☆原作をなぞった感のある前作とは、かなり趣の異なる、「もう、この世界観は見知っているでしょ?」とばかりに、最初からイレギュラーを連発で見せる展開であった。
チビガンツ(黒玉)が現実世界に出現し、何やら、人の生き死にを左右し始める。
で、それを追って、現実世界の捜査官(山田孝之)も意味ありげに動くのだが、私、前作の最後に、この男が登場した時から、<ガンツ・ワールド>の超常性と、現実世界の組織が、あまりにも力の差が歴然としているので、物語上の寄り道にしかならないと考えていたのだが、案の定、作品全体を通して意味が全くないとは言えないが、意味もあるとは思えない奇妙な役割を担っていた。
なんか無精ヒゲで格好つけているのに、最後には病院のベッドで「妄想家」である^^;
なんで、この話題を最初に書いたかというと、異界である<ガンツ・ワールド>を実社会に溶け込ませようとする作り手の努力は見当違いだよ、と言いたいのだ。
<ガンツ・ワールド>においての実社会は背景であり、一般人は犠牲者としてしか存在し得えない。
ただ、そこでつながり得るのは、主人公・玄野(ニノ)の恋人への愛であり、加藤(マツケン)の弟への情のような、心のつながりの観点しかなく、だからこそ、星人はそこにつけ込む。
そこに、なんか、<ガンツ・ワールド>と実社会の物語的な折り合いをつけさせるために、あまりにもレベルの違う公安組織の奮闘が描かれるのは、それも重要人物として捜査官を暗躍させるのは上映時間の無駄であった。
◇
私は、先ず、前作で繰り広げられた<対星人>を事務的にタクティクスにこなす玄野らの活躍がダイジェスト的に描かれつつ始まると思っていたが、チビガンツの出現によって、話はいちお、サスペンスフルに展開される。
なんかお門違いのジャンル展開に、私はやきもきしながら見た。
何やら、<ガンツ・ルーム>に召喚される玄野までは描かれるのだが、ミッション自体は省略される。
チビガンツに関わるモデル役の女は、狐目で肌も荒れていて、どうも心にグッとくるものがない。
意味ありげに彼女がターゲットにする女子校生も、前作の岸本恵(夏菜)に比べたらパッとしない。
しかし、彼女らや、他の新メンバーが、玄野らと合流し、黒服星人らと戦うに及び、アクション演出が、日本映画史上稀に見る激闘へと大爆発する。
凄かった。
舞台は疾走する地下鉄で、閉鎖的な密室であり、しかし、何故か走行の躍動感があるのが異常なテンションを生んでいた(地下鉄であることは、『デスノート』に続いてのロケ許可実績でもあり、また、屋外との合成が容易な点もあるのだろうが、全てが良い方向に作用した)。
敵が無造作に一般人を殺戮する非情さ、及び、狭い列車内を全く無力に逃げ惑う乗客という絵柄は、正直、このご時世、よくもまあ公開出来たなぁと思った。
ガタコン・ガタコンと揺れ動き、破れた窓からビュウゥウウーッと吹きすさぶ風の描写などは、ハイテンションの臨場感となっていた。
そして、そこでは、黒いスーツのメンバーと、ゾンビのように虚ろでありつつ高い身体能力の黒服星人らのバトルがこれでもかと繰り広げられる。
面白い。
玄野が、いったんは列車外に放逐されるも、飛ばされつつ車内にいる恋人・多恵(吉高由里子)の逃げ惑う姿を見て、ガンツ・ダッシュでホームを駆けて加速、車内に復帰するガムシャラもいい。
その後の、黒服星人とのタイマンも、長いのに飽きさせず、最終的には列車輪切りと言う、こちらの予想を裏切るビジュアルを見せてくれた。
くだんの召喚されし女子高生も、アクションでは、その優等生だった味が、剣道部の主将ででもあるかのような凛々しさで、制服姿の女黒服星人とバトる。
正直、『エンジェル・ウォーズ』の200倍くらい燃えたし、萌えた!
◇
この後は、そのまま、<ガンツ>の生命維持の危機とともに緊急ミッションとなり、クライマックスになだれ込む。
救いようのない展開を見せ、痛快さとはかけ離れていくのだが、作り手は、シュールな世界観を万人が共感できる着地点に必死で誘導しようとする。
しかし、そのテーマ成就にまい進する為に、玄野の恋人がターゲットになり、玄野はメンバーのほとんどを敵に回すという、何とも本末転倒の展開は、見る者の心を解せない思いにさせるだろう。
私は、『ワンピース』に代表される、昨今の「仲間至上主義」に非常に胡散臭さを感じていて、<個々人の全力の集積こそが「仲間」になるときもある>と考えているのだが、でも、玄野の「児島多恵救済」の懇願に同意する者があまりにも少ない展開は、あまりにもエゴのパーセンテージが高いと思った。
ここは、仲間の団結こそがセオリーであり、先ずは小島多恵を狙う星人を駆逐してから考えようじゃないか、となるべきだろう。
玄野の両局の戦闘は、こちらの集中力を分散させてしまう。
西君などは、最後には「いい味」を出してくれると思ったのだが、「ああ、そのまんまなのね」と寂しくなった。
また、最後の星人が、加藤や西の姿に変化して戦い続けるのだが、別にクリーチャーにならなくてもいいから、オリジナルな姿でクライマックスを戦って欲しかった。
仲間の姿だと、絵面も悪いし、敵としての感情移入の方向性もずれる。
前作に続いて、何やら、主人公のニノ君の写真はネット上では出回っていないので、マツケン君を模した星人の写真をタイトルに載せておきます(それも、作品紹介の写真としては、方向性がずれるよね・・・^^;)
◇
吉高由里子は、なんかもっさりねっとりした役柄をきっちりと演じていた。
彼女が死ぬシーンは、原作者が目指している「分かりやすい悲劇」を具現化していたと思う。
・・・ただ、よくよく考えると、<ガンツ>の謎と言うのは全く解明されてないよね・・・^^;
しかも、ムチャクチャな指令を幾つも出し続け、何ら誠意と言うか、正義の片鱗も見せず、「ありがとうクロノ君」はないだろうよ^^;
(2011/04/24)
チビガンツ(黒玉)が現実世界に出現し、何やら、人の生き死にを左右し始める。
で、それを追って、現実世界の捜査官(山田孝之)も意味ありげに動くのだが、私、前作の最後に、この男が登場した時から、<ガンツ・ワールド>の超常性と、現実世界の組織が、あまりにも力の差が歴然としているので、物語上の寄り道にしかならないと考えていたのだが、案の定、作品全体を通して意味が全くないとは言えないが、意味もあるとは思えない奇妙な役割を担っていた。
なんか無精ヒゲで格好つけているのに、最後には病院のベッドで「妄想家」である^^;
なんで、この話題を最初に書いたかというと、異界である<ガンツ・ワールド>を実社会に溶け込ませようとする作り手の努力は見当違いだよ、と言いたいのだ。
<ガンツ・ワールド>においての実社会は背景であり、一般人は犠牲者としてしか存在し得えない。
ただ、そこでつながり得るのは、主人公・玄野(ニノ)の恋人への愛であり、加藤(マツケン)の弟への情のような、心のつながりの観点しかなく、だからこそ、星人はそこにつけ込む。
そこに、なんか、<ガンツ・ワールド>と実社会の物語的な折り合いをつけさせるために、あまりにもレベルの違う公安組織の奮闘が描かれるのは、それも重要人物として捜査官を暗躍させるのは上映時間の無駄であった。
◇
私は、先ず、前作で繰り広げられた<対星人>を事務的にタクティクスにこなす玄野らの活躍がダイジェスト的に描かれつつ始まると思っていたが、チビガンツの出現によって、話はいちお、サスペンスフルに展開される。
なんかお門違いのジャンル展開に、私はやきもきしながら見た。
何やら、<ガンツ・ルーム>に召喚される玄野までは描かれるのだが、ミッション自体は省略される。
チビガンツに関わるモデル役の女は、狐目で肌も荒れていて、どうも心にグッとくるものがない。
意味ありげに彼女がターゲットにする女子校生も、前作の岸本恵(夏菜)に比べたらパッとしない。
しかし、彼女らや、他の新メンバーが、玄野らと合流し、黒服星人らと戦うに及び、アクション演出が、日本映画史上稀に見る激闘へと大爆発する。
凄かった。
舞台は疾走する地下鉄で、閉鎖的な密室であり、しかし、何故か走行の躍動感があるのが異常なテンションを生んでいた(地下鉄であることは、『デスノート』に続いてのロケ許可実績でもあり、また、屋外との合成が容易な点もあるのだろうが、全てが良い方向に作用した)。
敵が無造作に一般人を殺戮する非情さ、及び、狭い列車内を全く無力に逃げ惑う乗客という絵柄は、正直、このご時世、よくもまあ公開出来たなぁと思った。
ガタコン・ガタコンと揺れ動き、破れた窓からビュウゥウウーッと吹きすさぶ風の描写などは、ハイテンションの臨場感となっていた。
そして、そこでは、黒いスーツのメンバーと、ゾンビのように虚ろでありつつ高い身体能力の黒服星人らのバトルがこれでもかと繰り広げられる。
面白い。
玄野が、いったんは列車外に放逐されるも、飛ばされつつ車内にいる恋人・多恵(吉高由里子)の逃げ惑う姿を見て、ガンツ・ダッシュでホームを駆けて加速、車内に復帰するガムシャラもいい。
その後の、黒服星人とのタイマンも、長いのに飽きさせず、最終的には列車輪切りと言う、こちらの予想を裏切るビジュアルを見せてくれた。
くだんの召喚されし女子高生も、アクションでは、その優等生だった味が、剣道部の主将ででもあるかのような凛々しさで、制服姿の女黒服星人とバトる。
正直、『エンジェル・ウォーズ』の200倍くらい燃えたし、萌えた!
◇
この後は、そのまま、<ガンツ>の生命維持の危機とともに緊急ミッションとなり、クライマックスになだれ込む。
救いようのない展開を見せ、痛快さとはかけ離れていくのだが、作り手は、シュールな世界観を万人が共感できる着地点に必死で誘導しようとする。
しかし、そのテーマ成就にまい進する為に、玄野の恋人がターゲットになり、玄野はメンバーのほとんどを敵に回すという、何とも本末転倒の展開は、見る者の心を解せない思いにさせるだろう。
私は、『ワンピース』に代表される、昨今の「仲間至上主義」に非常に胡散臭さを感じていて、<個々人の全力の集積こそが「仲間」になるときもある>と考えているのだが、でも、玄野の「児島多恵救済」の懇願に同意する者があまりにも少ない展開は、あまりにもエゴのパーセンテージが高いと思った。
ここは、仲間の団結こそがセオリーであり、先ずは小島多恵を狙う星人を駆逐してから考えようじゃないか、となるべきだろう。
玄野の両局の戦闘は、こちらの集中力を分散させてしまう。
西君などは、最後には「いい味」を出してくれると思ったのだが、「ああ、そのまんまなのね」と寂しくなった。
また、最後の星人が、加藤や西の姿に変化して戦い続けるのだが、別にクリーチャーにならなくてもいいから、オリジナルな姿でクライマックスを戦って欲しかった。
仲間の姿だと、絵面も悪いし、敵としての感情移入の方向性もずれる。
前作に続いて、何やら、主人公のニノ君の写真はネット上では出回っていないので、マツケン君を模した星人の写真をタイトルに載せておきます(それも、作品紹介の写真としては、方向性がずれるよね・・・^^;)
◇
吉高由里子は、なんかもっさりねっとりした役柄をきっちりと演じていた。
彼女が死ぬシーンは、原作者が目指している「分かりやすい悲劇」を具現化していたと思う。
・・・ただ、よくよく考えると、<ガンツ>の謎と言うのは全く解明されてないよね・・・^^;
しかも、ムチャクチャな指令を幾つも出し続け、何ら誠意と言うか、正義の片鱗も見せず、「ありがとうクロノ君」はないだろうよ^^;
(2011/04/24)