☆先ず、ひとこと言っておきたいのだが、私の考え方として、「判例は疑ってみる」がある。
「判例」とは、過去、裁判において裁判所が示した法律的判断のことで、後の法律的判断の「先例」となるもののことだ。
もう、7,8年前から、ネット上で私は言い続けているのだが、
それは、例えば、具体例と具体例を安易に重ねないと言うことを意味する。
それらは、その事例を構成する因子があまりにも違うだろうからだ。
また、私は、過去の具体例(判例)から導き出された抽象概念を、別の具体例に当て嵌めてみるのもよろしくないと考える。
抽象概念があり、それに即した具体例というのはありである。
こんなことを書くのは、私が繰り返し記している「幻想の放射能ヒステリー」に対し、
「全体の為に、一部を犠牲にする覚悟も必要」などと言う方がいるからだ。
その「標語」自体は尤もだし、その「標語」単体は立派だ。
しかし、何度も何度も繰り返している通り、前々回のエントリーでも「…もちろん、私だって、放射能をバリバリにまとった物や者がいたら、速やかに隔離してもらうが…」と書いていまして、放射能漏れが本当に深刻ならば、「全体の為に、一部を犠牲にする覚悟も必要」なのである・・・、
しかし、今回の原発事故においては、そもそも「個々の人間の健康や、生態系に影響を及ぼす数値の放射能が検出されているわけではない」のであるからして、「全体の為に、一部を犠牲にする覚悟も必要」なんて抽象概念が、根本から意味のない戯言に堕しているのは歴然である。
そのような「議論のための議論の物言い」「言葉遊び」で私に対抗できるとはゆめゆめ思わないで欲しいものだ・・・。
◇
さて、さっき、部屋を掃除していたら、昭和63年(1988年)7月18日の東京新聞が見つかった。
ただの捨て忘れかもしれないが、何かの記事が心に残って取っていたのかもしれないと思い、パラパラと見たが、何の記事を保管したかったのかは不明だった。
しかし、現在の目から見ると、ちょいと興味深い記事があった。
《11月以降も検査継続
ソ連原発事故後遺症 輸入食品まだ汚染》
<六十一年四月のソ連・チェルノブイリ原発事故の後、欧州全域から輸入される食品から国の暫定基準を超える放射能が検出され、積み戻しとなっているケースが続出、事故から二年以上過ぎた現在も続いているため、厚生省は十七日までに、ことし十月末で切れる輸入食品の放射能検査体制を期限後も継続することを決めた。さらに消費者団体などから要望の強い放射能汚染が基準値以下の輸入食品の公表についても集計作業を急いでおり、ことし末までには公表する方針だ。
厚生省の十七日までのまとめによると、放射能検査を始めた六十一年十一月からこれまで、暫定基準値(セシウム134と同137の放射能濃度の合計が一㌔当たり370ベクレル)を超えた輸入食品は十四品目、三十八件。
輸出元はトルコ、フィンランド、スウェーデン、フランス、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン、ユーゴスラビア、アルバニア、ルーマニアで、食品はナッツ類、ハーブ茶、濃縮肉汁ビーフ・エキストラクトなど。
これまでの汚染の最高は、六二年五月に公表されたスペイン産ハーブ茶(三二・四㌔)で、基準値の二三・七倍の八七八〇ベクレル。このほか一〇〇〇ベクレルを超えたものは八件。ことしに入ってからもドライハーブ、キノコなど八件から七七六-三七九ベクレルの放射能が検出され、輸入禁止となっている。
同省は輸入食品の汚染が続いていることについて①葉などの乾燥品は放射能が濃縮されている②汚染された土壌から放射能が吸収されている―――などと分析している。
厚生省は当初、成田空港と東京、横浜、大阪、神戸各港の五検疫所で検査をスタートさせた。しかし汚染が続くことから、ことし四月には小樽、新潟、名古屋、博多、那覇各港と、成田分室の厚木、大阪空港を加え計十二検疫所で実施するなど監視を強化。ソ連、トルコを含む欧州全域からの輸入食品を原則として全品目サンプルを検査、基準を超えるものは公表している。
同省は今秋、食品中の放射能に関する検討会を開催、今後の対応を決めるが、十月三十一日で期限切れとなる輸入食品検査体制はさらに延長、公表されていない基準値以下の汚染食品の公表も十二月までには実施する見込みだ。しかし、基準値の見直しは当面考えていない、としている>
・・・厳しいですな。
暫定基準値が設定されてから、チェルノブイリ事故まで、大規模な照らし合わせはされていなかっただろう、そして、この時から現在まで暫定基準値の変更は為されていないようだ(注:計算したら変更はされている。多少は緩和のようだ)。
<現在>
・セシウム(Cs-137)
牛乳・乳製品 200 Bq/kg
野菜類 500 Bq/kg
穀類 500 Bq/kg
肉・卵・魚・その他 500 Bq/kg
その論議はどうあれ(ごめん、ちょいと酔っ払っていて、ちゃんと書けているのか不安^^; ハーパーのハイボールを飲んでます…)、少なくとも、日本は、日本の定めし暫定基準値で「汚染食品」をシャットアウトしていたわけだ・・・。
となると、少なくとも、相応の対応を各国からは受けよう。
それはしょうがない、上記の記事がなくとも分かっていたことだ。
私は、当初から、この基準値の問題に限らず、国内と海外には、今回の原発事故認識には隔たりがあると諦めている。
<政治は、国境で、線を引く>
だからこそ、国内の基準値をどうにかしようじゃないのよ、と思うのだ。
「危険」からは凄まじい距離がある数値だぞ。
過去の自分らの仕打ちは甘んじて受けよう・・・、だが、身内の中では、もっと冷静な基準値を決めようじゃん!
過去、日本がシャットアウトした「トルコ、フィンランド、スウェーデン、フランス、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン、ユーゴスラビア、アルバニア、ルーマニア」なども、当然、自国では、日本での拒否食品が消費されていたと思うのだ。
これは中国ならば、汚染物質は輸出だけはすると言う掟破りを平気でするんだろうけど・・・。
・・・しかし、現実は、海外からの逆輸入基準が、日本を支配しちゃっている状況だ。
(2011/04/22)
「判例」とは、過去、裁判において裁判所が示した法律的判断のことで、後の法律的判断の「先例」となるもののことだ。
もう、7,8年前から、ネット上で私は言い続けているのだが、
それは、例えば、具体例と具体例を安易に重ねないと言うことを意味する。
それらは、その事例を構成する因子があまりにも違うだろうからだ。
また、私は、過去の具体例(判例)から導き出された抽象概念を、別の具体例に当て嵌めてみるのもよろしくないと考える。
抽象概念があり、それに即した具体例というのはありである。
こんなことを書くのは、私が繰り返し記している「幻想の放射能ヒステリー」に対し、
「全体の為に、一部を犠牲にする覚悟も必要」などと言う方がいるからだ。
その「標語」自体は尤もだし、その「標語」単体は立派だ。
しかし、何度も何度も繰り返している通り、前々回のエントリーでも「…もちろん、私だって、放射能をバリバリにまとった物や者がいたら、速やかに隔離してもらうが…」と書いていまして、放射能漏れが本当に深刻ならば、「全体の為に、一部を犠牲にする覚悟も必要」なのである・・・、
しかし、今回の原発事故においては、そもそも「個々の人間の健康や、生態系に影響を及ぼす数値の放射能が検出されているわけではない」のであるからして、「全体の為に、一部を犠牲にする覚悟も必要」なんて抽象概念が、根本から意味のない戯言に堕しているのは歴然である。
そのような「議論のための議論の物言い」「言葉遊び」で私に対抗できるとはゆめゆめ思わないで欲しいものだ・・・。
◇
さて、さっき、部屋を掃除していたら、昭和63年(1988年)7月18日の東京新聞が見つかった。
ただの捨て忘れかもしれないが、何かの記事が心に残って取っていたのかもしれないと思い、パラパラと見たが、何の記事を保管したかったのかは不明だった。
しかし、現在の目から見ると、ちょいと興味深い記事があった。
《11月以降も検査継続
ソ連原発事故後遺症 輸入食品まだ汚染》
<六十一年四月のソ連・チェルノブイリ原発事故の後、欧州全域から輸入される食品から国の暫定基準を超える放射能が検出され、積み戻しとなっているケースが続出、事故から二年以上過ぎた現在も続いているため、厚生省は十七日までに、ことし十月末で切れる輸入食品の放射能検査体制を期限後も継続することを決めた。さらに消費者団体などから要望の強い放射能汚染が基準値以下の輸入食品の公表についても集計作業を急いでおり、ことし末までには公表する方針だ。
厚生省の十七日までのまとめによると、放射能検査を始めた六十一年十一月からこれまで、暫定基準値(セシウム134と同137の放射能濃度の合計が一㌔当たり370ベクレル)を超えた輸入食品は十四品目、三十八件。
輸出元はトルコ、フィンランド、スウェーデン、フランス、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン、ユーゴスラビア、アルバニア、ルーマニアで、食品はナッツ類、ハーブ茶、濃縮肉汁ビーフ・エキストラクトなど。
これまでの汚染の最高は、六二年五月に公表されたスペイン産ハーブ茶(三二・四㌔)で、基準値の二三・七倍の八七八〇ベクレル。このほか一〇〇〇ベクレルを超えたものは八件。ことしに入ってからもドライハーブ、キノコなど八件から七七六-三七九ベクレルの放射能が検出され、輸入禁止となっている。
同省は輸入食品の汚染が続いていることについて①葉などの乾燥品は放射能が濃縮されている②汚染された土壌から放射能が吸収されている―――などと分析している。
厚生省は当初、成田空港と東京、横浜、大阪、神戸各港の五検疫所で検査をスタートさせた。しかし汚染が続くことから、ことし四月には小樽、新潟、名古屋、博多、那覇各港と、成田分室の厚木、大阪空港を加え計十二検疫所で実施するなど監視を強化。ソ連、トルコを含む欧州全域からの輸入食品を原則として全品目サンプルを検査、基準を超えるものは公表している。
同省は今秋、食品中の放射能に関する検討会を開催、今後の対応を決めるが、十月三十一日で期限切れとなる輸入食品検査体制はさらに延長、公表されていない基準値以下の汚染食品の公表も十二月までには実施する見込みだ。しかし、基準値の見直しは当面考えていない、としている>
・・・厳しいですな。
暫定基準値が設定されてから、チェルノブイリ事故まで、大規模な照らし合わせはされていなかっただろう、そして、この時から現在まで暫定基準値の変更は為されていないようだ(注:計算したら変更はされている。多少は緩和のようだ)。
<現在>
・セシウム(Cs-137)
牛乳・乳製品 200 Bq/kg
野菜類 500 Bq/kg
穀類 500 Bq/kg
肉・卵・魚・その他 500 Bq/kg
その論議はどうあれ(ごめん、ちょいと酔っ払っていて、ちゃんと書けているのか不安^^; ハーパーのハイボールを飲んでます…)、少なくとも、日本は、日本の定めし暫定基準値で「汚染食品」をシャットアウトしていたわけだ・・・。
となると、少なくとも、相応の対応を各国からは受けよう。
それはしょうがない、上記の記事がなくとも分かっていたことだ。
私は、当初から、この基準値の問題に限らず、国内と海外には、今回の原発事故認識には隔たりがあると諦めている。
<政治は、国境で、線を引く>
だからこそ、国内の基準値をどうにかしようじゃないのよ、と思うのだ。
「危険」からは凄まじい距離がある数値だぞ。
過去の自分らの仕打ちは甘んじて受けよう・・・、だが、身内の中では、もっと冷静な基準値を決めようじゃん!
過去、日本がシャットアウトした「トルコ、フィンランド、スウェーデン、フランス、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン、ユーゴスラビア、アルバニア、ルーマニア」なども、当然、自国では、日本での拒否食品が消費されていたと思うのだ。
これは中国ならば、汚染物質は輸出だけはすると言う掟破りを平気でするんだろうけど・・・。
・・・しかし、現実は、海外からの逆輸入基準が、日本を支配しちゃっている状況だ。
(2011/04/22)