

 故に、長い西南戦争を活写したクライマックスで、見ているこちらに爆発的な共感を呼び起こすには至らないのだ。

 仲間達が、『仁義なき戦い』ばりに、その戦死の姿が、「○○○○ ○年○月○日 享年○歳 戦死」みたいに字幕付きで描かれるが、そこに感情移入するほどの、個々の人物に対してのエピソードが不足している。

 きっちりと作られた作品だけに、非常に惜しい。

 ただ、半次郎と心を通わした商人の娘さととのエピソードは、さとを演じた白石美帆の女らしい「線の細い・芯の太い」魅力とともに、最後に余韻を残してくれた。

 しかし、私は許すが、あの時代に京都にいたさとが、西南戦争の半次郎の戦場の今際に立ち会うというのは不思議ではあった。

 さとは、テレポテーションが使えるのでしょうか?^^;

 また、物語的には、奇妙な、後に大成した半次郎(桐野利秋)の妾と、上京したさとの対面のシーンも、物語中においては違和感のあるシーンであったが、妾を演じた雛形あきことの腹の探り合いのようなセリフの応酬が実に面白く始末が悪かった^^;

 見ながら、この作品は「熱く臭い展開」には欠けるが、『ワンピース』のファンなどには受けるのではないかと思った。

                                             (2010/10/15)
コメント (8)
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