日々雑感 ~写真と思い~

今日と言う日は、二度と来ない。 
だから今日を大切に・・そんな私のデジカメ散歩 

* 雨宿り(その1) *

2011年08月05日 | 雑感

曇った朝だっった。 お昼にはゲリラ豪雨・・(今日は無理かなぁ)そう思っていたら夕方雨があがった。  
(良かった・・いける!)そう思いながらなつみは、彼に会うのに今日は浴衣を着て見ようと思った。 

それほど美人ではないが色白で面長、ほっそりとして女としては高い目の身長、彼女に浴衣は似合っていた。
短大を卒業した年、母親が縫って持たせてくれた紺地に紫陽花の模様が美しい浴衣である。 

袖を通すのは二度目だった。 過去に一度前の夫と天神祭に着た事があって、それっきりであった。
忘れたい過去ではあったのに、浴衣が仕方なくそれを思い出させた。

(あんなにやさしかったのに、暮らしてみると分からないものね)
ふーっとため息をつきながら二年間の短い結婚生活を思うと、多少の悔いが無いわけではないがさっぱりとしていた。

少し早い目に家を出た。 二軒先の並びのおじさんが植え木に水をやっていたので会釈をする。
「ええなぁやっぱり女は浴衣やなぁ、よう似合うとるで」 「ありがとう」 嬉しそうに笑顔で答えたなつみであった。

電車には浴衣を着た女性が何人もいた、今日は花火大会である。  電車の窓の外の景色が暗くなっていった。
殆どの人が降りた駅ではなつみは降りなかった。 もうひとつ先の駅で降りた。

改札口の5メートル先の、喫茶店のそばで宗は待っていた。 
「待った? ごめんなさい」 「いや今来たとこですよ」 「そうなん、良かった」 「浴衣いいですねぁ、良く似合ってる」
なつみから少しはなれて宗はまぶしそうに浴衣姿を眺めた。 「いややわ、そんなにみないで」なつみは恥じらうように言った。

並んで歩き始めた。 そこは駅添いに土手になっていて下の河原には街灯に水がきらきら輝いていた。
半月ぶりに会うのに嬉しいはずなのになぜか黙って歩いた。 時折二人の手が触れた。 
そのたびになつみは頬が赤らんだが、隣の宗には気付かれていない。  そして触れるたび胸の高鳴りを覚えた。

二人が会ったのは三ヶ月前だった。
良くある話だが、なつみが会社の帰り急に降り出した雨に雨宿りした時、軒下に飛び込んできたのが宗だった。
やむのを待ちながら、二言三言言葉を交わしたあと、えらく気があってメールアドレスを交換したのである。

なつめは26歳、前の夫と別れて五年がたっていた。 宗は30歳、出産後病気がちだった妻を3年前に亡くしていた。 
2歳だった子供は宗には無理だと、妻の実家の親が引きとって育てている。 

そんな過去を持つ二人である、たわいない会話をしながらもお互いの心を確かめるように一歩一歩歩いた。
夫と別れたなつみ、妻に先立たれた宗、過去を持つ二人に時間はいらなかった。
触れ合う肩、いつの間にか触れた手がそっと握られて・・・

な~んちゃって、行き場の無い朝顔同士がまるで悶えたように?からんだ蔓を見ていたら・・
あはは・・。  残暑厳しき折・・熱中症にはお気をつけ下さいませ。

同級生のゆいちゃん大好きなかんた、熱く・・熱く・・。  二人の将来への、貴重な証拠写真になった。